犯罪の理由
海外小説を読んでみようと「夜と霧」を立ち読みしてたら気持ちが一気に落ちた。
ひでー話ですから仕方ねーです。
もう少し軽めのヤツを手に取る。
ジャケの世界観がいい。
中の絵もよさげ。ついでに隣にあった「罪悪」という本も借りたので、読み終わったらまた感想書きます。
この小説は面白かったです。
2日ぐらいで読みました。
11の短編小説で構成されているんですけど、それぞれの話で「なぜ容疑者は犯行に及んだのか?」というのが争点になります。
それを「ミステリー小説」と呼ぶのでしょうけど、もう少し深みがあって…
分かりやすい例を挙げれば「高瀬舟」「容疑者Xの献身」でしょうか。
この作品たちは「ミステリー小説」と呼ぶのに困りませんか?
そういうモヤモヤ感が随所に見られるのが「犯罪」です。
このシーラッハという方は弁護士の肩書きも持っているようで、その性格が小説に色濃く反映されています。
物語はロジカルであるし、検死解剖の描写ではとても生々しく表現されています。
こうした文章は実際に殺人を五感で感じないと書けないと思います。
想像で書いてしまうとバレるというか、読み手が冷めてしまうので、専門的な知見を活かした文章は刃物のような鋭さがあるように感じます。
そうしたディテールがありつつ、事件の全容を解いていくうちに人間の心の動きが描かれています。まどろっこしい一文がないので、かなり読みやすかったです。
個人的に好きだったのは、逆転裁判が描かれた「ハリネズミ」と、一切の言葉を話さない男が行った「正当防衛」ですね。
これはオススメです。
- 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2015/04/03
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (17件) を見る