モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

「BRUTUS〜続・いまさら観てないとは言えない映画&いまだからこそ観たい映画特集〜」の感想

「危険な読書の特集っていつだっけ?」

そんな疑問が頭に浮かんで、久しぶりに書店に行きました。結果的に分からなかったのですが、今月の特集も面白そうなので買ってしまいました。

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存在感のある表紙。

メインとなる企画はーー

大林宣彦/黒木華/柳楽優弥/黒澤和子/町山智浩/入江悠/増子直純/瀧本幹也

ーーといった著名人が『観てない映画』を語りつつ、自分と映画の出会いや好きな映画を語るという内容です。

そのなかでも刺さったのはトップを飾った大林宣彦監督の言葉。

「シャッターが閉じているのは5/9秒、下りているのは4/9秒。つまり90分の映画なら、50分間はスクリーンに映像が映っていて、40分間は何も映ってないんです。じゃあその40分間、人は何を観てるかというと、暗闇に残像を観てる。」

〈中略〉

「黒さんがね、俺はもともと絵描きだから映画とはコマに画を映すことだと思ってきたけど、どうも俺の撮ってない画が紛れ込んでるんだって、80歳を過ぎてから言ったんです。大林くん、やっと気付いたよ、映画とはコマとコマとの間に隠れてるんだ、そこに宿る魂をどう引っ張り出すかが監督の仕事なんだと。」

戦争を背景にした映画との出会い、映画という現象の構造と晩年の黒澤明監督の名言を語っていて、この企画のトップを飾るに相応しいインタビュー記事でした。この時点で「買ってよかった!」と思いましたね。

あと面白いのが、黒木華さんは恋愛映画にアレルギーがあるけど『SAW』やゾンビ映画が好きと告白していたり、柳楽優弥さんは『スターウォーズ』を観てないとか(しかも共感できる話で)。黒澤和子さんは家で開かれる夕食会に加山雄三さんが来てたから、世間一般で言われてる『若大将』と同一人物だと思わなかったって証言してるのも面白かったです。
それぞれのコメントを読むと、商業として成立させるための大衆性の要素とテクニカルな演技や構成を意識した専門性がせめぎ合っているのが興味深かったです。

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↑こちらは「いまだからこそ観たい映画特集」の扉絵です。企画としても面白いんですけど、個人的にはイラストに心を掴まれました。このページはササキナオコさんという方が描いたそう。

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↑こちらは太陽系にSF作品のタイトルを並べた見開きページです。(写真は半分ね)
宇宙ってどこまでも無機質ですが、この絵みたいに温かみがあると世界観が広がりますね。この絵は壁に飾りたいぐらいいい感じです。ツバキハラマサヒロという方が描いたそう。

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↑似顔絵上手いわぁ。ミクニヒロミという方の作品。

 

…とまぁ、こんな具合に映画の話をほとんどしないまま私の感想は終わるわけですが、この他にもオススメの映画配給会社やファッションブランドが制作した動画の紹介だったり、ナイツの観てない映画の漫談やらASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤さんが出たりと、様々な方の話が懐石料理のように並んでますので興味のある人は「早く買わないと売り切れちゃうぞ!」って感じです。

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↑ほら、ゴッチさん。

 

(おわり)