モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

「むのたけじ〜百歳の不屈」の感想

NHKドキュメンタリー - ETV特集▽むのたけじ 100歳の不屈 伝説のジャーナリスト 次世代への遺言

「お年寄りは大切にしろ」と子供の頃に教わった。
誰もが健康に生き、活力のある人生を送ることはいいことだ。

 65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます。)人口は3186万人(平成25年9月15日現在推計)で、総人口に占める割合は25.0%となり、人口、割合共に過去最高となりました。
総務省の統計では日本の人口の約3割が65歳以上だという。
医療技術の発達と壺型の人口構成がスライドした結果だ。これから日本は世界で稀に見る超高齢化社会を迎えることになる。

100歳を迎えた「むのたけじ」さんは超高齢者にあたる。
私がむのさんを知ったのはIWJのデモの取材を見たのがきっかけで、「モーニングバード」のコーナーで特集されていたのも拝見した。
本当に100歳なのか疑いたくなるほどハッキリと言葉を喋り、記憶力も鮮明。
今回Eテレの特集を見て、ますます老人に思えなくなった。

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当時のむのさんは20代前半で朝日新聞の記者をしていた。
政府を真っ向から反対した数少ない議員を取り上げ記事にした。
番組スタッフが国会の音声を聞かせると、むのさんは少し興奮したように記憶の蓋を開け、その時に何があったのかをありありと語った。

政府が議事録からその議員の発言を削除したというのには驚いた。
先日、安保関連法案の採決で「聴取不能」とされていた議事録に安倍政権が「可決」と加筆したのをフラッシュバックした。

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東條は勇ましい演説をしたあと、大衆と寄り添うようなプロパガンダを流していたそうだ。
いつの世も為政者のやることは変わらないと感じる。

その後、むのさんは体制翼賛の記事を書くことになる。
西洋の植民地となったアジアを解放するのだと聞いていたが、現地には威張り腐った日本兵がいた。
上官から慰安所へ行けと命令されても、むのさんは拒否した。
「女を買えないやつが人を殺せるか!」と言われても拒否すると殴りつけられたという。
倫理観を壊さずにいられたことも凄いことだ。

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現地は死体だらけ。
そんな中に可愛い自分の子供を送り出す親の気持ちも記事にした。
親は嫌だとは言えないから、どうかお願いしますとしか言いようがない。


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ジャワ島からオランダ軍を追い出した日本軍は、統治するにあたって地元住民ではなく日本人を市長にすると知ったむのさんはリーク記事を書いた。
国内では小さな記事だったが、現地では大騒ぎ。激怒した政府はむのさんを叱りつける。
それでもむのさんは「間違えちゃった(テヘペロ)」でやり過ごす。

東京大空襲では兵士でもなく、武器を作るわけでもない一般市民が焼け死んだ。
そこで見た、椅子の上であぐらを組んだまま燃えた老人の遺体に衝撃を受けたという。

終戦を迎え、むのさんは「一から人間を作り直す為」と朝日新聞を辞めた。
番組スタッフが「どうして辞めたのか?」と訊くと、端的に体制を批判できなかったからだと。
その後、地元で「たいまつ」という小さな新聞を作り、今は公演活動を通じて平和の大切さを説いている。

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『戦争で殺されるくらいなら、戦争を殺す為に命を捨てるほうがどれだけ大事なのか』

『ジャーナルというのは、その日に何があったのかを書く個人の日記だが、ISMが付いた私達ジャーナリストは何によってどんな影響が今日おき、明日はどうなるのかを読者に伝えなければならない』

強い意志を持ったむのさんの言葉にドキッとさせられた。

番組の終盤には今のメディアに対してどう思うか?という質問を投げかけられるシーンがあった。
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冷めない情熱を持つジャーナリストを私は心から尊敬する。
翻って、今のメディアはどうだろう?
新聞を軽減税率の対象にしてもらう為、政権にすり寄る新聞記者を心から軽蔑したい。



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