モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

粋な朝電波の感想。

ラジオ三昧

粋な夜電波が放送を終了してしまい、菊地さんの声を聞く機会は無くなってしまった。なんであんなに面白い番組が終わってしまったのか今も分からない。

12月30日 さよならのかわりに - モブトエキストラ

その後、高橋源一郎さんが菊地さんに交渉してゲスト出演してもらえる事になったとツイートして、今日ようやくその日を迎えた。

昨日から私は楽しみだったし、何なら粋な夜電波を聞いていた人がうっかり忘れてしまわないように番宣もしていた。

「#denpa954」のハッシュタグも復活させてワクワクさんとゴロリがハサミで刺し合うようなテンションだった。

ここからはメモ（正確な書き起こしではないからね）と感想を交えて書いていく。

学びたい人に場所を作る

高橋源一郎さん）定年で大学を退館して、小さな私塾「飛ぶ教室」の１回目に原武史さんを招いて原さんの本をみんなで読んだ。その時に「誰も寝てないなんて初めてだ」と言っていて、学びたいと思う人が集まれる場所を作るのは僕らの仕事だと思った。
原さんは学生に「こんなに素晴らしい場所は無いんだからよく覚えておいて」と言ってくれた。

オープニングは私塾「飛ぶ教室」についての話だった。数日前に原武史さんもツイートしていたのを見たけど、元号が変わるという時代の喧騒の中で、冷静な目を持つ事は大切だと思った。

衝撃的だったのは金子文子という作家のお話。

私はこの方を知らなかったんだけど、今よりももっと女性の立場が弱くて学ぶ機会もなかった戦後にーー12歳だったかな…？ この方は両親から文字を教えてもらえず、学校に行っても教師からぞんざいな扱いをされ、自殺しようと汽車を待つんだけど来ない。その間に何でこんな扱いをされるのか知りたくてたまらなくなって、自分と同じような扱いをされている人のために生きようと決める。高橋さんが朗読したのは二箇所の短い文章だったけど、絵が見えたし、天皇うんぬん、無政府主義者うんぬんというのは別にして、学びたい人のために場所を作りたいという言葉は心から言ってるなぁと感じた。

ゲスト：菊地成孔

高橋さん）菊地さんに会うのは４回目
１回目は女性シンガーのライブを見に言った時サインを貰おうとした、２回目は東浩紀さんのゲンロンカフェでお会いして、３回目はブルーノートに行って直接出演交渉をして。幅広く活躍されていて、ぶっちゃけファンなのであがって何も話せなかったらどうしよう。

 

藤井アナ）本日のゲスト菊地成孔さんです。
高橋さん）お越し頂きありがとうございます。

菊地さん）ありがとうございます。とんでもないです。
高橋さん）大丈夫ですか？
菊地さん）全然ダメです。寝てないですね。笑
高橋さん）あの〜。一応、NHKの番組なので台本もあるのですが、自由にやっていいということで…ファンなので（照れる）
菊地さんは同じ学年がすごいですね。
タランティーノ、ミシェルゴンドリー、岩井俊二、野島伸司、リリーフランキー、松本人志、吉田戦車、片桐はいり、岡崎京子、雅子妃
菊地さん）めっちゃ濃いですよ。KONISHIKIさんもそうなんです。
高橋さん）ぼくメルマガも読んでるので…。
菊地さん）お金払ってるやつじゃないですか。
高橋さん）なんでこの年はこんな濃いんですか？
菊地さん）生まれた時が高度成長期で、20代がバブルの絶頂期。ジャックポット、躁病のハイみたいなもんです。
高橋さん）それでね、面白いのが音楽家、文筆家で検索したらまず菊地さんの顔が出てくる。他にいたっけ？って思って。中原昌也、ジョンケージとか。
菊地さん）ブーレスもケージも名著が一二冊あるぐらいですね。

✳︎ブーレスが誰なのか私は分からん…。聞き間違えの可能性ある。
高橋さん）菊地さんは拮抗してる？
菊地さん）そうですね。
藤井アナ）今日は三つのキーワードについてお訊きします。

キーワード「音楽家」
高橋さん）いろんなの同時にっていうのは、やりたい事がいくつもあるんですか？
菊地さん）今では普通ですね。さほど珍しい事ではないと思います。
高橋さん）失礼ですが、菊地さんの本を読んでて好みが似てると思って。ゴダールの『気狂いピエロ』 僕も1967年7月7日に公開されて初日に見に行ったんですけど、映画の採点をしてたんです。101点がキチガイピエロ。二週間後にコルトレーンが亡くなって。一年前の7月17日に神戸でライブやったでしょ？
菊地さん）はい。
高橋さん）暫くJAZZは聞いてなかったんだけど、偶然菊地さん聞いて。今ジャズ楽しいでしょ？
菊地さん）80年代のジャズは底値ですね。
高橋さん）10年ぐらい聞かなくて、今はこんなに楽しくなってる。
藤井アナ）今日はいくつか選曲されてるという事で。
菊地さん）『機動戦士ガンダム』というものがあるんですが、サンダーボルトというシリーズをやらせてもらって。アニメというのは国是で、僕の中でも3桁飛び抜けて売れてる。機動戦士ガンダムサンダーボルトのメインテーマです。


高橋）これでいいんですかね？（ポリリズム入ってるJAZZ）
菊地さん）原作に書き込まれてるんです。宿敵がオールディーズのファンで、もう１人がジャズのファン。イラク行った人も、ベトナム行った人もそうだけど聴いてないとやってらんない。どっちも作れる人いないかって僕に話が来た。
ドラムから始まったのは主人公が叩いてるからです。

