モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

『The Last Of Us1&2』を見た感想

たった1人でマシンガントークをしながら、高難易度をクリアする実況者のわいわいさん。その実況動画を介して『The Last Of Us』を見たのですが、これまでにない超大作を目撃してしまい、書かずにはいられないので書いておきます。

https://m.youtube.com/watch?v=SiOIXlmqfqA

まず『The Last Of Us1』は、世界を敵に回しても君を守るというピュアなストーリーです。
主人公のジョエルは謎のウイルスに感染した愛娘が治安部隊に目の前で射殺されるという凄惨な経験をし、ゾンビだらけの世界を20年間、闇市のバイヤーとして生き延びます。もともとは一般人でしたが、毎晩のように愛娘を失った悪夢にうなされ、めちゃくちゃになった世界を生き抜くためにアウトローな生活をしています。メインストーリーはエリーという少女をファイアフライというグループの元に届けるというものです。
エリーは感染者(胞子を吸い込むor感染者から感染すると発症。感染者はランナー、クリッカー、ブローターと形態を変える)に攻撃を受けても発症しておらず、この免疫を使ってワクチン開発するというのがファイアフライの目的でした。エリーはずっと地下室暮らしをしていたので、世界の広さや美しさを知りません。一歩踏み出すごとにエリーは感動しますが、ジョエルはこの世界の汚さを知っているので早くしろと急かします。この2人の関係がどのように変わっていくのかというのが見どころです。

プレイヤーは夏秋冬春の季節を感じながらエリーを届ける長い旅をする事になります。その旅の途中、ジョエルの知り合いであり家長制度を振りかざすビルや、ファイアフライに入ろうとしているヘンリー&サム兄弟(エリーに友達ができるのをジョエルは父親の心境で見ていた)との出会いがあり、秋のパートでジョエルとエリーは歩み寄り、寡黙だったジョエルが自分から話をするシーンも増えます。ここでキーワードとなるのが子どもの頃の夢が歌手であった事。エリーは「笑わないから歌ってよ!」と言い、ジョエルが照れて歌わないというシーンがあります。ここは『The Last Of Us2』へ繋がる重要なシーンだったりします。
この後、軍人と交戦しジョエルは瀕死の重傷を負い、守る立場からエリーに守られる立場となり冬を迎えます。
エリー)脱出したら歌を聞かせてもらうからねっ!
冬パートはデビッドというカニバリズムの食人鬼にエリーが捕まり、ウチの子に何すんのよ!とジョエルがカチコミを入れる親子愛が描かれると同時に、エリーが初めて自分の手で人間を殺すという経験をします。このシーンは無垢な存在であったエリーが汚い世界に侵食される瞬間でもありました。
物語がクライマックスを迎える春パート。
ジョエル)落ち着いたらギターを教えてやる
目的地の病院が近づくにつれてエリーは恐怖します。
ジョエル)やめてもいいんだぞ
エリー)でもこれは終わらせないと。そしたら好きなところに行こうよ
2人はワクチンが開発された後の未来を見ていました。これまでジョエルはエリーに対して、亡くなった娘の話はするなと言ってきましたが、自ら娘の話をし、エリーがマリア(ジョエルの弟トミーの奥さん)から貰ったサラの写真を手にとり
ジョエル)過去からは逃れられないよな。ありがとう
と言うのです。とてもハートウォーミングなシーンですが、これもまた2に繋がる言葉で、今考えると戦慄が走ります。
ジョエルとエリーはファイアフライに合流。手術の準備でエリーとはしばしの別れ…と思いきや!
免疫機能は脳と同化しているため、手術は死を意味するという事をファイアフライのリーダーであるマーリーン(エリーの母からエリーを託され、小さい頃からエリーを知ってる。人類を救うため苦しみながらミッションを進めた)から聞かされたジョエルはエリー奪還のために研究所で大暴れ。手術室に辿り着くと医師を射殺。エリーを抱いて立ち去る際、
マーリーン)今からでも正しい事をして!エリーは苦しまないから! 待って!撃たないで!
ジョエルはマーリーンも射殺。
麻酔から覚めるとエリーはジョエルが運転する車の中で目を覚まし、手術は終わったのかとジョエルに問います。
エリー)ライリィ、テス、サム。みんな死んだ さっき言った事は全て本当だって誓って!
ジョエル)誓うよ
と言って『The Last Of Us1』の物語は幕を閉じるのです。愛娘を失ったジョエルはもう二度と娘を失いたくなかったでしょうし、見殺しにできませんでした。そのためにエリーに対して嘘をつくという、とんでもなく重い十字架を背負うエンディングを迎えたわけです。

