モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

読まれない小説について

小説を書いても読まれないとか、イラストや漫画を描いても見てもらえない人は星の数ほどいると思う。私がnoteに投稿した小説の中で一番読まれた作品の閲覧数は127PVしかない。しかも約1年前のものだから、1日あたり3人読むかどうかというレベルの話だ。

一方、自分がネット小説を読んでいるかといえば、読むのは青空文庫ぐらいでそれ以外はほとんど読まない。(だって、目が疲れるんだもの)

つまり、誰もが無料で読むことができる環境であったとしても、小説好きが必ず読むとは限らない。

また、どうして私が青空文庫を読むのかといえば、無料である程度名の知れた作家の作品を読めるからだ。

例えば、強いポケモンが欲しいトレーナーにとって「弱そう」なポケモンは眼中にないように、面白い小説を読みたい人間にとって「つまらなそう」な小説はクリックされない。だからラノベ界隈では「外見」に該当する「タイトル」がネタバレほどに長ったらしい。それはまるで高いところにある葉っぱを食べるために首を長くしたキリンのように、リーチを伸ばして進化したといっても過言ではない。

では、私がラノベを読むかといえば読まない。小説であろうと映画であろうとご都合主義の作品はつまらないと思うからだ。(口達者なやつほど最初に絶命するというようなテンプレ展開は除く)

どちらかといえば理路整然と残酷が迫ってきたり、不条理があるもののほうが好きだ。私が書いた読まれない小説のほとんどはそんなものばかりで、救いがなく、大衆向けでないからリーチが短い。

ただ、連載漫画や朝ドラで読者にアンケートを行って、読者が好む傾向に沿って作品を変えることは正しいエンターテイメントのあり方だと思っている。そういう意味ではラノベ文化も同じだし、トレンドを作品に取り入れることを理解した読者は「旬のもの」として読むだろう。需要と供給がバランスしているからこそ文化が成り立つのだ。

 

環境に対応できない幾多の生物が絶滅したように、大衆に媚びずにトレンドを作品に反映しない作品は時代が変わらない限りはほとんど読まれない。宮沢賢治ゴッホはそうやって「死後評価」されていったが、ネットの場合はどうだろうか?

アップロードされた幾多の作品はサイトのサービス終了とともに消え去って、その存在を知るものはほとんどいなくなる。他人に認知されず、存在が証明されなければ死んでいるのも同じことではないだろうか。ようやく作品を作り上げるのを「生みの苦しみ」と形容することがあるが、読まれなければ「死産」になる。産声を聞きたくば読まれなければならないのだ。

作者の没後も作品やキャラクターが愛されているのは、作者を理解しようとする読者に対する答えを作者が持っているからだと私は思う。これはいかにして作中に奥行きを持ち、読者が解読できる情報量を持つかということ。作品に対する愛があるのならば未完のまま作家が絶命したとしても「きっとあの人ならこう書いただろう」という虫食いワードを読者は埋めることができる。

ゴッホ宮沢賢治もこの「埋葬」に至るまで何年も必要とした。天才や時代の先に行く人間(技量もないのにわーわー言ってる勘違いナルシストではなく)は理解されにくく、それ故に「解読者」の存在が必要不可欠だ。

しかし、現代においてはメディアが多様化しているので、本を読む人間の母数が減っているし、そればかりか人口が減少しているので売れる本しか出回らない。

仮に解読者がいたとしても『ちょっ、ごめん。今、ゲームやってるから…』ということになり、理解されない本は出回らないし、解読できる人間もいなくなる可能性は十分にある。

 

このように無料で読める環境に作品を置いたとしても、今を生きる人々が生み出した作品に加えて、著作権という名の封印から解かれた偉人たちが次々と現れる。名無しの私たちはこの競争に勝たなければならないのだ。

夫が大切にしているフィギュアを簡単に妻が捨て去るように、一方で夫はその妻が事あるごとに高級なバッグを買い漁るのを苦々しく思うように、異なる価値観の主導権争いは世界の至る所で行われている。重要なのは自分の座標軸を見失わないことだと私は思う。

 

 

 

さて、その読まれない小説に新しい仲間が加わることとなった。

先日書いた通り「タイムマシン」のショートショートで不採用となったので公開することにする。

物語の内容は、シングルファーザーが余命幾許もないわが子のためにタイムマシンで季節ごとの風景を見せる話で、最後に子どもの願いを叶えるというもの。伏線も綺麗に回収できたと思うが、選ばれることはなかった。

ちなみに選ばれた作品は私にとっては面白くなかったので、私の感性に問題がある可能性は多分にある。ただ、媚びた内容の下ネタが面白いならば一生選ばれることはないだろう。

 

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