先日、FDA=アメリカ食品医薬局がトランス脂肪酸の原因となる「油脂の使用」を3年後に原則禁止することを発表しました。
「トランス脂肪酸」は、大量に摂取すると心臓疾患などのリスクを高めるとされていて、WHO=世界保健機関が、10年以上も前から減らすよう勧告しています。
今回、アメリカで全廃されることになる「トランス脂肪酸」とは、いったい何なのか? どのくらいのリスクが考えられのか?
そして、日本の食品メーカーには、どんな対策が求められるのか?
気になるポイントについて、医師で医療ジャーナリストの村中璃子さんに伺います。
- トランス脂肪酸については様々な悪影響があると言われているが今回、FDAが確定できるとしたものは悪玉コレステロールの血中濃度が上がるということ。どの油もカロリーは同じであるが、トランス脂肪酸の摂取量が多い人ほど悪影響があった
- 80年から90年にかけては飽和脂肪酸を含むラードやトランス脂肪酸を含むマーガリンの消費量が増えた。去年に発表された論文の中にはバターは心筋梗塞のリスクが低いとするものもあった
- 一番健康的と言われるのはナッツ類の油ですか、いちいち揚げ物にナッツの油は使えないので、サラダ油を使って他ではトランス脂肪酸の摂取を控えるのがいいと思います
- 今はトランス脂肪酸が叩かれていますが、5年、10年後に他の油のほうが悪影響であると言われたり、本当はトランス脂肪酸が良かったという意見が出てくる可能性もゼロじゃないと思います
- ヨーロッパでもアメリカと同様に含有量の表示(1食でどれだけ摂取するか)を義務付けている国もあります
- 日本では「WHOが警告するパーセントよりも摂取量が低いから規制しなくていい」という議論になっています。しかし、今回のFDAの発表では安全なしきい値はないとしています。ただ、トランス脂肪酸を含まないマーガリンも危険とする意見もあり一体なにを信じていいのか分かりませんが
- 日本ではトランス脂肪酸と飽和脂肪酸の表示義務はありません。FDAが言う通りに「0」が好ましいですが、何にでもマーガリンやショートニングは入っているので0というのは難しいです。消費者が判断できるようにはっきりと含有量を表示するのがいいと思います
- トクホというのは、これをこれだけ摂取すると身体にいいと言われるものを表示していれば表示は可能です。トランス脂肪酸が入っている可能性もあります
- 村中さんが普段、外食で気をつけてることは?→あまりないです(テヘペロ) 家では魚を食べて外では肉食です
- トランス脂肪酸は悪ではないとしたら何なのか?→タバコやコーラのリスクと比べたら悪影響は低く食べることを楽しませてくれるものだと思います。業界団体のロビー活動も関係しています
《追記》
放送終了後に村中氏に感想を伝えたところ、番組内で言いそびれたトランス脂肪酸の特徴として「腐りにくい」という側面もあるという返事を頂けた。
ありがたや、ありがたや