モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

【100de平和論】フロイト著「人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス」

新春スペシャル「100分de平和論」2016年1月2日(土) 21:30~23:10 Eテレ|100分 de 名著

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今年も100de名著の特番が放映されました。
去年は多角的な視点で「日本人論」を語っていたのを覚えてます。特に印象だったのは精神の中空構造に裏付けされた、日本人の無責任体質でした。
さて、今回のテーマは「平和論」
平和というものがどのような性質をもっていて、またどのようにしたら平和を保つことができるのかを四人の論者が名著を持ち寄って探る内容でした。
各パートごとにまとめておこうと思います。
 
番組冒頭で世界の平和度指数がディスプレイに映されました。
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✳︎補足
2013年6月に発表された2013年版では162か国・地域を対象にしており、前回調査よりも評価が上がった国・地域が48であったのに対し、下がった国・地域は110に上った。評価が高い国は1位アイスランド、2位デンマーク、3位ニュージーランド、4位オーストリア、5位スイス。日本は前回5位であったが6位に順位を下げた。尖閣諸島(せんかくしょとう)をめぐる中国との対立が顕在化したことが原因とされる。軍事支出の多いアメリカは99位で、最下位はアフガニスタンであった。
 
次に、ゲストの高橋源一郎さんが小説の審査員をやっていると、主に30代から40代の作家の作品で戦争小説が増えていると言っていた。
そして、宮尾節子さんの「明日、戦争がはじまる」に注目が集まったことも挙げていました。
 
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戦争と人の心

 
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一人目の解説者、精神科医の斉藤環さんが紹介したのは、フロイトアインシュタインに書いた手紙をもとに推論した「人はなぜ戦争をするのか」でした。
 
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人間を戦争の脅威から救う方法はあるのか
なぜなら人間は憎悪と破壊を求める性質を自らの内に持っているからです。

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人間の内側にこの性質がある以上、復讐の連鎖を断ち切るのは容易ではない。

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感情的な共同体を機能させる為には、権力者と法の支配が必要になります。
「法」は個人の自由を奪う「暴力」であると解説がありました。
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しかし、国際社会においては平和を理念として掲げているため、暴力装置である強制力の行使は適当ではありません。
「仲裁役のいない秩序なき世界」であるという問題が浮き彫りになります。
そこでフロイトは、人間が内に持っている「生の欲動」死の欲動に目を向けます。
 
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攻撃の欲動や破壊の欲動が、こうした動機の一つであることはたしかです。
歴史においても日常においても、数限りない残酷な行為が行われてきたことが、この欲動の存在とその強さを証明しています。
死の欲動の一部は、生命体の内部に向かって働きつづけているのです。
この欲動の力が外部の世界での破壊活動に使われると、生命体にとっては負担が軽くなるわけであり、好ましい結果をもたらすのは確実なのです。
人間のあいだに感情的な絆を作り出すものは何でも、戦争を防ぐ役割を果たすはずです。
文化が次第に発展してくると、人間の欲動の目標が次第にずらされ、欲動の動きそのものも制限されるようになります。
文化の発展がもたらすものは全てが、戦争を未然に防ぐように機能すると主張することはできるでしょう。
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斉藤環さんは、感情的な結びつきである国と、文化の発達によって欲動が制限された個人の例として、現在の中国を挙げていました。
 
強制力のない平和な世界においては、国そのものが「暴力装置」に変異する可能性があるのではと考えてしまいました。(オレがルールだ!というジャイアン理論でね)
 
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『平和のためにできることは"対話(ダイアローグ)"である』 斉藤環
 
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だれもが平和主義者になるまで、あとどのくらい待たねばならないのでしょうか。
この二つの要素、すなわち文化的な姿勢と、将来の戦争の惨禍に対する根拠のある不安という要素もあいまって、近い将来に戦争はなくなると期待するのは、ユートピア的な希望ではないのかもしれません。
それがどのような道や迂回路を通って実現するのかは、予想もつきません。  ジークムント・フロイト
 
まとめ
自己破壊しない為に外界の破壊をする人間を止めるには、文化の発展が必要不可欠であり、個人、または感情的な結びつきである共同体同士の交流によって、戦争を避けることができるはずである。
 
 
フロイトかっけーですね。