モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

完成度が100%だとすれば…

 

幕末志士がゴールデンアイの実況動画の後編をアップロードした。前編から凄まじく面白かったので首を長くして待っていたのは私だけではないだろう。

今回のシリーズは以前に生放送で遊んでいたソフトではあるが、バトルではなくストーリーモードなので、007の世界観を活かしつつ『ジェームズボンドを操縦する幕末志士』の和洋折衷感がフックになっている。なおかつ、操縦するのが一級フラグ建築士の坂本さんなので、映画の中でパーフェクトな仕事をするボンドとのギャップが笑いを生むのだ。一例を挙げるなら、飛行機に乗って脱出するはずが、見えないところから狙撃する敵のロケランで破壊され『もう帰れない…』と呟いた瞬間に狙撃され腕をもがれて死ぬというグロデスクさえ笑いに変える場面があった。だからこそ後編のアップロードが延期されても確実に面白いという信頼性があった。

 

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再生ボタンを押すやいなや「鍵がない」だけで笑いを取り、ロケランの雨に打たれて終了。

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敵の動きも火力もMAXなのでクリアできると思っている視聴者はほとんどいないだろう。つまり、ある意味オチが見えているのだ。

しかし、幕末志士のスゴイところは視聴者の期待に答えるゲームセンスを持っていること。何もないまま、むざむざ殺されるだけの動画であったなら確実に中だるみしてしまうだろう。

「マジックミラーキルだ!」

「ドアキルだ!」

小気味好く発せられる「存在するかどうかも怪しい言葉」を視聴者は「なんだそれ!」と思いながらも応援してしまうのだ。

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今回は序盤に快進撃があり、あっさりとゲームクリアかと思われた。恐らく坂本さんもそう思ったはずだった。

ラストにナターリアを連れて脱出するだけだったのに、謎のロケランの爆風で煽られたナターリアが着地に失敗して地面に叩きつけられデススポーン笑

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レア社はこんなドラマが繰り広げられると想像していたのだろうか。

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幕末志士といえば進撃の巨人の生放送でも「バグ」を起こせるほど運が強い。

今回もまたバグが発生した。坂本さんが「ドアキル」を披露したお返しとばかりに、ロケランをドアでチャージし出したのだ。

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漫画ワンピースに出てくるフォクシーだとか、ドラマSPECで神木隆之介が時間を操り弾丸の向きを変えたようなイメージであるが、そんなもんプレイヤー視点だったら「詰み」に決まってるじゃないか笑

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また、今回はジャングルステージでナターリアがプレデター並みの存在感を発揮した。「ありがてぇ」の断末魔の中で何を見たのかはぜひ動画をご覧になって頂きたい。

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トーリーモードであるからして、ミッションは続いている。

傍にまたナターリアがいることが気になって仕方がない坂本さんは視界に敵とナターリアがいないことが不安だったのだろう。このステージではそれさえ裏切ったナターリアは目の前で黒焦げになるボンド坂本に焦点を合わせることさえしなかったのである。

存在する意味が分からない笑

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後半ステージでは「ドアキル」さえ通じなくなり、敵がサイドステップで避けるという視聴者を飽きさせない技を披露してくれた。

この時、坂本さんが「ウッディ!」と言っていたが、以前は西郷さんが何かの動画で「危ない!ウッディ!」と叫んでいたと記憶している。

もしかしたら北海道の方言に「ウッディ」なんてあるのか?

んなわけないよな。

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楽しい時間はあっという間に過ぎる。

ラストステージではファン待望の「奴が来る」が繰り広げられた。ただ、今回の奴はロケランを両手に構えていた。

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後ろから敵に忍び寄って撃ち殺すというのは前編にあった構図であり、後編でも同じ状態を作り出している点で制作者としてもスキルがあると私は思う。(偶然であったとしても)

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しかし、奴はモブではなくボスなので死なない。

ニコ動ならではの楽しみだと思うが、ファンがコメントに対してコメントを書き込むことで場面を盛り上げるということがある。一定の再生数がなければ発生しない現象だとは思うが。

今回は007のファンの方も閲覧しているようで、前編でもストーリーが分からない人の為に注釈コメントがあったと記憶している。恐らく今回のコメントも前回と同じ方だろう。幕末志士のファンは老若男女問わないのだ。

