モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

【報道特集】ダコタ・アクセス・パイプラインについて

報道特集 | TBSテレビ

 

報道特集でパイプラインの建設について取材されていた。

日本でのトランプ政権に対する報道を見ると経済と外交について着目した解説が多いですが、アメリカ国内の問題について報道しているメディアは少ないと思います。

ハフィントンポストなどの一部のネットメディアが報道していますが、基本的にはアメリカのメディアの日本版なので、今回の取材は貴重に思ってまとめることにしました。

 

 先住民が問うトランプ政権

f:id:ebiharaism:20170204192455j:image 

f:id:ebiharaism:20170204192546j:image

反トランプデモの中で目を引いたのが先住民の方々。祈りを捧げていただけで犬の檻に入れられ、手に番号を書かれたと女性は語ります。

f:id:ebiharaism:20170204194045j:image

スー族 - Wikipedia

ノースダコタ州イリノイ州を繋ぐ大きなパイプラインの建設に対し、スタンディングロックに住むスー族は聖なる水や土地が汚されるとして抗議を続けてきました。

f:id:ebiharaism:20170204194247j:image

治安部隊はゴム弾や催涙ガス、犬を使って人々を排除してきました。

オバマ政権は先住民に配慮し計画を凍結したのですが、トランプ政権は雇用を作り出すためにパイプラインの建設を進めようとしているのです。

f:id:ebiharaism:20170204194623j:image

取材班が向かったのはノースダコタ州にある建設反対派の拠点。ほとんど何も見当たらない雪原の中にその拠点はありました。

氷点下20度にもなる極寒の地に全米から建設に異を唱える先住民の方々が集まっていました。

f:id:ebiharaism:20170204194920j:image

迎えてくれた男の子が手に持つのは浄化のために使われる植物で、火をつけてその煙を身体にふりかけるそうです。(浅草寺の煙みたいですね)

f:id:ebiharaism:20170204195344j:image

f:id:ebiharaism:20170204195432j:image

取材班はテントの中にお邪魔して、反対するご家族にインタビューしました。

パイプラインを北に造るなら先住民は抗議しない。影響を受けるのは白人たちだから。でも白人たちは(パイプラインを)受け入れない。先住民だったらいいのか。そんなことはない。

つまり、背景には根深い差別感情があり、石油による汚染を避けるために白人たちは先住民の土地にパイプラインを通そうとしているということになります。

それに対して黒人の大統領が計画を凍結させたというのは重要な意味を持っているように私は感じました。

 

f:id:ebiharaism:20170204200057j:image

別の男性は去年の11月20日に保安官との大規模な衝突で背中を撃たれたと証言。その時の写真が納められているスマートフォンを取材班に見せてくれました。フットボールぐらいのアザができたけど、もっとひどい怪我を負った人もいるといいます。

銃口は無抵抗の女性にも向けられたそうです。

 

f:id:ebiharaism:20170204200628j:image

去年12月23日に行われた「国際インディアン条約評議会」では、同じような被害を訴える声が相次いでいました。

f:id:ebiharaism:20170204200805j:image

私は手に番号を書かれました。拘置所に連れて行かれて、所持品を奪われ、写真を撮られて…

そこは犬小屋みたいな場所だった…

特集の冒頭に出てきた女性と同じ被害にあった女性。犬と同じ扱いをするという侮蔑的な行為を国家権力が行っているからこそ、国連関係者も出席しているのです。

f:id:ebiharaism:20170204201410j:image

また、金平キャスターに歩みよる男性は左目を損傷し、現在も見えないばかりか耳も聞こえず味も分からない、五感のうち4つを損傷したと話しました。

別のケースでは直接的な暴力だけでなく、墓地をブルドーザーが破壊したという証言もありました。

これは中東でISが歴史的文化遺産を破壊しているのと変わらないように思います。

f:id:ebiharaism:20170204201837j:image

先住民に主権は持たせないーー

どんな科学的根拠があろうと、大地にどんな影響があろうとーー

儲け話の邪魔は絶対にさせないという態度

f:id:ebiharaism:20170204202102j:image

国際インディアン条約評議会のアンドレア・カーメン氏はこう語ります。

パイプライン会社はスタンディングロック・スー族に情報提供せず、同意も得ずに彼らが水源としている川の下にパイプラインを通すことにしたのです。権利が侵害され、先住民の神聖な土地が脅かされています。