続編となる『The Last Of Us2』で製作陣が掲げたテーマは「暴力の連鎖(復讐)」と「相互理解」

世界を敵に回してもエリーを守りたかったジョエルの反動が描かれます。
ちょっと先に書いておきたいのは、造り込みです。映像の綺麗さはもちろんですが、私が見ていて驚いたのはモブがほとんど存在しないという事です。モブというのは画面の迫力を出すための手法でありながら、抽象的な存在でもあります。しかし『The Last Of Us2』では、なぜそのキャラクターがそこに居るのか、何をしているのかが丁寧に作り込まれています。プレイヤーは一目でそれぞれに生活と役割があるというのを視覚的に感じ取る事ができるようになっています。

https://m.youtube.com/watch?v=xvtNiZrmWzw

物語は『The Last Of Us1』から4年後の世界。
ジョエルがギターを弾いて歌うのを微妙な表情で聴いているエリーの視点でスタート。イスラム系の顔立ちのディーナと共に感染者のパトロール任務を行います。
ここでアビーという女性の視点に切り替わり、同じく行動を共にするオーウェンと共に誰かを探しています。しかし、オーウェンはメルには子どもが居ると言って乗り気ではありません。アビーは単独行動に移ります。
再びエリーの視点に切り替わり、猛吹雪に襲われ、ディーナと共に隠れ家に避難。2人はレズビアンで薬物を吸って唐突なベッドシーンに突入。実況者わいわいは気まずそうに軽快なトークをする職人芸を披露。ここにディーナの元恋人でアジア系のジェシーが現れ、イチャついてねーで任務やるべと一括。
またアビー視点に切り替わり、雪山を舞台に感染者と交戦。その後、ジョエルとトミーに合流。ジョエルはアビーが誰なのか知りません。「安全な所はないか?」と訊くジョエルに対し、アビーは自分たちのアジトに連れて行きます。ジョエルは見慣れない人間達に警戒感を抱きながら会話をしますが、足を撃たれて拷問されます。
エリーはジョエルとトミーの跡を追って屋敷に忍び込みますが捕まってしまいます。床にねじ伏せられた状態で、血だらけのジョエルに「逃げて!」と声をかけますが、ジョエルは息も絶え絶えに逃げる事もできずアビーが振りかざしたゴルフクラブで絶命。
エリー)全員ぶっ殺してやる!
目的を果たしたアビーと一味は帰っていきます。
アビーの父はファイアフライでワクチン開発をしており、『The Last Of Us1』でジョエルに殺された執刀医でした。可憐な少女だったアビーは復讐心によって、女戦士へとその身を変え、一般的な女性の幸せを捨てて復讐に身を投じたという背景があります。(分かりやすくする為に先に書いておく)
この復讐心はウイルスによる感染よりも強固なものとしてエリーに伝播するのでした。
また、『The Last Of Us1』のチュートリアルではジョエルの娘サラが亡くなりましたが、『The Last Of Us2』ではジョエルが死ぬというエグい構成。「ハッピーエンドは存在しないんだな」と私は思いました。

