学問が最終的に突き当たる壁は自分の脳である by Yo-Low-Takeshi
『バカの壁』(バカのかべ)は、東京大学名誉教授・養老孟司の著書。新潮新書編集部の口述筆記による著作である。2003年(平成15年)4月10日、新潮新書(新潮社)より刊行された。400万部を超えるベストセラーとなり、同年の新語・流行語大賞、毎日出版文化賞特別賞を受賞。同年4月に創刊されたばかりの新潮新書は、同書のヒットによりブランドイメージを定着させた。
宮崎駿の「折り返し点」に載っていた対談が面白かったのでこの本を借りました。
発売されたのは2003年。400万部のベストセラーですって。又吉の「火花」の約2倍ですよ。
養老さんTueeee‼︎
本の内容を一言で言うと…
「認知バイアスと確証バイアスとの戦い」です。
何かと情報過多になりやすい世の中ですから、今読んでも面白いです。
逆にいえば養老さんの想像の域に社会があるということ。これは「不幸な意味で」です。
というのも、2003年はイラク戦争真っ只中ですから、本書の中でも幾つか戦争について指摘されています。
分かりやすいように少し書き出してみます。
- 我々は自分の脳に入ることしか理解できない
- 自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている
- 人生の三分の一は睡眠であり、イコール人生の三分の一は無意識である
- 人々は無意識を人生の一部であると考えていない
- 「知っている」ということの実態はそんな程度だということ
- 『常識』とは「雑多な知識が沢山あること」ではなく、「客観的事実を盲信しないこと」である
- 現実のディテールを完全に把握している存在が世界中に一人だけいる。それが『神』である
- 脳内のインプットとアウトプットを一次方程式にすると「y=ax」となる。a=ゼロ(無関心)とa=無限大(テロ)は始末が悪い
- 脳は要するに計算機であり、個性は身体に宿っている
- 「個」というものを表に出した文化は必ず争いが起こる(一神教=一次元)
2015年。もれなく泥沼ですよ。
中でも、印象的だったのが以下の一文。
意識というのは共通性を徹底的に追及するもの。
人間の脳の特に意識的な部分というのは、個人間の差異を無視して同じようにしようとする性質を持っている。
だから、言語から抽出された論理は圧倒的な説得力を持つ。
論理に反することはできない。
個別的自衛権と集団安全保障の区別もつかない政治家が、説得力もないのに国民を変えようとした、この夏のゴタゴタを想起してしまいました。
「反知性主義なんてクソくらえっ!」ですね。
言葉の通じない相手に対して、いかに言葉で語り続けるか。
いわば、最後まで言葉を捨てない奴が勝ちのゲーム。
この本は「現実脱出論」と合わせ読みすると面白いのでオススメします。
- 作者: 養老孟司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/04/10
- メディア: 新書
- 購入: 13人 クリック: 371回
- この商品を含むブログ (589件) を見る