モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

【ラジオなんですけど】ゲスト:ブレイディみかこ(保育士/ライター)

ファンキーなお好み焼き屋さんとパンクな保育士

先週の「ラジオなんですけど」で、今週のゲストがブレイディーみかこさんだと知って放送を楽しみにしていました。

ゲストコーナーの前にはメール紹介のコーナーがあって、今週は消費税10%についてどう思いますか?というテーマです。

ここで「みりおんばんぶー」というお好み焼き屋さんからのメールが紹介されたんですけど、蓄積されていた怒りが堰を切ったように言葉に変わって止まらない、止まらない。(笑)

増税に伴って経産省がレジを買い換えれば補助金を出すとCMを打ってるけど、レジなんてすぐに壊れるものじゃないから、メーカー側にも在庫がないし、そもそもレジを作ってる企業も数社しかない。にも関わらず、10月までに買い換えないと補助金は貰えないうえに6月になるとキャッシュレス化のキャンペーンも終了して、クレジットカード会社に売り上げの2〜3%払わないといけない。大企業ならまだしも、個人事業主はやっていけない。結局、国民の情報が欲しいだけの愚策じゃないか!と問い合わせ先に言ったと、みりおんばんぶーの女将さんが言ってて、久米さんが「お役所に負けないで下さい。あいつらバカなんだから」と相槌を打っていて面白かったです。

たしか、みりおんばんぶーさんはJ-waveのGrooveLineのヘビーリスナーだったはず。あと、身体を悪くしたけど夫婦で山に登りたいって大竹まことさんのラジオでメールして、何かプレゼントが当たっていた記憶があります。(ラジオ業界ではよく聞くお名前)

リンクも貼っておきます。

みりおんばんぶー

ゲスト:ブレイディみかこさん

ここからはゲストコーナー。

以下、メモです。書き起こしではないので、正確なものが知りたい方はradikoのタイムフリーで聴いてみて下さい。期限は1週間です。

久米さん)お名前はなんてお呼びすればよろしいですか?
みかこさん)みかこさんとか、向こうではミッキーとか呼ばれてます。
久米さん)ブライトンはイギリス海峡に面していて、福岡もユーラシア大陸に近くて似てますね。
みかこさん)似てますね。海がないとダメ。ここがダメだったらどっか行けるみたいな。
久米さん)イギリスって付加価値税いくつですかね?
みかこさん)幾らだったか忘れましたが、先ほど日本はイギリスを見本にしてると言ってましたけど、私たち一般生活の物や本に税率かからないんですよ。富裕層にはかかりますけど。
日本って本にもかかるんですよね? 弱者いじめじゃないけど、逆進性がかかって嫌いですね。
久米さん)イギリスでは階級を意識しますか?
みかこさん)トニー・ブレアがイギリスには階級は存在しないと、一億総中流みたいな事言ってましたけど、エスタブリッシュとの格差は想像以上に開いています。
学校現場では制服が買い換えできずにツンツルテンだったり、濡れても替えがないから、先生たちが制服の事だったり、ご飯が食べられない子にお金をあげたりして、ソーシャルワーカーだねって話をして。でも先生とソーシャルワーカーって別ですからね。

久米さん)なぜ保育士になったんですか? もともと嫌いだったんですよね?
みかこさん)そうです。でも、自分に子どもができてから面白いと思うようになって、ブレア政権の時に無料で資格が取れるという事で始めました。最初は見た事ない人種に子どもたちは泣いたりしてたんですけど、卒園する時は抱き合って泣くようになりました。ロンドンでは移民が多く、ブライトンはまだ白人が多いですね。
久米さん)サッチャー政権の時の公営住宅の払い下げに住んでる人がいるんですか?
みかこさん)買ってる人は転売したりしてましたけど、地価が上がっても元公営住宅って事で値段が上がらなかったんですが、今は30代で家を買って改装する人もいて、デザイナー公営住宅なんて言われるんですけどね。
久米さん)白人のほうが貧しいんですか?
みかこさん)ブライトンはロンドンと比べて仕事が無くて、移民の方は仕事を求めて来ますから、移民でも医師の方がいたりしますからね。
久米さん)僕はイエローでホワイトでちょっとブルー面白かったです。ここで「労働者階級の反乱」を少し読みたいと思います
みかこさん)新書のほうですね。
久米さん)配偶者の声で目が覚めた。

