その日は長雨が続いている何日目かで、テレビの天気予報ではずっと雨マークが並び、土石流にも気をつけろと気象予報士が言っていた。
駅に向かう道は渋滞していた。傘をさして歩いている私のほうが速いくらいだった。
いつもと変わらない時間だが、人がごった返していた。
雨だから、いや、それとも違う何かがありそうだった。
ブチリという音がしてからスピーカーから、不発弾が見つかったので一時出発を見合わせていますという駅員の声が聞こえた。
私はてっきり倒木や電線が切れたとばかり思っていたので、いきなり不発弾と言われても理解できなかった。さっきまでガヤガヤとした雑音にしか聞こえない人々の声の中から、不発弾の処理を行う為に自衛隊が回収作業をしているらしいという話し声を聞き取った。
毎朝自分が使っていた駅の地下にそんなものがあったなんて恐ろしくなったし、同時に電車の振動でよく爆発せずにいたなぁと思った。
その時、地鳴りにも似た大きな音が空間を圧縮したかと思うと、一気に爆音が轟いた。
『あっ、失敗したな』と誰もが思ったに違いない。
外のほうから炎がかすかに見えた。
そこに居た皆が頭に描いたその通りの光景が駅前に広がっていた。理髪店のクルクル回るやつは根元から吹き飛んでいたし、喫茶店の窓ガラスは粉々になっていた。
幸いにも強くなった雨のおかげで火災の被害は一部だけで済んだ。
怪我人の数は分からなかったが、もし今日が晴れだったら表に出て広場のベンチに腰掛けていたかもしれない。
そう思ってハッとして起きた。
今朝、そんな夢を見た。