JAM THE WORLD : J-WAVE 81.3 FM RADIO
火曜日8時台はニュース・スーパーバイザー、ジャーナリストの青木理が登場!「UP CLOSE」のコーナーでは、あまり知られていない「法廷通訳」の現状と問題点について弁護士の寺田有美子さんと一緒に考えます。 #jwave #jamtheworld
— JAM THE WORLD (@jwavejam) 2018年5月1日
以下、メモです。
青木理さん)法廷通訳や司法通訳をされているということですが、まず法廷通訳について教えて下さい
寺田有美子さん)当事者が外国人の方で日本語が通じない場合に、裁判官や尋問のやり取りを教えてあげる仕事です
青木)それはどうやって決まるんですか?
寺田)裁判所が持ってる名簿から決められます
青木)多いのは何語ですか?
寺田)2016年のデータですと中国28.5% ベトナム語20.5% 次いでポルトガル語、タガログ語となっています
青木)足りているんですか?
寺田)質、人数ともに足りていないのが現状です。
青木)通訳がきちんとされない事で権利が守られていない可能性があるのですか?
寺田)少なからずあると思います。私達が明らかにおかしいと誤訳に気付けるのは氷山の一角だと思います。
青木)法廷の言葉って、日本語で聞いていても「何言ってんだ?」と分からない事がありますが、通訳するとなるとさらに難しいですよね?
寺田)例えば反対尋問で二重否定であったり、早口になったりとか色々な難しさがあります。
青木)誤訳についてはどうですか?
寺田)2016年にあった日本赤軍のジャカルタ事件のもので、インドネシア語が必要になったのですが、「警察官が私服」という事を言っていたのを「警察官の服」と間違えていたという事がありました。
青木)刑事司法は警察の取り調べ、検察の取り調べ、起訴の流れがあって、取り調べの段階で通訳が必要になりますよね? 取り調べはもっと悲惨なんでしょうか?
寺田)法廷と違って捜査は表に出てこないことが多いので、間違えている可能性は高くなるかもしれません。
青木)警察官としては社会正義のために仕事をしているのに言葉が分からないというのは警察としても困るでしょう?
寺田)そうですね。検察としても外大さんに委託して勉強するという事もあるようです。
青木)この話って他人事というか、現実感がないという事もあると思うんですが、逆に日本人が被害者になる場合もありますよね?
寺田)少し古いものですが、1992年に『メルボルン事件』というものがありました。オーストラリアに渡航する途中で荷物が無くなり、帰ってきた時には二重底になっていて違法薬物が入っていたというものです。
「メルボルン事件」で逮捕された本田千香さんが事件の全てを激白 : スポーツ報知
青木)ゾッとしますよね。アジアなんて薬物で死刑になることもありますもんね。
寺田)通訳を教える際に「もし自分だったらと想像してみてください」と言って教えています。
青木)他の国の取り組みはどうですか?
寺田)オーストラリアの場合は移民がいるので整備されているようですね。
青木)マイナーな言語であった場合、相当苦労するのでは?
寺田)少数言語などに対しては国が取り組んで、資格を与えるという流れになっています。
青木)通訳の方にこういう言い方をして良いのか分かりませんが、日本では質、量も足らず、資格もなく回しているというのは遅れてますよね?
寺田)通訳にとっても、頑張りにくい環境であると思います。
青木)かなり長い時間やっていると思いますがどれくらい貰っているのでしょう?
寺田)報酬については公開されていません。二人でやったほうがいいと言われているのですが、待機時間は報酬が出ないとか問題があります。
青木)同時通訳だけでも10分が限界でしょう?
寺田)聞き取りながら翻訳して文章にするという、かなり緻密な作業をしてます。
青木)現状を変えるにはどうしたらいいのでしょう?
寺田)行政の窓口であったり、医療であったり、幅広い活躍の場を用意して、資格を取るとこういう仕事ができると示すことが重要だと思います。
青木)日本語もある種、特殊な言語ですよね
寺田)世界から見たらマイナーな言語です。
青木)お時間となりました。寺田さん、今日はありがとうございました。
寺田)ありがとうございました。
ちょうど今日のニュースで外国人技能実習生が福島第一原発で作業させられていたという記事があったので、メモを取りながら聴きました。それ以外でも入国管理局が虫垂炎を発症したトルコ人男性を放置するという問題もあり、海外から日本を見た時に人間性が疑われるのではないかと不安になります。
短い時間でしたが、寺田さんの話は分かりやすかったです。リンクを貼っておきますが、『メルボルン事件』はエグいですね…。運び屋に仕立て上げられ、言葉も通じないまま死刑というのは想像しただけで息が詰まります。
今の時代って、言葉を覚えるよりもGoogleの翻訳アプリでやり取りするっていう場面が増えていると思うんですけど、寺田さんの言った通りにしっかりとした語学力を持っている人間がいないと、間違っている事を指摘できないんですよね。アプリだって設定の段階で間違えてる事もありますし。
日本の司法制度が抱える問題の一つであると同時に、嘘だらけの社会の空気を吸い込んで言葉の価値観が下がると人権までも軽視されていくのではないかと考えてしまいました。
以上です。
東京新聞:福島第一に外国人実習生 東電、就労ルール逸脱:社会(TOKYO Web)