モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

ショート「答え合わせ」(2017)/★8.5

「答え合わせ」

昔、俺たちは4人揃っていつも遊んでいた。しかし、大人になれたのは3人だけだった。ある日、かくれんぼをしていたら1人が村のはずれにあるトンネルに入ったまま行方不明になったのだ。そしてそのトンネルは高速道路建設とともに忘れ去られた。
A「俺、今でもあいつのこと思い出すんだよ」
B「僕だって忘れちゃいないよ」
C「大人になってたら今ここで酒飲んでただろうな」
A「ああ、そうだな… なぁ、今から行ってみかないか?」
B「あのトンネルへかい?」
A「そうだよ」
C「んー。埋め立てられたって話は聞いてないから、もしかしたらまだあるかもしれないな…」
A「行ってみようぜ。酒と花持ってさ」
B「思い出せるのは僕たちだけかもしれないしね」
C「車は俺が出すよ」

3人は子どもの頃の記憶をたどりながら車を走らせた。大人の背丈ほどもある雑草が立ち並び、昔はよく使われていた農道もけもの道へと姿を変えていた。それは誰も寄り付かない月日を物語っていたのだ。
A「さっきからバチバチ音がしてるけどなんの音?」
B「枝が車に当たる音じゃないかな?」
C「修理代は割り勘な…」
車内にしばしの無言が続いたあと、3人が乗った車を待っていたかのようにトンネルはポッカリと口を開けていた。
A「おい!見えたぞ」
B「うわぁ。まだあったんだね」
C「奥が見えないから、ヘッドライトは点けたままにしておこう」
夕暮れの肌寒い空気が立ち込める中で、何十年かぶりにあの日の子ども達が揃った。
「おい、あそこに何か見えないか?」
「本当だ!」
俺は思わず駆け出した。何度もこの日を夢に見た。
「はやく!懐中電灯!」
「あっ!これもしかして…」
「Dの服だよ!あいつが好きでよく着てた服だ!」
俺はむせび泣いた。
「みんなありがとう。俺のことをずっと覚えていてくれて。本当にありがとう」
心からの感謝を告げても、三人には時が止まったままの俺の姿は見えず、声も聞こえなかった。ずっと怖かった。でも、この世にまだ俺のことを覚えていてくれる大切な友達がいると分かった。俺は救われた。

後日、通報を受けた警察が改めて現場検証をしたところ、トンネル内部の側面から子どもの骨とみられる遺骨が発見された。関係者に事情聴取を行なった結果、すでに亡くなっている村長が殺害に関与しているのではないかと疑われた。
複数の村人が同じように答えたのだ。
「そういえば村長は子どもが好きだったな。たしか高速道路建設の話も村長がしだしたんだよ…」
口を開けたままのトンネルはずっとその答えを待っていた。



✳︎2017年のもの。
学校の怪談」みたいな雰囲気で、友人と昔話をしてるシーンを使ってショートショートにできないかと書いたもの。



〈ChatGPTによる論評〉

とても良いショートショートでした。以下、10点満点での総評と細かい論評です。

🧭 総合評価:8.5 / 10

✨良かった点

① 構成と起承転結の鮮やかさ(9/10)
導入で「4人だったのが3人になった」と提示し、終盤で“失われた1人=語り手”という真相を明かす構成が巧みです。
しかも“懐かしさ”と“恐怖”のバランスが見事で、途中まではノスタルジックな友情再訪の物語として読ませ、終盤で一気に心霊譚へ転化させる流れが非常に効果的です。
また、最後に村長の関与という“現実的な闇”を絡めて、ただの霊の物語では終わらせないのも秀逸。短い中に「郷愁」「罪」「贖い」「発覚」という4層構造を入れている点は高く評価できます。

② 描写と雰囲気づくり(9/10)
トンネルの描写や車で向かうシーンの空気感が素晴らしいです。

「大人の背丈ほどもある雑草」「けもの道」「夕暮れの肌寒い空気」
など、読者に“時間の経過”と“取り残された場所”を体感させる具体描写が巧い。
ホラーでもあり郷愁文学でもある、という中間のトーンが維持されています。

③ ラストの詩的な締め(8.5/10)
「俺は救われた」「トンネルはずっとその答えを待っていた」
──この二つのセンテンスが、美しく響き合っています。
霊となった“俺”が救われると同時に、トンネルも“真実の発見”という救いを得た。
語りの二重性が文学的で、読後感が静かに残ります。

🔍改善を考えられる点

① 視点の整理(−0.5)
終盤で語り手が幽霊であると明かされる構造自体は良いのですが、

「俺はむせび泣いた」
以降の「みんなありがとう」への転換がやや唐突で、
「あれ、いつの間に死者の視点に?」と感じる読者も出るかもしれません。
わずかに“違和感”を残すので、たとえばこの前に
「手を伸ばしても彼らの肩に触れられなかった」など、
“気づきの前兆”を一文入れると、自然に受け入れられるでしょう。

② 村長の描写(−1.0)
村長の犯行に関する部分が事後説明的で、唐突さがあります。
このパートをもう1行だけ前半に伏線として仕込むと格段に締まります。
例:「あの頃、村長がやたら俺たちに話しかけてきたよな」など。
読者に“あっ、あの何気ない人物が…”という感覚を残せると、完成度が上がります。

💬 総評コメント

この作品は「郷愁×心霊×ミステリ」が高度に融合したショートショートです。
文字数の限られた中で、友情・喪失・救済・真実の発覚という4つの要素を収め、
しかも読後に余韻が残る構成になっているのはかなりの力量。
あと少しの伏線整理を加えれば、短編コンテストでも上位を狙える完成度です。

💡最終評価:8.5 / 10
──文学性とエンタメ性を兼ね備えた、非常に上質なショートショート
タイトル「答え合わせ」も象徴性が高く、余韻が美しいです。