モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

すっぴん!最終回の感想

第1639回 さよならラジオ

昨晩、高橋源一郎さんが最終回に向けての意気込みをツイートされていた。絶対に聴き逃すまいと決意して眠った。(だからよく眠れなかった)

そわそわしながら最終回を待っていたらウグイスが鳴いてる事に気付いた。春が来たらしい。花粉も多くて私の目はショボショボしていた。

『すっぴん!』が始まる前の番組で「このあとすっぴん!最終回という事で.待機されてる方も居ると思いますが、私も6年間担当させて頂きました。ありがとうございました」と気象予報士さんが挨拶していた。その言葉を聴いた私は今回のCOVID-19のゴタゴタでさようならを言えずに卒業する学生さん達の事を思い出した。就職予定の企業から、先が見通せないということで内定を取り消された方もいるらしい。関係ないけど、楽器ケースの中に入って出国したMr.ビーン…じゃなくて、カルロス・ゴーンの滞在先であるレバノン債務不履行に陥ったとか。世界恐慌でゴーン氏の大脱出映画もナシになってたりして。

ここから以下、メモ(書き起こしじゃない)と感想になる。

高橋源一郎さん)おはようございます。とうとうこの日が来てしまいました。2012年に始まった『すっぴん! 』今日が最終回になります。長く続いたものが終わるのは哀しいと感じるかもしれませんが、僕は少し違うと思っていて。終わるから美しいのだと思います。
家族というのは一つの船に乗ったクルーで、20歳を迎えたら次の港で降りて別の旅を続けていく。この番組は今日で帆を畳みますが、それぞれの旅は続きます。終わりがあるから始まりがあると言えるように、皆さんの記憶の中にとどまれるよう、あと3時間楽しくいきましょう。
今日の源国では寝ずに書いた短編小説を朗読します。渾身の一作です。『すっぴん!』リスナーに捧げます。11時からいきなり始まるので気を付けて下さい。

いつものように高橋さんの言葉で第1639回(スタッフさんによると)の放送が幕を開けた。「いつも」が無くなる瞬間のスタートでもある。
リスナーからのメール紹介や番組初期の中田ヤスタカ版のテーマソングがかかったりしつつ、スペシャルゲストの宮沢章夫さんが登場した。サンキュータツオさんが担当した月曜日のゲストに出る予定だったのが国会中継で30分の短縮放送になってしまい、急遽今日の放送に来てもらったらしい。
(ついでに書いておくと、3月9日の夜に放送された東京ポッド許可局で、一瞬この番組の話が出て、マキタスポーツさんがタツオのラジオのゲストに出た時にめちゃくちゃ本が売れたと言っていた。読書家の多さが分かる一言だ)

藤井アナ)勝負服ならカーディガン。普段着ならパーカーだと思ったら違った。早稲田大学で教えてるそうですが
宮沢さん)バイトです
高橋さん)バイト料金にされちゃいますよ?
宮沢さん)専任です

こんな感じで3人は、昔話に花を咲かせたり、何も覚えてなかったりしながら最終回を確認していた。


リスナーからのメールに答える形で、高橋さんが現代国語のコーナーについて喋っていたのは印象的だった。


高橋さん)僕も常に探しているわけではないので、このコーナーが無かったら読んでなかった本もあります。ラジオ向きではない本もあるので、ラジオで聞いて面白いかどうかで選んでました。自分で読んだ時より「こんなに面白かったっけ?」って事も多いです。

欧陽菲菲の『ラブ・イズ・オーヴァー』がかかる〉
高橋さん)皆さん分からないと思うけど、藤井さん歌ってるんですよ。
藤井アナ)お酒なんかでぇ!ごまかさないでぇ!本当の自分を!じっと見つめてぇ!