ここからはWLF(ワシントン解放戦線)に対するエリーの復讐の旅になりますが、エリーと同様に復讐心に取り憑かれたトミーは一足早く出発。トミーの奥さんであるマリアは「夫を無事に連れ戻して」とエリー&ディーナに頼み、アビーへの復讐とトミーの帰還をミッションに旅が始まります。
エリー達はトミーが通ったと思われる死体や拷問の跡を辿りWLFのアジトを目指します。
その途中で実況者わいわいはワイヤートラップを誘爆するとディーナが変顔する事に気付いて爆笑。また、クリッカーにWLF兵を襲わせるというSEKIRO仕込みの傀儡の術を披露。「クリッカー戦争」と銘打ったこの戦法は効果てきめん。なぜ彼がサバイバーモードで銃縛りという遊び方をしているのか、視聴者の誰も分かりませんが、このプレイスタイルじゃないと編み出せない光景だったと思います。
その後、エリーとディーナはWLFのメンバーの写真を手に入れ、ジョエルを拷問したメンバーを特定。ディーナの様子がおかしくなり、劇場で休む事に。プレイヤーに「まさか感染したのか?」と思わせて実はディーナが妊娠している事が発覚。エリーも実況者わいわいも困惑。
この後、孤独を感じたエリーはギターを弾きながら、生前ジョエルが自分の誕生日に廃墟となった博物館に連れてきてくれた日を思い出します。宇宙コーナーでエリーはヘルメットを被りスペースシャトルに乗り込みます。ここでジョエルが苦労して見つけたカセットをプレゼント。エリーは目を瞑ってカセットを再生すると、それはアポロ打ち上げカウントダウンの音声でした。
ジョエル)気に入ったか?
エリー)気に入らないわけないでしょ!
わいわい)うわぁ…涙
ガヤも泣かせる今作屈指の名場面でした。その一方で、自然史コーナーには絶望して死んだ人間が「ファイアフライは嘘つきだ」と書き残して死んでいます。私にはこれが印象的で、仮に『The Last Of Us1』がジョエルとエリーのセカイ系だとしたら、『The Last Of Us2』はそれを完膚なきまでにぶっ壊す人災映画(人災はman-madedisasterっていうらしい)だと思います。
この後、ディーナが無線を修理してトミーが居ると思われる地点にエリーは向かいます。いよいよトミー登場かと思わせてジェシーが登場。この後、ディーナとジェシーが夫婦のようなオーラを放ち、エリーは疎外感を感じるようになります。
再び回想。ギターの弦を手に入れるために楽器店に行った日、1のラストに交わしたジョエルとの誓い(嘘)について、エリーは疑い始めていました。「自分の命と引き換えに世界を救えたはずだ」という想いを持って生きていました。これにより、だんだんとジョエルとすれ違いが生じていきます。
病院へ向かう途中、WLFとは違うセラフィストというグループとの交戦。(セラフィストは弓を得意としていて、WLF兵を木に吊るしてマーキングする)
病院ではアビーの手掛かりを握るノラを追跡。(実況者わいわいのクリッカー戦争勃発)
ノラ)毎晩、叫び声にうなされる。アイツは殺されて当然のクズ!
アイツのせいで何人死んだか分かってるの!?
エリーは自分も考えた事のある意見を持っているノラを拷問し、アビーの居場所を吐かせます。そして劇場に帰還。
そして回想。2年前に自らが手術されるはずだったファイアフライの病院を探索した日の夢を見ます。
「免疫を見つけたところで、ワクチンを開発できる人はもう居ない」という絶望のテープレコーダーを発見。
エリー)何があったのか教えて!
ジョエル)ワクチンを作っていたらお前は死んでいた。だから止めた
エリー)あたしに指一本触れないで!
ジャクソン(集落)には帰る。だけどもう終わり!
誰がこのやり取りをエンディングへの布石だと予想したでしょう。
夢から覚めたエリーはジェシーと共に水族館へ。ジェシーはトミー連れて帰還する事、エリーはアビーへの復讐と、2人はそれぞれの目的を明確に別行動します。
アビーが水族館の内部に踏み入れると、寝袋が3つ。復讐心を抑えきれないエリーは情報を聞き出せず、オーウェンと妊婦であるメルを殺してしまいます。(後にアビーパートで2人は新天地での生活に向けて、脱出用の船の準備を任されていた事が分かります)
そこへトミーとジェシーが合流。エリーはアビーへの復讐ができない事と、ディーナと同じように新たな命を宿していた妊婦を殺してしまった事に憔悴しながら、2人に連れられ映画館に戻ります。
エリーとは対照的に、ジェシーはトミーに会えた事と、ディーナを連れて帰れる事に少し安心していました。もしかしたら、自分が父親になる生活も頭の中に描いていたのかもしれません。先ほど書きましたが、『The Last Of Us2』はセカイ系をぶっ壊します。復讐心に燃えるアビーが映画館に現れるのです。
無防備に背中を向けているトミーに銃を向け、言い争う声に駆けつけたジェシーがドアを開けた瞬間、アビーがヘッドショットを撃ち込み絶命。エリーはどうにか自分に注意を向けようとしますが
アビー)せっかく逃してやったのに。何もかもぶち壊し。仲間を殺した
と、怒りに燃えながらも少し疲れたような口調で激おこプンプン丸です(古っ)