f:id:ebiharaism:20170204202448j:image

トランプは矢継ぎ早に大統領令に署名した。その中に「ダコタ・アクセス・パイプライン」「キーストーンXLパイプライン」の文字があった。

問題はこれだけではなかった。

f:id:ebiharaism:20170204202739j:image

なんとトランプは去年まで大量の関係銘柄を所持しており、任命されたリック・ペリー氏もまた役員をやっていたのだった。

あからさまな利益相反行為だが、大統領令を無効にするには議会が予算をつけないか違憲審査が必要になる。ただ、人選はトランプが行っているので…

話を戻します。

f:id:ebiharaism:20170204203257j:image

この大統領令に対して反対派の男性は集会の中で「先住民たちの顔を平手打ちするようなものだ」と意見しました。

f:id:ebiharaism:20170204203458j:image

大統領令にトランプがサインをしてから現場には張り詰めた空気が流れていました。

金平キャスターは大規模な衝突があったエリアまで行ってみることにーー

ロープが張られた遠くにはこちらを監視する車のライトが光っていました。

日本で言うところの公安部でしょうか。

f:id:ebiharaism:20170204203747j:image

スタンディングロック部族議会を訪ねることにーー

f:id:ebiharaism:20170204203815j:image

チャールズ・ウォーカー議員は展示されている像を指差してその精神性をこう説明しました。

矢が貫いているのは「守るために死ぬまで戦い抜く」という決意を示すもの

f:id:ebiharaism:20170204204518j:image

 取材班に歌を披露してくれました。

モンゴル民族のホーミーみたいな一定のメロディーではなく、アルプス民族のヨーデルみたいにファルセットで裏返るような歌唱法でした。

f:id:ebiharaism:20170204205014j:image

ここは貧しさランキングで全米ワースト10に入っていますが、あくまでそれは資本主義の尺度であって、心の豊かさではどこにも負けていません。

f:id:ebiharaism:20170204205310j:image

最後に取材班は歴史家のジョン・イーグル氏の元を訪ねました。

私たちの先祖はこの地に眠っていますが、彼らの先祖は海の向こうに眠っています。土地との結びつき方が違うのです。

f:id:ebiharaism:20170204205823j:image

大地を守り、水を守るのは私たちの責任なのです。水が世の中で一番の薬です。

f:id:ebiharaism:20170204205934j:image

今、事故が起きないとしても子どもの世代、孫の世代、もっと後で起きるかもしれません。

f:id:ebiharaism:20170204210226j:image

今という時は歴史として語り継がれていきます。トランプ大統領は歴史のどちら側に立ちたいのでしょう。

f:id:ebiharaism:20170204210348j:image

もし、沖縄の人々にメッセージを持ち帰ってもらえるならばこう伝えてください。

自らの土地を守ろうとしているあなたたちと我々は同じ場所に立っています。

f:id:ebiharaism:20170204210537j:image

彼らのために祈ります。勇気を持ってください。成し遂げられます。

 

以上で特集は終了です。

最後の「移民」と「先住民」の違いは大きいと思います。西から東へと侵略を繰り返すアングロサクソンと、神聖な場所として土地を守るインディアンはずっと対立しあってきたのでしょう。

そして、今度は西側の侵略の結果、難民が自分たちの国へやってくる状況に苛立っているわけです。

だからこそ白人至上主義者たちは、難民の受け入れを停止するだとか、メキシコ国境に壁をつくると発言するトランプの言葉が心地よく感じるのではないでしょうか。

こうした異なる文化の衝突が世界のあちこちで現在も起こっており、歴史家から見ても銃剣とブルドーザーで土地を奪われた沖縄の現状は看過できないと感じられたのでしょう。沖縄の方に届けばと思います。