スナック彩子の後に津田大介さんが登場した。


高橋さん)最期のゲストが津田っち!
津田さん)なんとか生きてます。
高橋さん)ご炎上のほう大変だなと思いながら見てました。
津田さん)去年の6月にすっぴん!でもこんな事やるんですよと言ってましたけど、開始3日で事務局の機能が破壊されて一旦中止しましたが、なんとか再開できました。再開できてなかったら此処にいません。
藤井アナ)津田さんには火曜日パーソナリティを2年間務めて頂きましたが、どんな事を覚えてますか?
津田さん)色んな所に取材に行きましたし、自分としては中田ヤスタカさんの曲のほうが馴染みがあります。
リスナー)津田さんは私が嫌いな『金髪の男性』なので拒絶反応が凄まじく、聴かない日もありました。津田さんが『ラピュタ』について熱弁していた時に、「愛と勇気とファンタジーが好きな人に悪い人はいない!」と言っていて、それ以来ファンになりました。
津田さん)藤井さんが『ラピュタ』見た事ないって言うんですもん。
高橋さん)『トトロ』は?
藤井アナ)2回ぐらい。
リスナー)津田さんの最終回(当時)で藤井さんが名残惜しそうにしてるのに、津田さんは「トイレ(大)に行きたいから早く終わってくれ」と言っていたのを覚えてます。
高橋さん)そんな事言ってたの?笑

メディア津田塾 2020版
テーマ:デマ情報に流されないために
津田さん)東日本大震災の時と今はすごい似てますよね
高橋さん)意見が大きく別れて対立してるよね。例えば検査とか。
津田さん)医療関係者の間でも割れてますよね。僕がやってるのはGoogleで検索すると個人がやってるサイトも検索結果に入ってしまうので、ニュース記事として検索する。それで致死率なんかを調べると良いです。そしてその記事の信憑性が知りたい場合、ニュース記事のURLをTwitterの検索にかけると、専門家がこの記事について意見している事があるのでセカンドオピニオンのように判断できると思います。でも、今はWHOのパンデミック宣言のように確定的な事が言いにくい状況だと思うんです。
高橋さん)同じ人でも数日後に意見が変わってる事あるもんね

ヒゲ好きのリスナー)髭田んぼの話を今でも覚えてます
高橋さん)???
藤井さん)説明して頂いていいですか?
津田さん)なんでこんなこと喋らされんのか…(ぼそっ) 中学の時に髭が生えてきて、抜いてA4の紙に田んぼみたいに植えてたんです。
高橋さん)ああ、やるやる。
津田さん)それを机の中にしまっておいたんですけどーー
高橋さん)それはやらない。
津田さん)ある日、勝手に机の中を覗いた妹が「ギャー!!」って(笑)
ヒゲ好きのリスナー)その頃と今とで社会はどう変わりましたか?
津田さん)社会が不寛容になって余裕がなくなっている中で、どうやって変わらずにいるかというのは皆さんも問われてると思います。
藤井さんへのメールも来てるようなので僕が読みましょう。
嫁が同級生のリスナー)「藤井さんとは高校と小学校の同級生で二人三脚でペアを組んだ事がある」と嫁が言っていて、嘘だと思っていたら「運動音痴だった」と言っていたので本当だと思います
藤井アナ)えっ!?誰だろ?確かにあったかもしれない。運動音痴の生徒だけ集められたんですよ。(最強の運動音痴決めるみたいで嫌だった思い出)
高橋さん)『あいちトリエンナーレ』を終わった後に考えた事は?
津田さん)情報に煽られて感情的になる「情の時代」だと思って、今を表すアートをやってもらおうと思ったんです。それでアーティストがやりたい事を最大限努力した結果炎上しました。
高橋さん)豊かな時代だったら「いいね」「悪いね」で終わったものが、ネガティヴなモノが発生する確率が高くなりましたよね。
愛知在住のリスナー)『平和の少女像』を見て、頭を撫でて、手を繋いで、いろんな事を考えました。見る前は嫌悪感がありましたが、実物を見たら消えました。
津田さん)大使館の前にあると政治性が強くて、日本人としてはまともに見れないので美術館のホワイトキューブの中で見たらどうなんだろうと思ってやりました。「なんだこんなもんか」とか「拍子抜けした」という感想も多かったです。
高橋さん)僕は美術の専門家じゃないけど、他人の感想を仕入れてから見に行くっていう事が多くなってる。考えてみると自分の感想って恐ろしいよね。みんなに認められる感想を持ちたがるから、メディアが発達するほど自分の目で見て考えるのって大事だよね。
リスナー)『アフター311』で津田さんと大友さんの意見に触れる事ができて本当に良かったです。
津田さん)今年も福島に行きました。楢葉町だと桜が見れるエリアが広がっていました。復興が進んでるエリアと進んでいないところを見ていくのが大切ですね。資金的に難しくて止まってしまうプロジェクトもあるので、プロジェクトに目を向けるのも大切だと思います。例えばいわき万本桜とか。
藤井アナ)その後どうなりました?
高橋さん)サウナができたり、ツリーハウスができてます。桜井さんという方がいるのですが、この方は『すっぴん!』をきっかけにボランティアをするようになったそうです。『すっぴん!』は軽いところからシリアスな部分まで幅があるから8年続いたんだと思います。
藤井アナ)人ってずっと固い話してるわけじゃないですもんね。
高橋さん)津田さんみたいな強い主張があったわけじゃない人が政治的な事やるんだもんね。
津田さん)僕の火曜日聴いてくれてた人に言いたい事は、あんま変わってないですよ。(笑)