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さて、場面はいよいよ佳境を迎えた。

何発か撃ち込んだ黄金銃とザコが自分の打ったロケランの爆風で死ぬことがあったこと、また二丁のロケランが床にポロっと落ちていたことからして西郷さんは奴は死んだと判断した。一方、コントローラーを握る坂本さんはどこかしらステージをクリアしないといけないという使命感もあってか、下の階もクリアリングし、物音一つしないことから先に進む選択をした。

そして、奴がいたのである。笑

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ホント、このシーン見て欲しいんだけども、扉が開いて奴が現れた瞬間に坂本さんはヘッドショットを決めているのだ。

それでも倒れない奴はもはやターミネーターで、至近距離からロケランを撃ちまくりボンド坂本を沈めるのであった。

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爆風を食らっても平然と立ち続ける奴のラストシーンはもはや狂気を感じる。

「どうやったら死ぬのコイツはっ!」

確かにそうだ。ゲームの難易度を上げたとしてもクリアできるはず。なのに奴は黄金銃を何発食らっても立ち続け、視聴者の背筋を凍らせる。レア社は何を考えているのだろうか笑。

 

これは私の記憶であるが、確かバンジョーとカズーイの氷のステージで氷の壁の向こうに鍵があるのに取れないということがあった。当時ちびっ子だった私は全ての可能性を考えてみたが結局その鍵は取れなかった。なぜなら最初から取れるはずがない仕様だったからである。

クソがっ!怒

と、私は幼心に思ったのだった。

だからこのゲームもクリアできない可能性は否定できない。ドアキルを何回やっても氷の壁には通じないのだ。

 

近年のゲームは間口を広げる為に難易度を下げたものをよく見かける。ワンキーアクションゲームを爽快感と形容するか、退屈の連鎖と形容するかで全く違う。

PV稼ぎのYouTuberがこぞって最新作のゲーム実況をする中、幕末志士の二人は自分たちが面白いと思ったゲームを徹底的にやり込み、なおかつ人に見せて面白いと思う完成度でなければアップしない。視聴者はそれを知っているから再生ボタンを押すのだし、完成度が高いからこそ「一見さんお断り」なんてことはないのだ。

動画の配信をする上で必要なのは、人を惹きつける人間性と、見てよかったと思える内容かどうかだと思う。このバランスが取れていなければいくら有名な教授であっても講義の途中に居眠りしてしまうだろう。

幕末志士は二人で動画を作っていることもあってか、このバランスが取れている。

人格的に問題がある坂本さんを理不尽なゲームが否定するという構図がベースにあって、西郷さんはパワー系なのにゲームをクリアできるという秀才キャラの立ち位置。一人でプレイすることもできるし、交互にやったり、協力したり、バトルしたりと動画のパターンも多い。

これほど動画の完成度が高い実況者はほとんどいないと思うし、画面の外ではファンにグッズを配ったり、フリーゲームを作ったりとキチンと還元している点も素晴らしい。

 

幕末志士は優勝ですよ。

 

個人的に誰かやって欲しいのは老人ホームで幕末志士を上映したらどうなるかという社会実験。

近年「笑い」が病人にとってプラスに作用することが注目されている。例えばヨーロッパのサッカーチームにはメンタル面でのコーチングスタッフがいて、ポジティブな選手ほど怪我の治りが早く、安定したパフォーマンスを発揮することが知られている。

同じようにテレビを見ても全く面白く感じず、日に日に歳をとっていくように感じる老人が幕末志士を見たら何かメンタルに影響するのではないか?と思うのだ。

なぜ幕末志士に限定するのかといえば、語り口調にあって、テレビみたいな不特定多数の視聴者に対して何かを見せるのと違って、彼らの口調が一人のリスナーに語りかけるラジオ(ラジオドラマ系)をベースにしているからだ。これが自己顕示欲を満たすための底辺YouTuberとの明確な違い。

私は物語の中に人を引き込むことに年齢は関係ないと思っている人間なので、幕末志士ならそれを実証できると思っている。手術前のどうにも気持ちが落ち着かない人々が「手術が終わったら後編を見よう」と目標を持てるのではと。

一度も会ったこともない見ず知らずの誰かが、画面の中から外に作用するなんて素晴らしいと思わないか。

医療機関と提携してチャンネルを開くとかあってもいいと思うなぁ。もちろん「全米が泣いた!」みたいな押し付けるものではなく、病室から連れ出すような作品に限定してさ。