モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

星新一の描いた2027年に思うこと。

2015年6月22日に箱根に使徒は出なかった。時代が進むにつれて夢が冷めていく感じがする。
ちなみにドラえもんは2112年に誕生予定。

現代に描かれる未来のイメージはどんなものがあるだろうか?


物理学者のホーキング博士がAIに関する危険性を指摘したのは記憶に新しい。いわゆる「2045年問題」と言われるものだ。
これに関して、疑問を抱く人も少なくない。
報道ステーションに出演しているショーン・K氏もその一人だ。

「F1カーが出現したからといって、普通自動車は無くなっただろうか?」とラジオで例えていた。
用途によって棲み分けされるので、Googleカーのように自動操縦する車が出ても普通自動車が無くなることはないだろうという考え方である。

さて、ここから本題である。
私の敬愛する星新一大先生が遺した作品の中に2027年を舞台にした作品があるのをご存知だろうか?

「お前が星新一を好きなことさえ知らねーよ!」って?

ごっ、ごめんね。

盗賊会社 (新潮文庫)

盗賊会社 (新潮文庫)


その作品は「盗賊会社」42ページに描かれている「あすは休日」という作品で、興味深い内容だ。
ショートショートを平たい文章にするのもどうかと思うが、文章にしちゃうことにしちゃう。

2027年…全ての仕事はオートメーション化し、人間の働く部分が無くなった世界が広がっていた。
それでも人々は人生を満たす為に薬を口に含んだ。
その薬は何もない部屋の中でも「勤労感」をもたらす幻覚剤だった…ゴゴゴゴゴ
人生とは、休日で織り成されるべきものなのだ。人間から休日を取ったらなにが残る。あくまで、まもらなければならない。そのためには、ほかの日々に薬を飲んで、勤労感を味わわなければならないのだ。
あしたは、そのすばらしい休日なのだ。どう過ごそうかなとあれこれ考え、エヌ氏はうれしそうな表情になった。(本文より抜粋引用)
これが、星さんが考えた2027年のライフスタイルだ。
現在と照らし合わせて皆さんはどうお考えだろうか?
ネットゲームだとか映画のマトリックスみたいな考え方が近いのかもしれない。


ちなみに、この物語の主人公であるエヌ氏は「平社員」という設定である。
昭和60年に「非正規労働者」の概念はない。
現在国会で審議されている「労働者派遣法改正案」をこの物語に落とし込んだらどうなるだろうか?と空想する。

3年ごとに解雇され、契約社員というカーストから脱することは容易でない。
必死に働いても残業代はゼロ。
企業は気に入らない正社員も手切れ金を出せば自由に解雇できる。
また、過労死も合法化されるので訴訟を起こしたところで裁判に勝てることは不可能。

何が言いたいのかと言えば「人間」の働く部分は無くなるが「奴隷」の働く部分は無くならず、オートメーション化された世界の裏側には地獄が広がっているのではないか?ということ。

事実は小説より奇なり。

いつの世も恐ろしいのは人間だ。
権力は腐敗する。一人一人がメディアになり、権力を監視してこそ民主主義は保たれる。