怖がりな少女が老人から5千円ひったくる話
本のカバーには「2人の少女が屋敷の謎に挑む」という大まかな内容が書かれていました。
幼少期特有の冒険心というのは、日常生活の中で忘れてゆくものです。私はそれを思い出したくなり、この本を読みました。
親切な事に屋敷の間取り図と相関関係も挿入されてます。
私は人物がたくさん出てくるとパニックになるので、この親切設計でも分かりにくかったです。
分かりにくさというよりも、前半は「あの掛け軸こわくね?」ぐらいしか謎がないのに、後半になると読者の理解など御構い無しに話が進んでいくのがキツい。
たしか、人間って血液の三分の一を失うと死ぬんですよね。
夜中に屋根裏部屋で探し物をしていた爺ちゃんが、鬼の仮面を被った誰かに驚いて頭を打ったというシーンなんですが、天井から血が滴り落ちるほどの出血をしたら死にますよね。
でも、爺ちゃんは死なないんですよ。
後の登場シーンは病室を訪れた奈都に「トロイメライ」という謎の言葉を言う
ぐらいしかないんですけど。
そのやり取りを聞いていた看護士が「オルゴールの名前じゃないかしら?」って。
なんでわかんねん!っと突っ込んでしまいました。
その後、なっちゃんは待合室にいた豆大福屋の爺ちゃんから金をむしり取るのです。
笑うわっ!
不良 「おい、金出せよ!」
被害者「もっ、持ってないよ!」
不良「持ってない⁈ ジャンプしてみろよ」
被害者「ジャンプって…」
不良 「跳べっつってんだよ‼︎」
被害者「ひぃぃ!(チャリン)」
不良 「てめー持ってんじゃねーかよ!」
↑もはやこのテンプレと同じジャンルですよね。
怖がりな少女が豆大福屋の主人から金をむしり取るっていうシーンが強すぎて、雪子伯母さんの出生の秘密とか、話の核となる部分がどうでもよくなってしまいました。
まぁ、そうですねぇ。あと細かいところで気になったのは、みんな屋根裏部屋に出入りしてるけど、アスベスト大丈夫なのかね?とか、うさぎって人参も食べるから蔵波一族は肉食なのか?とか、家長栄吉が宴会で八重子と勇の婚約発表(公開処刑)を仮にしなかった場合、お腹の中に居た雪子は確実に勇の攻撃対象とされただろうとか…。
この物語で一番重要なところは親戚づきあい面倒くせっです。
「サマーウォーズ」みたいに力をあわせる場面はないですが、そうした面倒くさいわだかまりを解決することで、5000円の罪も無かったことになります(5000円を返す場面はなく、エピローグでは犬を飼おうと言ってます)
物語の終わり方は綺麗です。
「ふわふわの髪の毛を片側だけ耳にかけていた」
片耳うさぎにだけにな←
右側が出会うシーンで、左が謎が解けた終盤です。
奈都がさゆりを絶世の美女と見ている事が分かります。
しかし…カバーのイラストを見る限り…
う、うーん…
- 作者: 大崎梢
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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