モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

『思い出のマーニー』の感想

シックス・センスが好きな人に見て欲しい


昨年に公開されたジブリ映画「思い出のマーニー」が金曜ロードショーで地上波初放送された。
私はいつものようにハードディスクに録画予約しました。
気づいてみれば、金曜ロードショーを録画し続けた結果、ジブリ映画をほぼコンプリートしているではありませんか。
まさに「ジブリがいっぱい」です。
無いのは「ホーホケキョとなりの山田くん」ぐらい。
ぜひ、冬のジブリ祭りでお願いしまーす。

さて、今回の「思い出のマーニー」という映画は親の顔を知らずに育ったヒロインが「マーニー」という自分とは全く違う少女と出会い、成長していく過程を描いた映画です。
見終わった感想としては、二回見たくなる構成だったので「シックス・センス」が好きな人にオススメしたいというのが第一感です。
私は予備知識なしで見たのですが、それでもちゃんと分かるようになってます。

パヤオからマロへ

今までのジブリ作品といえば、好奇心旺盛な観客が宮崎駿監督(以下パヤオ)の脳みそを理解しようとする作品が多い。

「なぜ豚なのか?」
「祟り神とは何なのか?」
カオナシとは何者なのか?」
「城ではなく兵器なのではないか?」

…などなど

パヤオは会話の中で不自然な説明言葉を省くので、観客は能動的に物語の世界観や設定を理解することに努めなければなりません。
今作の監督は米林宏昌さんだったので、かなりの親切設計に感じました。

主人公は死にそう


米林監督のデビュー作「借りぐらしのアリエッティ」の主人公も死にそうでしたが、今作のヒロイン「アンナ」も喘息を患っていて、吸入器を手放せない虚弱体質の設定でした。
映画の中でアンナは二回も道端に倒れていました。
これがもう「事案発生」にしか見えないんですよ。

一回目
f:id:ebiharaism:20151010110328j:image

笑…

クレヨンしんちゃんの「死体ごっこ」ではありません。
ナウシカと同じジブリのヒロインです。


二回目
f:id:ebiharaism:20151010110420j:image
ハイビームの先には…
f:id:ebiharaism:20151010110411j:image
こういうのお笑い用語で「天丼」といいます。
靴のデザインはコンバースっぽいですね。

こういった今までにないお笑い要素を取り入れているのは新しいですね。(そもそも笑う場面じゃないのかもしれないが)
この時点で「ゲド戦記」よりも面白いです。

レズレズしい

一方で残念な点は女子が手をつないでじゃれ合っているのが「レズレズしい」ところ。
ここは好き嫌いが分かれるでしょう。

以前にラジオで「マロ(米林監督)は女の子の絵ばかり描いていた」と鈴木Pがラジオで言っていたので、監督の作風なのかもしれませんね。
他の映画でいうと「花とアリス」が似た雰囲気だと思います。

物語の終盤では、アンナが恨みの対象にしている自分の義母や自分のルーツの根底に愛情があることが分かり、常に周りの人間に苛立っている自分への呵責からも解放され、ヒロインっぽい笑顔を取り戻します。
それは同時に観客の中にあった謎が全て解ける瞬間なので、そういった意味でまた最初から映画を見たくなると私は思います。

アクションシーン

基本的にヒューマンドラマなので、魔法とか近未来的な世界で見られるアクションシーンはありません。
アクションシーンとしてあえて挙げるなら以下になります。

  1. 映画の冒頭で遠心力を保ったチャリンコが走り去るところ
  2. アンナがおばさんの家に向かう途中の車内のカボチャ
  3. おばさんがアンナにトマトを投げるシーン
  4. アンナが包丁でトマトを切るシーン
  5. アンナがボートでマーニーの家に突っ込みそうになるシーン
アクションシーンは以上です。
見たくなりましたか?
『見たくなった!』と思うアナタはどうかしています。

総評として「面白い」



Yahoo!のサイトにユーザーが映画のレビューを投稿するサービスがあります。
金曜ロードショーの影響もあり、新しい書き込みが増えていますが、現時点で5点満点中「3.7」という評価になっています。

先ほども書きましたが、米林監督にとっては2作目で「借りぐらしのアリエッティ」よりも面白いですし、ゲド戦記よりも面白いです。
感情を表に出さないヒロインが「恨み」を抱えて生きているという難しい設定ですが、それをマーニーにぶつけるシーンは見終わった後に重要なシーンであると気付きます。
アリエッティよりもシナリオに深みがあって、間延びするような余計なシーンはなかったように思います。
作中ではアンナの口からマーニーという存在が何なのかが語られる場面があり、加えて「日記」の存在によって確定するので、「千と千尋の神隠し」を見終わった後にある「で、結局なんだったの?」みたいな事はありません。

米林監督にはシナリオ重視の作品を作ってもらって、アクション重視の監督がもう1人いればジブリは安泰ですね。