 

ここからはアビーパートに切り替わり、父親をジョエルに殺された少女がどのように生きてきたのか。また、WLFの人間にも犬にもそれぞれに名前があり、それぞれに生活があった事。それはエリー達がジャクソンで暮らす日常とほとんど変わりないものだった事をプレイヤーに見せる内容となっています。

アビーとオーウェンとメルは三角関係であり、ここもエリーとディーナとジェシーの関係と似ています。しかし、誠実な男である実況者わいわいは、プレイボーイのオーウェンを不潔なヒゲであるとして感情移入する事ができずイライラしてしまい「なんやねん!死ね!」を連呼する事が多くなります。それを見て気分を害した一部の視聴者に向けて、謝罪をするルートを開拓するのでした。笑
話を本編に戻しますが、WLFはスカー(本当の名はセラフィスト)と戦っており、リーダーのアイザックはジェノサイドを命令する冷徹な男でした。
ある日、オーウェンと行動していたダニーが死亡する事件が起こります。
アビー)なぜ捜索隊を出さないの?
アイザック)スカーを守るためにオーウェンがダニーを撃ったとダニーが言った。死ぬ直前に嘘をつくのか?
アビーは急いでオーウェンを捜索。頭に浮かんだ2人の思い出の地である水族館へ行くとオーウェンがいて、イチャイチャし出し、奈良県を代表する実況者わいわいは困り果てるのでした。
道徳的に見たら理解し難いですが、恐らくアビーやWLFはロシア人の設定だからこういう感じなのだと思います。或いは製作陣が戦場での性暴力も描いていると考えると理解できます。兵士というのは人を殺す前に自分を壊す行程が必要になります。心に深い傷を負った兵士は幻聴に悩まされたり、自傷行為を行うケースもあります。エリーパートでは食人鬼にレイプされそうになっていましたから、それを考えるとアビーとオーウェンは不道徳的な関係ではありますが、この時点では愛情で繋がっているのでマシなほうだと思います。
アビーは、こんな事をしてる場合じゃない復讐しなきゃと我に帰り、単独行動へ。セラフィストの生活区域に足を踏み入れると、工藤新一ばりに後頭部を怪しい男にぶん殴られて捕まります。
その時、ジョエルをゴルフクラブで殴る前の回想シーンが流れます。オーウェンメルの家で的当てゲームをし、私の名前をスコアに書いてという面倒くさい女の一面を見せるアビー。この場面でオーウェンからは終わらない殺し合いに嫌気がさしているようなオーラが出ていましたが、
アビー)ジョエルの弟がワイオミングにいる。みんなやる気。一緒に来てくれる?
オーウェン)もちろん
と答えてしまうのでした。
回想が終わり、目を覚ますと少女(ヤーラ)がセラフィストに腕を砕かれて殺されそうになっており、アビーもセラフィストに首を吊られ絶体絶命。そこへヤーラの妹レブが現れついでに助けられます。ヤーラの腕は酷い状態で、医療品がほとんど無い中、アビーは応急手当てをします。
この時、複雑骨折してるであろう腕を固定するために、正常な向きにズラすシーンがあるんですが、見ていて痛いんですよ。ここまで沢山の兵士やクリッカー奈良県のナイフによって絶命するシーンを見てきましたが、痛みは感じなかったのに。私も腕を骨折した事あるからなのかもしれません。つまり、視聴者も感情移入していないキャラクターに対しては冷徹だったんですよね。だから痛みに共感しなかった。これはエンディングに繋がる気付きでした。
この後、アビーは再び水族館を訪れ、オーウェンがスカーとの戦闘で武器を持たない老人を殺せなかった事を打ち明けます。撃てないオーウェンに対してダニーは怒り、銃口を向けられたので撃ってしまったというのが事件の真相でした。
オーウェン)興味のない土地のために殺し合うのはもう嫌だ! ファイアフライに会いに行く!
→いきなりベッドシーンになる
わいわい)お前らなんやねん!嫌な予感はしててんっ!
この後、コンパートメント症候群を発症したヤーラの腕を切断するため、手術に必要な物資を集めるミッションをレブとこなす事に。
WLFの病院にたどり着いた頃には、WLFがセラフィストと最後の戦闘をするために医療物資を運び出していました。そこでノラ(エリーに殺される前)が地下に残ってるかもしれないとアビーに教えます。地下には最初の感染者がいるという事も。
この感染者は酸を吐き出すブローターよりも症状が進んでいて、何だかよくわからない形態をしていました。ナイフがほとんど効かないので、銃縛りの実況者わいわいは爆殺に切り替え、ツライ戻し作業を行うことに。爆弾も材料もパンパンの状態で戦闘開始。8発で訳わからない第一形態を処理すると、スタイリッシュな分身が現れて2対1の数的不利の状況になります。それでも冷静な立ち回りで撃破。流石です。
医療品を持って水族館に帰り、ヤーラの手術は成功。(レブの話では弓の腕前はヤーラのほうが上だったそう)
オーウェンはアビーとの不倫関係も継続するため、みんなでサンタバーバラへ行って幸せに暮らそうと提案します。
