モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

【情熱大陸】世界最大級の難民キャンプで今、何が起きているのか?の感想

情熱大陸 | MBS
今年、ヨーロッパに流入する多くのシリア難民の姿がクローズアップされたが、同じ頃、大滝はアフリカ・タンザニアにあるニャルグス難民キャンプにいた。シリア難民のニュースに隠れその存在をあまり知られていないが、コンゴやブルンジの内戦を逃れた人たちが毎日数百人単位で増え続け、今や16万人を超える世界最大の難民キャンプとなっている場所だ。
番組では今回、この地で大滝が看護師としてではなく、医師団の統括リーダーとして陣頭指揮に当たる姿に密着する。世界各国から集まった医師や看護師、薬剤師の配置から医療技術支援、移動病院の管理に栄養リハビリテーションの指導。更には現地の保健担当局との協力や国際支援団体との交渉まで、当然の事ながら全ての任務を英語でこなしチームを統率して行くというのはこれまでの経験とは全く異なる。日本のテレビカメラは殆ど入った事が無いと言われるこの地で今、一体何が起きているのか?難民キャンプの最前線をひた走る39歳女性の姿を追った。

新年を迎えた最初の放送ということもあり、いったい誰が出るのだろうかと気になっていたのですが、意外なことに大物ミュージシャンや俳優の密着取材ではなく、アフリカで難民支援を行っている女性の特集でした。

シリア難民については色々な媒体を通して知識があるのですが、アフリカというと「ホテル ルワンダ」ぐらいの知識と、近年ではチャイナマネーのインフラ投資、それと前の代表と比べたらサッカーカメルーン代表の戦力落ちたよねぐらいの漠然としたイメージしかありません。
メディアもまた、ボコハラムなどの武装組織によるテロ事件などが起こらないと、アフリカの情勢を伝えないので、このようなイメージを持つのは私だけではないのかもしれません。
今回の放送では、大滝潤子という人間を通して、生活を破壊された人々がどのように生きているのかを知ることができました。

まず驚いたのが、大滝さんが国境なき医師団に身を投じたキッカケが「失恋」だったということです。

えっ、怪魚ハンターと一緒なのっ⁉︎ 


失恋をした大滝さんは、どうせ結婚できないならやりたいことをやろうと踏ん切りがついたそうです。
今では難民キャンプを統括するリーダーを任されていて、カメラは活き活きとした彼女の仕事ぶりを映していました。

医療現場は決断の連続です。
「長時間労働が続いているから、もう少し勤務時間を短くできないか?」と現地の医療スタッフから申し出があったのですが、彼女はそのスタッフの気持ちを理解した上で、過酷な現場であることを承知して加わっているのだからその要求を認めることはできないと断りました。
『医者が身体を壊しては元も子もないではないか』と思う方もいると思います。
それを理解するには国境なき医師団が自ら掲げる憲章を一読することをお勧めします。


アフリカの難民キャンプでは仕切りもない1つの仮設テントの中に200人が生活を共にしていると紹介されていました。
圧倒的に医師が不足しているのです。
国境なき医師団は政治的にも経済的にも中立性を保つために「ボランティア」に位置付けられています。
その過酷な状況が本来、リーダーとはどうあるべきかを映し出しているように思いました。

「難民」という言葉で抽象化されたとしても、一人一人が歴史を持っています。
大滝さんは処置は医療スタッフに任せて、不安そうな母親に話しかけたり、薬指の先端を切り落とされた老婆の話を聞いて心を和らげていました。
視野を広くもち、問題があればすぐに会議の議題に挙げて他のメンバーに意見を求めます。(先ほどのスタッフのシフト改善も)

資本主義社会には現場を見ずに判断だけを下す社長が腐るほどいますが、倫理を欠いた経済活動がどれほど人々を不幸にするのか知らない人間は社長のイスに座るべきではないと私は思いました。