モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

【100分de名著】第一回「永遠平和のために」

名著57 永遠平和のために:100分 de 名著

頻発する国家間の紛争によって、平和秩序が大きくゆらいでいた18世紀ヨーロッパ。人々は、国家間のエゴの対立による「戦争の脅威」に常に直面していた。世界の恒久平和はどうやったらもたらされるのか? カントは、その根源的な課題に向き合い解決するために、自らの哲学的思考を駆使して「永遠平和のために」を執筆した。「常備軍の廃止」「軍事国債の禁止」「内政干渉の禁止」といったアイデアを提言した平和論だが、それは単なる理想論ではないかと批判されてきた。

 

ドイツの哲学者
イマヌエル・カント(1724-1804)
1795年『永遠平和のために』を刊行
この時、カントは71歳だった。

 

論点

  • 国家とは何か?
  • 個人と国家の関係
  • 国家と国家の関係

 

カントの生い立ち

ケーニヒスベルク/現在のロシア領カリーニングラード州に生まれた。
裕福ではない家庭だったが勉学に励んだカントは16歳で大学進学する。哲学者になったのは30代、46歳の時に大学教授へ就任した。「純粋理性批判」を発表したのは57歳になってからだった。
道徳を貫き一切の嘘を認めないという厳格な考え方がドイツ哲学界で話題となり遅咲きの哲学者カントは脚光を浴びた。

 

カントは厳格なまでに規則正しい生活を送った。
毎日、早朝5分前に目覚めて紅茶を2杯飲み、朝7時から大学の講義を行う。

昼食後の3時30分、どんなに悪天候だったとしても同じ時間に同じコースを散歩した。散歩するカントの姿を見て時間を確認する人もいたという。

 

1789年 フランス革命
絶対王政は崩れ国民主権国家が誕生
1792年 バーゼル平和条約

 

カントはこの条約に不信感を抱き、これは停戦条約であって戦争を永久に終わらせることはできないと考えた。
そして「永遠平和のために」を書いたのだった。

 

永遠平和のために

1.戦争原因の排除

将来の戦争の原因を含む平和条約はそもそも平和条約とみなしてはならない。
その理由はこの条約はたんなる停戦条約にすぎず、敵対的な状態を延長しただけであり平和をもたらすものではないからである。

 

2.国家を物件にすることの廃止

独立して存続している国はその大小を問わず、継承、交換、売却、贈与などの方法で他の国家の所有とされてはならない。

 

3.常備軍の廃止

常備軍はいずれ全廃すべきである。常備軍が存在するということは、いつでも戦争を始めることができるように軍備を整えておくことであり、他の国をたえず戦争の脅威にさらしておく行為である。

 

4.軍事国債の禁止

国家は対外的な戦争を理由に国債を発行してはならない。危険な財力であり戦争遂行の財源となるのである。

 

5.内政干渉の禁止

いかなる国も他国の体制や統治に暴力をもって干渉してはならない。

 

6.卑劣な敵対行為の禁止 

いかなる国家も他の国との戦争において、将来の和平において相互の信頼を不可能にするような敵対行為をしてはならない。

 

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伊集院さん)それができないんじゃないの?って思うんですけど…

 

人間は邪悪な存在

【社会契約説】
ともに暮らす人間たちのうちで永遠平和は自然状態ではない。自然状態とはむしろ戦争状態なのである。
つねに敵対行為が発生してるわけではないとしても敵対行為の脅威がつねに存在する状態である。平和状態は人間が作り出していかなければならない。

 

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↑伊集院さんは問題を把握するのが早いので解説いらないですね。

 

以上。

 

✳︎個人的な話ですが解説の萱野さんが苦手なので、このシリーズはいつもより雑なまとめでお届けします…笑