梅雨に『砂の女』強化月間
さて明日の「飛ぶ教室」、1コマ目は安部公房の、日本文学の枠を超えた世界文学の傑作『砂の女』を読みます。というのも、2コマ目のセンセイ、ヤマザキマリさんが今月NHKTVの「100分de名著」で『砂の女』を担当されるから。でも、テレビより先にやっちゃっていいのかな? いいよね、マリさん。 https://t.co/e6Npgrdf6z
— 高橋源一郎 (@takagengen) 2022年6月2日
【#高橋源一郎の飛ぶ教室】あと2時間ちょっと! 2コマ目のセンセイは、漫画家・文筆家の #ヤマザキマリ さんです。質問やメッセージは、番組HPから、お気軽に投稿してくださいね。#高橋源一郎https://t.co/WHg17Yu4gF
— らじる (@nhk_radiru) 2022年6月3日
私の大好きな小説『砂の女』が『100分de名著』で取り上げられるという事で浮き足立っていたら、『飛ぶ教室』でもヤマザキマリさんを招いて取り上げるという事でさぁ大変。
#高橋源一郎の飛ぶ教室 でも『砂の女』が特集されるのでとても楽しみ。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月2日
今日の一曲の選曲はHACHI feat.初音ミクの『砂の惑星』じゃないかと予想。https://t.co/CcfuWl7ioj
前日からウキウキして、砂の惑星かかるかな?なんて考えていたけど、かかったのはUAがカヴァーする『傘がない』だった。
とりあえず持てる力を出してメモ取った。
正式な書き起こしはNHKが「読むらじる」で公開すると思うので、ちゃんとしたのはそちらで読んで下さい。
高橋さん)僕らの世代で小説を書き始めた人で影響を受けなかった人はいない。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
本当は2コマ目で出てくれるはずですが、今日は1コマ目から登場してもらいます。ヤマザキマリさんにでぇーす
マリさん)いいんですか?
高橋さん)ずっといて。笑
磯野アナ)お二人はNHKの番組でよく共演されてますよね
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)私が出る番組によく高橋さんも出演されてる。100分de名著では喋りを制御するのが大変でした。
高橋さん)フライング気味にやっていきたいと思います。https://t.co/ThjNuXrPS0
高橋さん)100分de名著のテキスト売ってますけど。僕、この番組でテキスト読んだらノートに書いてくるのね。引用箇所も決めて。今回ノート書いてから100分de名著のテキスト読んだら引用箇所が一緒だった
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)イタリアに行った時に南米の作家がいて、ものすごく古い『砂の女』を出してきて、これ一冊読んだら認めてあげるからと言われて。イタリア語の勉強もなるし。読み始めたら没入して、これは日本語でも読まなければと母に頼んで送ってもらって、それが私と安部公房との出会いだった
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)色彩でいうと大江さんは青と黄色で安部公房は赤と黒。ケサランパサランみたいな
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)安部公房は世界文学の傑作。作家になってから読んだら本当に凄い。これを書いてる時に本当に自由で楽しかっただろうなと思う。
高橋さん)主人公は二木順平という教師。ハンミョウを探しに訪れたある村で捕まってしまう。そこから出られなくなってしまうという物語。そこはアリ地獄の底に家があるようなところだった。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
もの凄い、昆虫への興味を感じたんだけどヤマザキさんは?