「俺たちは離脱するんだぁぁぁ!オーマイガー!」
みかこさん)私は残留派に入れましたが、自分で離脱に投票して離脱するとは思ってなかったんですよ。(笑)
残留すると思っていた人は多いと思います。
久米さん)離脱に振れた原因がご著書を読んで、なんとなく分かりました。EUは官僚機構で、ドイツがいるから緊縮財政でこれが気に入らない、何か変えたいって人がいるわけですね?
みかこさん)まだらなので一言では言えませんけど、私の近所の方はみんな排外主義者でもないし、私達に対する態度も悪くない。なのに「えーっ?あなたまで入れたの?」ってリベラルな人も離脱に入れてました。
イギリスにはNHSという無料の医療がありますけど、こうした制度は貧しい人たちが使っている。だけど、これは緊縮財政で切り詰めた結果こういう生活を送っているのに、移民に怒りの矛先が向けられてデマを信じてしまうんです。
私達の生活に関わるものが切り詰められて、移民に怒りの矛先が向けられるというのは日本も気をつけないといけません。
久米さん)今、お盆で福岡のご自宅に帰って来られていますが、日本は変わりましたか?
みかこさん)変わりましたね。私はパンクに傾倒してバイトしてイギリスに行って、ふうてんの日々を生きて、何とかなると思っていましたけど、今の若い人達は保守的になっています。デフレとともに人心が縮んでるというのは絶対に精神状態にも影響しますし、私達が若い頃の楽天性は無くなったと思います
久米さん)なんで日本はみんな中流だと思ってるんですかね?
みかこさん)目の前にあるものを直視してない気がしませんか? NPOの方とお話しする事があって、いきなり貧困になったと駆け込んでくる人がいて、でもあなたは以前から貧困でしたよって。総中流の呪いじゃないですけど。
久米さん)日本じゃ認めないけど、イギリスの人たちは自分は貧乏人だと口外するんですよね?
みかこさん)言うんですよ。ショッキングですよね。
久米さん)何でですかね?
みかこさん)ビートルズの頃から労働者階級の誇りとしてカッコいいと思ってるんですよ。
久米さん)日本じゃ「労働者階級」なんて言葉を聞くのはメーデーの時だけですよ。
みかこさん)下からの突き上げもないですからね。
久米さん)サラリーマンとか、正規、非正規はあるけど、労働者階級ってないですよね。アダムスミスを読んでないからですからねぇ…。
みかこさん)絶対に自覚は持ったほうがいいと思います。
久米さん)息子のケン君はカトリック系の学校に行けたのに、なんでわざわざ労働者階級の学校に行ったんですか?
みかこさん)中学校の音楽室に向かう廊下にロニードネガンから始まり、名だたるUKロックのアルバムが並んでいて、セックス・ピストルズなんてあっちゃいけないじゃないですか。(笑) だけど私が気に入ってしまって、気遣ってくれたのもあると思いますが、この学校で良かったと言ってくれてます。
久米さん)息子のノートの走り書きをパクって本にしたと言う事ですが?
みかこさん)コピーライト払えって言われてるんですよ。(笑)
久米さん)ケン君は頭のいい子で、今お盆で帰って来てるそうですが、お爺ちゃんと仲が良いんですか?
みかこさん)うちの親父は博多弁でワーっと言って、息子は日本語喋れないんですけど、時々二人が言ってる事がシンクロするんですよ。今はグーグル翻訳なんかもありますからね。
久米さん)ケン君によろしくお伝え下さい。
みかこさん)ありがとうございました。

 

メモはここまでです。

とくに〈私達の生活に関わるものが切り詰められて、移民に怒りの矛先が向けられるというのは日本も気をつけないといけません。〉という言葉は本当にそうだなと思いました。メディアが日韓関係を煽って、韓国からの観光客が減って、飛行機の本数が減った事をまたニュースにするという、悪循環を起こす事で視聴率やPV数を稼ごうとする気持ち悪さに対する「良薬」に感じます。

あとは、中学校にセックス・ピストルズが並んでいてパンクな母親は歓喜して、息子が気遣いするっていう面白い話。笑

高橋源一郎さんのラジオにみかこさんがゲストで出演された時には、「女たちのテロル」の金子文子のパートを執筆してる時に「母ちゃんコワイ!いつもと目が違う!」って言われたそうです。

言葉が話せなくても、お爺ちゃんと心を通わせる点からしても、ケン君の人の心を読む洞察力は高そうですね。

お金が無くなると心が荒んでしまいがちですが、そんな環境でもたくましく生きる人間が社会を良い方向に変えていくんだろうなぁと思いました。

面白かったなぁ。