本を買うのと、本を借りるのとでは大きく勝手が違う。
ようやく見つけた「聞く力」は読まれまくってフニャフニャになっていた。
コンビニの雑誌がフニャフニャになっているのはよく見かけるけど、新書がぞんざいに扱われているのは見たことなかった。
読み込む人は重要なところに線を引いたりするんだろうけど、これは借り物ですからねぇ…
雑っ‼︎
借りた本をぞんざいに扱える人とは友達にはなれないな。(これはCDを貸したら返ってこないパターンのやつや!)
阿川さんだから話しちゃう
この本を手に取る人がどんな人なのかを想像すると、セールストークの技術を磨きたいとか、商談の交渉を円滑に進めたいビジネスマンが多いと思う。
「じゃあ、お前はどうなのか?」といえば「流行ってたから」です。
多分、著者が阿川さんじゃなかったら読んでなかったと思います。
そうやって幅広い客層に購入されてベストセラーになったんでしょうね。
阿川さんの中に大雑把と謙遜が同居してるからこそ、対峙した時に喋ってしまうというのが究極です。
それはエッセイとしての側面で楽しむことができます。
しかし、大雑把な性格でありながら次から次へと疑問が浮かぶ人間は少ないと思います。(一つのことに集中しすぎて周りが見えていないともいえる)
この本の面白いところは阿川佐和子という人間を無視しても教本として成り立つところです。
せっかくなので自分なりに書き出してみたいと思います。
- インタビューする時は事前に用意する質問は一つだけにする
- インタビューの質問は3本柱(残りの2本はその場で考える)
- トークは生物
- 上っ面な受け答えはしない
- 感情移入のしすぎは問題だが、思いが伝わらないと聞き出せないこともある
- 最後まで諦めない
- 失敗は引きずらない
- 誰もが知っていそうで知らない基本的なことを訊く
- ゲストが別の機会に話した内容は避ける
- 体験談は当事者の言葉でないと意味がない
- 先入観は「一部」であり「全体」ではない
- 相槌は相手を喋りやすくする反面、場合によっては気分を害することもある
- オウム返しを使うことでリズムを作る
- 相手に合わせて服装を変える
- 具体的な話を訊きだす
こんなところでしょうか。
この本を読んで気付いたのですが、会話と質問って使う筋肉が違うんですね。
例えば「学校で友達ができない」というベタな悩みは「会話が苦手」という原因に辿り着くことが多いです。
つまり、自分に自信がある人間は会話の筋力を鍛えるのが得意で、それが苦手ならば質問の筋肉を鍛えればいいんですね。
インタビューとして捉えて、慣れてきたら能動的に自分の話をしていけば会話になっていくと思います。
そうですねぇ。印象的だったのは黒柳徹子さんとのエピソードで、戦争を体験した黒柳さんが子どもの頃になりたかったのは、世界をまたにかける「スパイ」だったそうなんです。
ここで「ちょっと待てよ…」と。
相手との距離を縮めて、重要な話を聞きだす阿川さんこそスパイじゃないかと。笑
そういえば現在、外務省がスパイ募集しているのを知ってますか?
笑い話じゃなくて事実ですよ笑
雇用形態は非常勤の国家公務員だそうです。
黒柳さん、阿川さんいかがでしょうか?
それと、最後のほうでご家族の介護について触れられているパートがあるんですが、それを理由に長年つづけてきた昼のラジオを休養されたんですよね。
仕事のみならず、大事な人のために「聞く力」を使っているんだなぁと思いました。
おまけ
いとうせいこうさんが出演してるテレ朝の番組に「フリースタイルダンジョン」というラップのスキルを競う番組があります。
「即興で韻を踏みつつ、ビートに合わせて相手を挑発する」と表現すれば分かりやすいでしょうか。
このフリースタイルは「聞く力」と共通する部分があって、あらかじめ作ってきたフレーズはつまらなくて、相手の着てる服をなじったりするほうが面白いんです。
阿川さんはこのスキルを持っていると思うので、フリースタイルダンジョンに出て欲しいなぁ〜と笑