タイトルから私はてっきりスペランカーみたいに弱い勇者を護衛するRPGかと思っていたのですが、まっっったく違いました。確認したら『彼女は最後にそう言った』をリリースしたSYUPRO-DX Inc.作品。ジャンルはノベルゲームだったので遊べる部分はほとんどありません。
で、ストーリーに関しては冒頭の部分で「主人公かヒロインのどちらかが魔王というオチだったらベタだな」と思っていたら、途中からどんどん怪しくなってきて…。
普段こんな低俗な事しないんですが、ヒロインの名前を「うんこ」にするという愚行に走りました。だって、2人きりの世界になってプレイヤーを感動させて涙腺を破壊させる流れになるのは目に見えてましたから、男と女のラブゲームに抗うための黒魔法をかけるしかありません。
名前を忘れたヒロインは主人公が付けてくれた名前を大切にします。
周りの人々も「いい名前じゃないか」と言ってくれたり。
茂みに隠したり。
終盤では哲学になってきたりして。
ストーリーの本編に関しては、『キングダムハーツ358/2』のラスボスシオンと『FFX』の後半で召喚獣を倒さないといけない流れ、エピローグに関しては『FFX-2』のティーダを探すのをオマージュしているように感じました。
ドット絵にデジタルのエフェクトを被せているのは斬新で良かったし、普通なら同じシーンが何回も出てくると飽きてしまうんですが、記憶をテーマにする事でそこの鮮度を最後まで保っていました。
クリア率100%にする為にエピローグから伏線回収すると、サウンドが聴けるようになるんです。これには全てのスタッフにスポットライトが当たるようにという想いを感じました。
ラストの「魔王という概念そのものを消し去る」という発想は良かったです。
でも、名前を呼んだら全て思い出すというのはズルい。愛は偉大としか言えないですからね。
全クリしてから私の頭の中ではコブクロの『エピローグ』が流れました。
いつか生まれ変わり、また別々の命を歩む時。
通り過ぎる見知らぬ影が私だと気付いても、声はかけないでいて。
また恋してしまうから。
そして私は思うのです。
「こんな事しなきゃよかった」
リア充が嫌いだからって変な名前を付けてしまうと、クリエイターが一生懸命作った作品を台無しにしてしまった罪悪感に苦しむのでやめましょう。
もう二度とキャラクターに低俗な名前は付けまいと誓いました。