今週の報道特集で東電の旧経営陣を提訴した原発事故告訴団の歩みと、過去に指摘されたリスクを軽視した行政側の責任を特集していました。
重要なことなのでまとめておきます。
福島原発告訴団の団長を務める武藤類子さんは福島第一原発から西に40キロ離れた三春町に住んでいたという。
事故によって被災者同士が分断されていく中で本当に戦うべき人達は誰なのかを明確にする為、2012年に告訴団を作った。
- 2012年6月告訴
- 2度の不起訴処分
- 2015年 検察審査会が起訴相当と判断
告訴団と弁護団の粘り強い情報公開請求により、津波の予見性が問える証拠が発見された。
弁護団の団長を務める鈴木克昌氏は、前橋地裁の判決は津波についての予見性を正面から認めた判断であったと語った。
この2点についての論拠は以下のとおり。
このことから、前橋地裁は非常用発電機を高台へと設置することは期間や費用の点からも容易だったはずだとし、経済的合理性を安全性に優先させたと帰結した。
そして、国は東電に事故を防ぐ対策をとるように命令すべきだったと言及した。
番組では地震調査委員会を務めた島崎邦彦氏にもインタビューを行いました。
想定外で片づけられることではない。むしろ想定できていたことが不都合な真実だった。
島崎氏はこのデータを公表する際に内閣府から圧力があったと語った。
✳︎番組が資料を入手(グッジョブ)
内閣府の防災担当から色々と横槍が入った。
長期評価があまり信用ならないという言い方で、これなら出さないほうがマシだと言って、私は最後まで反対した。
行政判断の誤りによる震災であり事故だった。中央防災会議が備えなくて良いと言った地域で8割の方が犠牲になっている。
これが行政判断の誤りじゃなくていったいなんでしょう。
(地震調査委員会は)専門家が議論して出しているので無視はできない。どのような影響があるのかしっかりやってほしいと要望した。
当時、福島第一原発では3〜5mこれが考えられていた想定津波の規模。
(15.707mという試算を)どう扱っていくのか私も重要視したし、東電側も当時、検討するということだった。
- 防潮堤を造って津波を入れない
- 防水機能を持たせる
- 違うところに非常用電源を設置する
そこを(東電社内で)どういうふうに議論していたのか非常に関心がある
今村氏は東電社内でどのような判断がなされたのかについても注目すべきだと示唆しました。
島崎氏もこの点については同様の意見で
それぞれの時点でどこまで報告が行って、誰がどう判断したのか。
過ちは繰り返す。過ちを改めないかぎりは。
と語りました。
原発事故における津波の予見性について。旧経営陣は最も厳しい数字を採用し稼働していたので法的な処罰に当たらないとの見解を示した。(想定外だったと)しかし、勝俣氏が出席する御前会議の場で吉田氏が津波に関して言及しており、勝俣氏は国会事故調で虚偽答弁をした可能性が浮上した。(偽証罪) pic.twitter.com/xX8leBSmhO
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2017年7月1日
旧経営陣のうち武黒氏と武藤氏は試算の報告を受けたことを認めています。ただ、勝俣氏は国会事故調で報告は受けていないと答弁していますが、知っていた可能性が浮上しました。(報ステ画像をぶっこんですいません)
そのうえで弁護側は、試算は予見可能を持たせるだけの信頼性はなかったし、仮にそのとおりに対策をしても今回の事故は防げなかったと主張したのでした。
告訴団の団長である武藤さんは津波に関する証拠から罪の追及ができるのではと思ったそうです。
画面には映っていませんが告訴団の中には亡くなった方がいます。同じ被災者からも「そこまでして金が欲しいのか」と言われながら、ずっと戦い続けているのです。
例えば水俣病の場合、今でも不知火海を中心に調査は継続されていますが真実を明らかにする為にかかった年数は40年です。また、原発事故を起こしたチェルノブイリも根本的な解決には至ってません。
私は自分が生きている間に判決を見届けることができないかもしれないことを覚悟している告訴団方々の努力が報われることを願わずにはいられません。
番組の最後には金平キャスターが内閣府が文科省に圧力をかけた点について、加計学園問題とそっくりだと感想を述べていました。
おわり