モブトエキストラ

✳︎そういえば前にも音楽と戦意高揚の話してたね。

藤井アナ）ここでお電話が繋がってます
大友さん）大友良英でーす。
菊地さん）あ、ども菊地成孔でーす。
大友さん）午前中話すの初めてだね。笑
菊地さん）30年近いですけど初めてですね。NHKの成功者から何か？
高橋さん）前に大友さんに「菊地さんってどんな人ですか？」って訊いたら「あいつは悪い人ですよ。ハッハッハ」って言ってましたけど？
大友さん）悪い人ですよ。何が本当か分からない人ですから。笑
藤井アナ）菊地さんの何がすごいのでしょう？
大友さん）やる事が早いし、音も速いし、脳みその回転も速いんです。
菊地さん）この間、特番を見てたらおおともっちが…大友さんがクレイジーキャッツのリバイバルをやってましたけど、あれは大友さんが決めたの？
NHK番組表
大友さん）クレイジーキャッツはそうだね。
菊地さん）大変な文句があるね。
大友さん）なんだよそれ。笑
菊地さん）植木等を小松政夫さんにやらせるのも良いけど、森加計問題の出てくると俳句を詠む人が平成の植木等だと思うよ。オピニオンリーダーとして自覚してやってほしいね。連れてくるのはアレだけど。

【詳報】「国策捜査」主張し一句 籠池節、初公判でも：朝日新聞デジタル

✳︎平成の植木等が籠池説笑った。

キーワード「先生」
高橋さん）これがすごくて。
菊地さん）全部非常勤ですけど。
高橋さん）ものすごく忙しいでしょ？
菊地さん）そこそこですよ。
高橋さん）教えるのは好き？
菊地さん）好きですね。
高橋さん）あっ、時間がなくなってきた。汗

藤井アナ）Twitterで不二子の館かけて！とリクエスト頂きましたが、この番組ではテキストどん！のコーナーで使わせて頂いてます。

高橋さん）知らなかった。
藤井アナ）菊地さんの曲をもう一曲。

菊地さん）えっと、たった今活発化してるのがファイナルスパンクハッピーという女の子とのデュオがあるんですが、それの未発表音源「エイリアンセックスフレンド」

高橋さん）いやぁ〜。NHKの午前中にふさわしい曲。
菊地さん）すいません、ほんとに。
高橋さん）楽器を弾いて歌う人にサッチモとチェットベイカーが居ますが、あの人達は楽器の延長でやってますよね。でも菊地さんはものすごく歌ってるでしょ？
菊地さん）歌も昔から好きだし、サックスも好きだし、どっちもそこそこなんでどっちもやろうかなって。
高橋さん）菊地さんなんでもやるんで、クラシックもやるじゃないですか？
菊地さん）スタンダードですね。
高橋さん）デュークエリントンとかは？
→最近、ジャズのスタンダードはやらないですけど、なんて言ったらいいのかな。歌わないと死んじゃう人もいるし、聞いたら身体が震えるような声の人もいる。歌にはそういう力があるけど、僕らの世代はヘタウマなんですよ。ヘタである事に価値があるんです。
高橋さん）超絶技巧ではないとしても、サックスのほうはめちゃくちゃ上手いですよね？
菊地さん）自分で言うのもなんですが、そこそこです。

高橋さん）「ゼロからの音楽文法」というのを購入してるんですけど。
菊地さん）全く何も知らない人向けのね。
高橋さん）どこから情熱が来るんですか？
菊地さん）言っておきますけど、一般大は全部辞めてるんです。私塾とメルマガだけでやってます。
ボクシングとかはコマで分かる、アメリカンフットボールは分からない。サッカーはルール分からなくても「わー！」ってなる。音楽はそこで固まってるので、何十年前かにルールが分かればいいなって思ったんです。

キーワード「文筆家」
高橋さん）菊地さん素晴らしい文筆家なんですけど、「文体」って言葉ではなく今は「ヴォイス」って言うんですけど。菊地さんは「声」ですよね。
菊地さん）全て音楽的なことをやってるんです。文筆家になりたくてやってるわけでなく、自分のフライヤーに書いてたりしたらある日、小学館の方が来て詐欺だと思ったんですけど。笑
藤井アナ）本日は「粋な夜電波」の前口上を朝電波としてやって頂けるという事で…。
菊地さん）NHKの圧力に負けて。笑
番組終わったんで書き下ろせませんって言いましたけど。

✳︎2016年の秋の放送って言ったかな。

棘と快楽のやつ。力道山刺されたる街、ここ赤坂TBSラジオより彷徨えるJAZZミュージシャン菊地成孔がお届けします。みたいな。痺れるわ。何で終わっちゃうかねぇ。

高橋さん）いやぁぁ最高ですね（ニヤニヤ）ラジオいいですね。
菊地さん）打ち切りになりましたけど。首切られました。
高橋さん）確か「スペインの宇宙食」でアルバートシュバイツァーの話を。
菊地さん）あ、はいはい。オルガニストで、ランバレネでオルガン作って子どもとセッションしてる写真があるんですね。
ジャズというのはアフリカから連れてこられた人達によって作られたもので、「ジャズの死んだ片割れ」という言い方をしてますけど、カッコつけてるんですね。

✳︎時間無くなって「京マチ子の夜」でお別れ。

NHKラジオ第一『すっぴん』ゲスト>>菊地成孔 2019年5月17日金曜 #nhk_suppin #denpa954 and More!! - Togetter

いやぁ。全然時間が足らない。

もっと聴きたいなぁ。菊地さんの話は面白いし、普段なら寝る時間なのに考え込んだりとか、言葉が出てこないシーンがなかった。

あと、個人的に一番印象的だったのが、番組はもう終わってしまったから、書きおろすことはせずに前口上を再放送したという点。

粋な夜電波のラストの言葉を守ってるところがカッコよかった。

でも、ステッカーあげちゃうの笑う。