マリさん)人間より昆虫を信頼してます。子どもの頃に北海道で育って、シングルマザーなので屋外の生命反応は昆虫。意思の疎通ができないのが嬉しくて、今も飼ってます。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)ただ、二木順平は新種を見つけると名前を残せるので、俺の名前を残したいという承認欲求がある。生まれてきたからには何か残したい。都会の中では認められないので、そのほうが早いと考えたのかもしれませんね。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)アリ地獄みたいなところに家がある。そこには婆さんと呼んでるけど30代の女性がいた
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)1962年の映画では9mぐらい掘って大変だったみたいですね。砂の壁なんてよじ登れない
高橋さん)村の掟で外からやってきた人を未亡人の家庭に入れてしまう。何故かというと、砂をひっかいていかないと生きていけないから
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
磯野アナ)怖いですね…。
マリさん)もしかしたらこの人で6人目ぐらいかもしれない。夫と子どもは死んでしまっている。こんな穴がボコボコ空いてる。私なんかもよく旅してますけど、都会からやってきた夢みがちな人間が巻き込まれてしまう
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)「俺は他の人間とは違うぞ」という価値観がすぼっとハマってしまう
マリさん)安部公房の上手いところは、優越性を最初に描いているところ。拘束されるなんておかしい。裁かれるべきはあいつらだと。そこで急に教師というアイデンティティにすがりつくんです。砂の中で、鏡もない家に住んでる女の姿が理想的な姿のはずなのに動揺し始めるんですよ
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
ここでブレイク
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
今夜の一曲はUAのカヴァー曲
『傘がない』
【2コマ目】
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)100分de名著とは別に『NHK出版から壁と共に生きる。私と安部公房』という本が出てます
磯野アナ)養老孟司さんとの共著『地球、この複雑なる惑星に暮らすこと』も書かれてます
高橋さん)よく本出すね
マリさん)日本にいるからですよ。2年半。やっと戻れる。この間、うちのダンナとLINEで連絡した時、ふと私の部屋が映って、すごい段ボールの山の気配がした。私の部屋が物置になってるかもしれない…。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)『砂の女』が何を象徴してるのかという事なんですが
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)安部公房は名前を付けない。イニシャルだけですよねKくんとか
〈ここでマリさんによる官能的な部分の朗読〉
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)人間のエロティックって湿ってるけど、乾燥してるからエロティックに感じない
マリさん)人間が生きていくには生殖活動をしないと遺伝子が残らない。
マリさん)カマキリやクモはオスを食べてしまう。昆虫的な生命力は地球と連動してる。この女にSNSなんて関係ないですよ。最強です。でも、この女あやまってばかりですけど、あやまる女ほど怖いものはない
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
磯野アナ)名言ですね…笑
ヤマザキさん「『すいません』ばかりいう女ほど怖いものはない」 #高橋源一郎の飛ぶ教室
— TORI MIKI/とり・みき (@videobird) 2022年6月3日
高橋さん)二木順平はSEXするんだけど村に主導権を奪われてしまうんだよね。あらゆる逃げる方法を考えるんだけど見透かされてる。順平が何を言っても「へぇ~そうなの」と、都会の論理が通用しない
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)二木順平は現実ではなくフィクションにしたいんですよね
高橋さん)女を酔いつぶしてロープを投げて脱出するんだけど方向感覚を失って、本当のアリ地獄に入るんだよね
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)塩あんこって安部公房のネーミングがね。砂は自由に姿を変えるから二木順平にとって自由の象徴だったんですよ。安部公房は満州生まれで砂の中に暮らすエキスパートだった pic.twitter.com/9GRlYb1WTR
マリさん)私たち、自由、自由って言ってるけど本当に自由になってみな?って
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)穴の中の暮らしに慣れてしまい、子宮外妊娠した女が運ばれる時に縄梯子が垂らされるんだけど逃げない。順応とも言えない
マリさん)女性に愛着も湧いているし、自由って言ってたけど自由に生きる苦しみを選ぶのか、壁に囲まれて拘束された暮らしを選ぶのか
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)今の女との暮らしと比較して、どっちが上位なのか。この小説は自由が何かという定義はないんですよね
マリさん)二木順平が他人の話をした時に女が怒って「人の事なんてどうだっていいじゃないですか!」って言った時に勝てないんですよ
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)モラルだよね。この村は砂で質の悪いコンクリートを作ってる
マリさん)愛郷精神として村の遺伝子さえ守れればそれでいい。色んな国家がそうなってますよね
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)今、この小説を読めってことですか?
マリさん)生きる事は素敵だけど、キチンとこういう事があるのだと稼働させないといけない。安部公房は書いている
高橋さん)まとめて読んだけど安部公房は今も売れてるね
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)彼の小説は全て例えなので、SFとしても読めると思います
高橋さん)主人公が自分は記録してるだけだというと、作家になりたいんですか?と言われるところがある
マリさん)私が最初に出たの『闖入者(ちんにゅうしゃ)』ですよ。その後『ペスト』ですから。不条理のエキスパートです。笑
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
高橋さん)僕もペストを読んだから気付いた。『砂の女』は特に書きながら考えてる感じがする https://t.co/WuPVFAZhmi
【告知コーナー】
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2022年6月3日
マリさん)山下達郎さんから肖像画を頼まれて、そしたら11年ぶりのアルバムに使って頂いて、油絵をやっててよかったなと初めて思いました。笑https://t.co/YgpzDPlomz
(おわり)
いやぁ〜おもしろかった。
100分de名著のほうも相当面白いに違いありません。すでにテキストが発売されているらしいので、近所の本屋さんに並んでいるかチェックしてみようと思います。