ヤーラは村から逃げる事ができるならとその案に賛成していましたが、レブは残ると言い姿を消します。というのも、レブは長老から嫁げと命令されましたが、兵士になりたかったので頭を坊主にしました。風習に逆らった罰として追われており、このままでは母親が拷問されるのではないかと考えたのです。
ここで私が思ったのは相互理解というキーワード。レブは女性なのか男性なのか分からない中性的な見た目をしています。レブにとっては、古いしきたりによって女性として生きる道を強制されるのではなく、男性として生きる自由を手に入れる物語になっています。ジェンダーの問題としてLGBTQへの理解を広げると同時に、エリーは戦争孤児、イスラム系の顔立ちであるディーナがユダヤ人であるという、ホロコーストと合わせてイスラエルパレスチナ問題も取り入れた盛り沢山な設定なのです。
この後、アビーは不倫男のオーウェンを「何が大切なのか考えな!」と突き放し、オーウェンとメルに船の準備を頼み、ヤーラと一緒にレブを追います。
セラフィストの本拠地ではWLFが殲滅戦を仕掛けており、その中にトミーの姿も。アビーは仲間のマニーをトミーに殺されながら、(似たような名前が多くて書いててこんがらがるよね)一時トミーと交戦。トミーを海に落としてやり過ごしました。ヤーラの案内で母親の元へ行くと、横たわる母親の前で身体をふるわすレブの姿が。母親は風習に逆らったレブに怒鳴り散らし、殺されると思ったレブは正当防衛で殺してしまったのでした。(毒親も描く)
3人は島から水族館へと逃げる途中、WLFのアイザックに見つかりヤーラが殺されてしまいます。アビーはレブだけは守ろうと「命の恩人なの!」と懇願しますが、アイザックは首を縦に振りません。かつての仲間はもう仲間ではないのだと気持ちに区切りをつけたアビーは交戦。どうにか逃げ出しました。
レブ)ヤーラがアビーの仲間に殺された!
アビー)私の仲間はレブ!
レブは数分のうちに母親を失い、理解者である姉も失い、生まれ育った村は火の海になっているという状態に混乱しながらも走ります。
WLFはアビーを裏切り者として追い、斧を振り回すアイザックとタイマンイベント。ここまで近接武器でやってきた実況者わいわいは、このガチムチ相手にも縛りプレイで勝ちきりました。ここまで来ると、もはやそういうゲームなんじゃないかと思えてきます。笑
ボロボロになりながら水族館に戻った2人を待ち構えていたのは、愛犬アリスの死体と奥へと続く血痕でした。警戒しながら進んでいくと、オーウェンとメルが何者かに殺されています。うなだれるアビー。レブは犯人が落としたとみられる地図を拾いアビーに渡し、いよいよエリーパートに繋がります。
レブと共に劇場に入ったアビーは、トミーを床に伏せさせ、駆けつけたジェシーを一撃で殺害。トミーにも一撃(生きてる)
プレイヤーはアビーの目線で、エリーとの戦いに突入します。復讐vs復讐の構図。
エリー)復讐したい?私はここだよ!
と自分に注意をそらすエリー。
実況者わいわいはここまで銃縛りをしてきましたが、このエリーは遠距離、近接、爆弾全て使ってきます。そのエリーを相手に近接武器で挑むわいわいアビー。異常なまでに近接武器にこだわる復讐劇を見てるうちに笑えてきました。
反撃されながらもエリーを床に沈めるアビー。途中でディーナが加勢に加わりますが迎撃。
エリー)その子は関係ない。妊娠してるの
レブ)アビー…
アビー)二度と姿を見せないで。行こう
とりあえずアビーの復讐劇はここで幕を閉じました。
場面はディーナと赤ちゃんが住む家に切り替わり、エリーは赤ちゃんの面倒を見ながらヤギを小屋に戻すイベント。
暗い小屋の中でエリーはジョエルが撲殺された瞬間をフラッシュバックしパニックに陥ります。『The Last Of Us1』では、ジョエルが愛娘を失った悪夢にうなされていました。エリーもまた思い出しているというのは単なるPTSDではなく、「エリーはジョエルを父親だと思っていた」という証拠でもあると私は思います。
ディーナが駆けつけてエリーに語りかけますが、優しさだけでは治ることもなく。アビーの日記には生きる希望を失ったような言葉が並びます。
そして最後のクラッシャー要素が投入。農場で自給自足の暮らしをする2人の元へ、アビーに殺されたと思われたトミーがカリフォルニアにアビーが居るという情報を持って訪れます。
トミー)がっかりだ。ここで生活してアイツ(ジョエル)の事なんて忘れちまうか?
トミーは復讐心に取り憑かれ、奥さんのマリアも距離を置くようになっています。
エリーはジャクソンのバーでディーナとキスをした夜の出来事を回想。セス(誰の父親か私は忘れた)に「やめろ、子供も見てる。口達者なレズ」と言われ、そこへジョエルが割って入ったというシーン。
エリー)助けてくれなんて言ってない!
とジョエルにブチギレ。
画面は現在に切り替わり、復讐の準備をするエリー。
ディーナ)行かないで
エリー)ディーナには分からないよ
エリーは再び復讐の旅を始めます。


