藤本タツキ『ルックバック』表現を変更へ 「通り魔」の描き方の問題点(KAI-YOU.net) - Yahoo!ニュース
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この通り魔の表現については難しい。確かにこの記事の中で指摘されている通りに、精神を患って会話が通じない人間を悪として描く事はやまゆり園事件の犯人と同じような優生思想を助長する可能性がある。
でも、このルックバックの物語で描かれているのは周囲の誘いを断ってまで向上心と競争心の為に描き続ける姿。その鬼気迫る姿に読者の心は掴まれる。ならば犯人の男もまた誰よりも美しい作品を作るために努力していたはず。そのなかで競争に晒され精神的に病んでしまったと読める。媒体が他の作品としのぎを削る週刊少年ジャンプなら尚更だ。
この男の存在は、誰より上手くあろうとした別の世界線の1つだと思う。
物語の中では2人が出会い1人が死んだ現在で、2人は出会わず1人が怪我をする世界線を想像する。でも、2人は出会わず主人公がもう1人の主人公を襲う世界線もあったかもしれない。
それとこの作品はジャンプ作品なのに、いわゆる主人公補正がなくて、ひたすら修行の日々を送るというのも特徴的。その点からして現実に寄り添う作品に映る。作者の意図しない差別を招く可能性があるならと表現を修正したのだと思う。
漫画家はすごいなと思う。
超そう思う。