モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

「ちびしかくちゃん / 著 さくらももこ」の感想

ようこそ!殺伐としたパラレルワールドへ!

アフター6ジャンクション|TBSラジオFM90.5+AM954~聞けば、見えてくる~

さよならサンシャイン♪

こっからが僕らのファンタイム

らんらんるー♪ らんらんるー♪(てきとう)

先日「After6Junction」を聞いていたところ、お亡くなりになったさくらももこ先生の遺作をトミヤマユキコさんが紹介していた。
その作品の名前は『ちびしかくちゃん』
紹介によると読者を困惑させる内容らしい。
謎が好きな私は早速、アマゾンのターザンの品評会をチェケラッチョしたところ低評価が多く見られた。ざっとまとめると「ひたすら悪口で気分が悪い」という感じだ。
それなのに売り切れているのはなぜなんだぜ?
どうせ、転売のインチキおじさんが買い占めてるんだろう。まぁいい。
とにかく、嫌な気持ちにさせる作品が好きな私は販促効果を食らって『ちびしかくちゃん』をまんまと買ってしまった(本屋グッジョブ)のだ。なんて短絡的な人間なのだろうか…。ダメ人間です。

f:id:ebiharaism:20180906133736j:image

ここからは感想になるが、『まるちゃん』ではなく『しかくちゃん』というタイトルの通りのビジュアルでコジコジの先生みたいなサイコロヘッドをしている。

f:id:ebiharaism:20180906133810j:image
そして気になる中身はといえば角が立っている。
この時点で発想勝負である事が分かると同時に、嫌な気持ちになったという理由がプンプン漂っている。(だまちゃんって何よ 笑)

f:id:ebiharaism:20180906133943j:image
ページをめくるとお馴染みのキャラクター達が姿を変えて現れた。

f:id:ebiharaism:20180906134018j:image
原型が消え去っていたり、名前さえ存在しないキャラがいたりとやりたい放題。
個人的には「ぱなまくん」というネーミングが面白くて「これ絶対パナマ文書タックスヘイブンから来てるでしょ?」と読みながらツッコミを入れてしまった。なんで金持ちなのか誰にも分からない感じが闇に富んでいた。笑

f:id:ebiharaism:20180906134124j:image

キャラクター達はとにかく言葉が刺々しくて辛辣。(優しさのカケラもないお母さん…)
教室の中では何かにつけて「お前が悪い」という自己責任論が展開される。この教室や家は現代の殺伐としたネット空間と変わらない。
漫画に関わらず映画でもドラマでも主人公に感情移入できるかどうかが重要な要素だが、この作品はみなさんお馴染みの『ちびまるこちゃん』という知名度が前提にあるので難なく感情移入できる。
だからこそイジメにしか感じない読者が居ても理解できる。ただ、原作と比較して楽しむというコンセプトの通り、たまちゃんとのケンカなどメタ要素もあり、違う世界線の日常が楽しめる。

その中でも一番刺さったのが短冊の願い。

f:id:ebiharaism:20180906134402j:image
これは切なすぎる。さくら先生はどこまでを見越して描いたんだろうかと考えてしまう。
巻末にはしかくちゃんのツライ生活を笑いに変えるおまけ要素もあったり、懐かしの『神のちからっ子新聞』も載っている。
ほのぼのした作風のまるちゃんが好きな読者が拒否反応を示してしまうのは不思議ではないが、総合的に見ると痛みを緩和できるようにちゃんと考えられている。
また、グランドジャンプがWeb連載という事もあってか作画がデジタルっぽいのも注目点。(絵はそのままペンで描いて、スクリーントーンなんかはデジタルで仕上げた感じがする)

兎にも角にも知ってる人ほど楽しめるドープな作品だと思う。
ちなみに私が一番印象に残っているのは59ページに載ってる、夜に人んちの玄関で泣き喚くオッサンと子ども達の絵。

f:id:ebiharaism:20180906134749j:image
笑うわ。

(おわり)