ファイアフライを追うアビーとレブは立ち寄った家の地下室に通信機を発見。誰も生存してないのかと絶望しながら交信を続けると、ファイアフライの残党と繋がり「現在はカタリーナ島に本拠地がある」と教えられ、希望を抱きながら家を出ます。その瞬間、待ち伏せていたラトラーズというグループにボコボコにされ捕まってしまうのでした。

アビーを追うエリーも、ラトラーズの仕掛けた縄トラップに足を取られ、逆さ吊りにされたうえ脇腹に釘が刺さり負傷。(出血死を狙ったトラップ)
薄れゆく意識の中、罠を仕掛けた2人の男が現れ、縄を切られて地面に激突。どうせ死ぬだろうと思っている男達の油断を突いて武器を奪い、数ヶ月前にアビーとレブを捕まえたという話を聞き出します。ラトラーズは生存者を捕まえて奴隷にするという組織で、反抗的な人間は見せしめに感染者にされたりという事を行なっています。
エリーはラトラーズの拠点に潜入。檻の中の人々を解放し、アビーは何処にいるのかと尋ねます。
囚人)アビーは逃げ出した罪で海岸にいる。死んでるだろうけどな
出血がひどい脇腹を抑えながら、海岸へと足を進めると、そこには磔にされた大量の死体がありました。エリーはアビーを探します。かろうじて生きている人間を発見し縄を切ると、それは痩せこけて変わり果てたアビーだったのです。アビーは急いでレブの元へ向かい縄を解きます。アビーはレブを連れてボートに向かいます。
エリー)行かせない
アビー)私はもう戦わない
エリー)あんたが巻き込んだんでしょ
最後の戦闘が始まりました。
アビーにはもうレブを守るという以外に戦う理由がありません。
2人ともフラフラの状態で、泥レスのように殴り合います。捕虜となっていたアビーは武器を持っていませんから、エリーにしてみればすぐに殺せる状況ではありました。
取っ組み合いになりながら、エリーは倒れたアビーの顔を海面に押し付けます
アビー)いやだ!いやだ!

