今朝の「伊集院光とらじおと」に国立情報学研究所の新井紀子さんが登場。
面白かったのでメモっておこうと思います。
東京新聞:中３の１５％、短文も理解困難 教科書や新聞で読解力調査:社会(TOKYO Web)
読解力の問題については以前に『深夜の馬鹿力』の中で伊集院さんが触れていて、本当に自分が面白いと思って話したことをリスナーは理解したうえで笑ってくれているのか？ もっと言えば、全ては壮大な社会実験で、このラジオなんて存在せず、マイクの向こうには誰もいなくて、自分は被験者なのではないか？という人間不信の面白トークをしていた記憶があります。
昨日のゲストの永井豪さんとは家の近所で会ったことがあると言っていたけど、新井さんとも道でばったり会ったそうだ。なんというエンカウント率だろう。
コーナーの冒頭で新井さんは「自分がアニメ声だからコンプレックスなんです」と言い、伊集院さんは「AIの話は難しいし、怖い部分もあるからその声のほうが良い」と言っていた。まさにその通りのやり取りが繰り広げられることになるとは…。
新井さんはまず、自分は数学者であってロボットが好きというわけではないと話しました。
「AIという言葉が見当たらなかった2010年にロボットを東大に合格させるというプロジェクトを開始しました。これは第三次ロボットブームを見据えたうえで、企業は都合のいいデータのリリースを出すに決まっているので、誰かが身を切って『ここまではできるけど、ここから先はできない』と示す必要があると思ったからです。コンピューターは徹頭徹尾、数学でできているので、数学者である自分がやる事にしました。
結果的にAIは150億の文章をインプットすると文章パターンを理解することが分かりました。しかし英語でさえ、適当な相槌はできても、目的が理解できない限りは会話が成り立たなかったのです。
一方で、AI以上かAI未満かでホワイトカラーの時給が決まる世界になるとしたら、偏差値57という東ロボくんの数値は怖かったです」
伊集院さん「何が必要なのでしょう？」
新井さん「動物力は重要で、こうやったら危険だと理解するゴリラ並みのリスクヘッジができないといけません」
伊集院さん「なんとなく入った店が美味いかどうかと、口コミを見て入るパターンがあるじゃないですか？」
新井さん「そういう人ほどAIは相手にしやすくて、飼い慣らされたヒツジみたいな」
柴田理恵さん「飲み屋を決める時に若手が食べログを見て勧めてくるけど、私は自分の足で確認するようにしてます」
新井さん「店員の仕草で判断できるかどうかは重要ですね」
伊集院さん「えー…ラジオをお聴きの皆さん、お子さんにゴリラの真似をさせるのをやめて頂いて、ここで一旦CMです」
新井さん「２年続けて東ロボくんは高校生達とガチで戦いました。時点では、計算と暗記だけならそれはそれでいいと思っていましたが、高校生達の解答を見ているうちになんか違うなぁと感じたんです。彼ら、彼女らは一生懸命、問題を解いているのに簡単な文章問題を間違えていたのです。これには先生方もショックを受けていました。結果、中学生のおよそ半数が教科書を読めないまま卒業していることが分かりました。同時に、だから365日、休みもせず、トイレにも行かず、給料を要求しないAIに負けたのだと。
それ以来、この現状をどうにかしようと考えて調査を開始しました。調査の結果、意外なことに本を読むかどうか、塾に通っているかどうかなどは関係がなかったんです。アンケートに書かれている文章を理解していない可能性もありますが、AIと似ている点として、キーワードしか見ずに『〇〇ではなく』という前提条件が理解できない点が挙げられます。キーワードを見て雰囲気で怒ったりするんですよね。先ほどゴリラを例に出しましたが、ゴリラはスゴくて、どんなボスゴリラでも女の視線を感じたら食べ物を渡さざるを得ないのです。数学ができる事は限られているし、データ量では人間は敵わないので、読解力を上げることが必要なのです。
これはまだデータにはできていない事ですが、幼稚園の先生に聞き取りをすると、今の６歳児は昔の５歳児ぐらいの語彙力しかないかもしれません。子どもがどのように言葉を学ぶのかといえば、当然周りに居る大人からで、母親は子どもに対して子どもに分かる言葉で話しますが、パートナーに使う言葉や敬語を使わなければならない場合など、人間関係によって使う言葉が違いますよね。今はとにかく家の中に言葉がなくて、カレンダーでさえ掛けていない家庭があります」
伊集院さん「効率化しようと思ったのかもしれませんね」
新井さん「それがダメなんですよ」
伊集院光とらじおと|TBSラジオFM90.5+AM954～聞けば、見えてくる～
「伊集院光とらじおと」の音声はradikoのタイムフリーで聴くことができますが期限は１週間です。TBSラジオではラジオクラウドで音声を配信してる番組があるのですが、この番組は配信してません。
でも、週末にサイトに音声がアップされる可能性があるのでちゃんと聴きたい人はのぞいてみて下さい。
以上、ゴリラのリスクヘッジもできずAIに飼いならされたヒツジの怖い話でした。（おわり）
