ブローデルあらわる
- 作者: エディットユイグ,フランソワ‐ベルナールユイグ,Edith Huyghe,Fran〓@7AB7@cois‐Bernard Huyghe,藤野邦夫
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 1998/02
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
この間、借りようとして借りなかったと書きましたが、借りてよかったです。
これは名著に入ると思います。
ええ、たぶん。
お正月の100de名著の特番でブローデルの「地中海」を知ったので、タイミングとしてはドンピシャでした。
この本は主に、スパイスの流通を元に国の繁栄だとか、東洋に対する神秘思想とか、航海術だとか、なぜ中国や日本はポルトガルに征服されなかったのかなどが書かれています。
地図が不確かな時代では探検家の地位が高いというのも面白いです。
しかも、この本はブローデルがいなければ存在し得ない本です。
世界探索の理由
「世界は一つ」とガッチャマンが言っていましたが、私は「価値観×職業×人間」の数だけ世界があると思っています。
つまり世界は分岐していて、同時並列に存在するという考え方です。
この本を読むと世界が分岐する理由を知ることができるので、あなたがガッチャマンならばかなりオススメです。
ファーストインパクトはアレクサンドロス大王のお散歩が発端です。
大王様は宝石や珍しい動植物、それにスパイスが豊富だったインドへ軍隊を率いてお散歩に出かけて征服します。
これによって、お米とサトウキビをいただきストリート。
部下のネアルコス提督に命令して航路を確立します。
当時のスパイスの優先順位は…
【下級】タイム、マージョラム、ローリエ、セイバリー、アニス、ニンニク
↑アレクサンドロス大王が現代のダイソーに行ったら発狂するでしょうね。
或いはSB食品を買収するとか。
【交換レート】
コショウ1kg 換算
インド →銀1〜2g
アレクサンドリア→銀10〜14g
ヴェネツィア →銀14〜18g
インドで銀1gだったコショウが、ヴェネツィアでは18倍の値段で売れるわけですから転売屋はボロ儲けです。
ここら辺は100de名著でも触れてましたが、経済活動が活発化した理由の一つはスパイスも含まれるわけですね。
【商人/仲介人】
とんでもない変態語学力である。
奴隷文化があったことをふまえると、言語能力が
スパイスの使い方に関しては肉の保存はもちろんのこと、ギリシア人が酒の調味料としてベルモットを発明したり、ペルシア人がエロ目的でショウガを使う一方で、中国人は壊血病予防にショウガを使っていたり、多種多様な使われ方をしたそうです。
海賊の襲撃に対応する為に商業用ガレー船が生まれる。パッカーン。
この船は帆船とは違って乗員200〜400人、約40人の漕手がいたそう。
個人の冒険心や神秘思想が新たなる土地へと足を向かわせ、それを知った権力者が植民地を広げ、資本家が投資する。
そうやって地球のフォルムが分かってきた現代において、科学が神秘思想を否定する存在であると同時に、宇宙や深海に対する新たなる神秘思想への可能性を提言する役割を果たしています。
昨年末、アメリカでは宇宙資源開発に向けて「宇宙法」が可決されました。
現代人が新たなる土地へと向かうとすれば、それは宇宙以外にありません。
昔の冒険家や旅行家が新たなる土地へ足を踏み入れる時は、言葉の通じない先住民がいました。
白人が人をさらうことを知っている先住民は槍を投げて撃退したり、場合によっては白人を捕虜としました。
先日、イーロンマスクのスペースX社が着陸失敗して爆発してましたが、仮に他の星で着陸失敗したらそれは「攻撃」と受け取られ兼ねませんから、惑星探索よりも宇宙ゴミの問題に目を向けて欲しいです。
何にしても、強欲は身を滅ぼします。