モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

「さくらももこ著/憧れのまほうつかい」の感想

さくらももこ著/憧れのまほうつかい」読了


画家エロール・ル・カインに魅了されたさくらさんが同氏の死を知り、イギリスに赴き人となりを知る人達の元を訪ねるエッセイ。

エッセイの中にも書いてあるけど、せっかくルカイン氏の事を話してくれているのに眠くなってしまい、寝ていた事がバレるのが怖くて話を振られた時に「そのお菓子もらっていいですか!?」とか「トイレは何処ですか?」と誤魔化すのがちびまる子ちゃんそのままだった。笑




私はこのエッセイを読まなかったら、こんな画家がいるなんて知らなかったし、さくらさんのメルヘンチックな作風のルーツがここにあったのかと知ることができた。
あえて悪いところを書くとすると、さくらさんの中にあるルッキズムが今の感性だとキツい。
これはちびまる子ちゃんの中でも、佐々木の爺さんが小杉くんの事を「デブちん」と呼んでいたり、さくらももこ作品ではちょいちょい散見される。
読者に対して生きづらさのフィルターを与えるよりも、常識とされる視野の外側や、別の価値観を提示することで読者に自由を与える事のほうが豊かだし、今の私は面白いと思う。
昔の作品を読んだ時に価値観が合わないという事は当然ある。ただ、さくらさんの口にはイギリスの料理は合わず、中華かインド料理にしたほうがいいというのは現在もそんなに変わっていないのかもしれない。SNSで検索すると、イギリスだって当然ながら美味しいものと美味しくないものはあるけど、イギリス料理そのものがちょっとアレな雰囲気。
インドはスパイス文化、日本はダシ文化。
イギリスは素材の味をそのままみたいな。
あとお茶が美味しいというのも今も変わらないようで。