ここまでプレイヤーは多くの人間を殺めてきました。武器を強化し、より効率的に。このイベントは武器を使わず両手で「人間を殺す事がどういう事なのか?」を嫌という程に植え付ける演出になっています。エリーはアビーにいつか自分を守ってくれていたジョエルの姿を重ね合わせ、力を緩め泣き崩れます。
エリー)もう行って。あの子と一緒に
この後、アビーとレブがどうなったのかは分かりません。

 

エリーは左手の「薬指」と「小指」を失い、ディーナの住んでいた家に戻ると、そこにはもう「彼女」と「子供」の姿はありませんでした。自分の部屋に戻りギターを手に取りますが、指が欠けているのでフレットを押さえる事ができず、音がかすれてしまいます。そしてパーティの夜にジョエルと最期に交わした言葉を思い出すのです。
ジョエル)あの子がどういうつもりか分からないが、お前と付き合えるなんて幸せ者だ
エリー)よくそんな事が言えるね!私はあの病院で死ぬはずだった!生きた証を残せるはずだったのに!
ジョエル)また同じチャンスを神様がくれたとしても、俺は同じ事をするだろう
エリー)分かってる…でも許せない
ジョエル)それでいい
エリー)じゃあね
fin…。

なんという物語!
たいていのゾンビゲームはワクチンを手に入れてハッピーエンドか、それができずにバッドエンドを迎えるというシンプルな物が多いですが、『The Last Of Us』はゾンビゲームでありながら常に人間を描いているというのが特徴的だと改めて思いました。人間だからこそ割り切れないし、複雑に運命が交錯していく。
作中でエリーがギターを手にするのは孤独を感じた時でした。最後にジョエルとの別れの回想をした後、彼女はギターを置いてどこかに消えてしまいます。これを悲しみを克服したと解釈するにはあまりにも犠牲が多すぎます。とりあえず私は、ジョエルのレクイエムとしてギターを弾いた彼女は、生かされた事に感謝して自分の人生を歩み始めたという解釈をしました。
それと、指を失って戦いをやめたという部分で、井上雄彦さんの『バガボンド』に出てくる宍戸梅軒を思い出しました。
宍戸梅軒は竜胆という孤児と暮らし、親子のような関係を築いていきます。そこへ武蔵が来て決闘し、手を失いようやく「戦いの螺旋」から降りる事ができると言って絶命するんですが。『The Last Of Us2』は「戦いの螺旋」しかないので、これを終わらせるにはエリーとアビーが見出した相互理解しかないと思います。
ゲームの評価に関しては、割れて当然というか、人種やLGBTQに配慮した作りなのにほぼ全員が死んでしまって元も子もないっていう…。笑 「買って損した」という意見があるのも仕方ないですね。
私が納得できないのはワクチン開発です。仮にアビーの父が死んだとしても、誰かしら医療の知識を得てワクチン開発をやるだろうと思うし、奇跡的にエリーだけが免疫を持ったとしても、それは別の誰かが免疫を持つ可能性もあるという事ですよね。1と2の対比だったり、連続するドラマ性には良いところがたくさんあるのに、ワクチン開発の可能性を追求せずに殺しあってるのはなんとも言えません。アビーは医者の子どもなんだから、ワクチン開発したり、ヤーラの腕をロックマンみたいにする未来があってもよかったはずです。(そんな未来はねぇ)

こんな殺戮と虚無の塊みたいなゲームで笑わせてくれるんですから、わいわいって本当にいい実況者ですね。(淀川長治オチ)

 

おわり