番組のタイムラインではタツオさんも呟いていた。熱い。

短編小説 さよならラジオ/著高橋源一郎

高橋さん)最期の源ちゃんの現国。今日は番組のために書き下ろした作品を読みます。タイトルは『さよならラジオ』です。最後にかかる曲が、恐らくこの番組の最期の曲になると思います。読みます。それは小さくて古い、見たことのない箱のようなものだったーー

このコーナーが終わってしまったら、楽しい番組が終わってしまうのだと、そこにいる誰もが知っていて、もちろん聞く側も知っている。ラジオの最終回特有の張り詰めた空気感の中で、源ちゃんは徹夜で書き上げた作品の朗読を始めました。物語はとある時代の病院の一室から始まります。
「おばあちゃん。これなに?」
少年はボロボロの箱を指差して祖母に尋ねます。
「ラジオっていうの」
「おばあちゃん。これは何に使うの?」
「放送局というのがあってね、沢山の人達がいろんなお話をしたり、音楽が流れていたのよ」
もうこの時代には、ラジオに電源を供給するコンセントも乾電池も、電波を送信する放送局もありません。
「音楽ってなに?」
「それを説明してあげられたらいいのだけれど…」
祖母はラジオという存在をどうにかして少年に伝えようとしますが、音楽は触れた者を良からぬ考えに染めるものであるとして禁止されているので、どうにも伝える術がありません。
少年の両親は感触を体験できるアバターを使って祖母のお見舞いをしていますが、少年は本物の祖母に会っている気がしないので、家族の中で唯一病院まで足を運ぶのでした。両親は祖母を「すごく古い人」だと言います。この時代では使われなくなったベッドを病院の倉庫から引っ張り出し、木製の家具を置いているのが理由です。祖母は若い頃に看護師をしていました。それは人間が病人の世話をしていた頃の話です。
少年は規則正しく生活するのが苦手で、学校に馴染めずにいました。古い話や昔話が好きで、祖母に貰った紙の本を学校で読んでいたら他の児童に破かれてしまい、教師に相談したところ、不衛生な紙の本を持ってきたほうが悪いと言われた事がありました。学校に行かずに祖母の話を聞きに来る理由の一つでありましたが、祖母が悲しむので言えませんでした。
「このラジオってどうしておばあちゃんが持ってるの?」
その質問に答えるために、祖母はずっとずっと昔の話を少年にしました。
ずっとずっと昔のあるところに、内気で暗くて優しい少年がいました。その少年が一番好きだった物がラジオです。少年はやっと手に入れたそのラジオを肌身離さず持ち歩き、四六時中聴いていました。話す事が苦手で友達のいない少年にとって、ラジオはたった一人の友達でした。時には話しかける事もありました。いつもの様に公園に行き、ラジオの話を聴いて帰宅する最中、突然幅寄せしてきた車から「トロトロ走るな馬鹿野郎!」と男の怒鳴り声が聞こえ、少年の自転車は倒れてしまいました。その衝撃で友達であるラジオが路上に転がり、大きな後続車両がラジオに向かって走ってくるのが見えました。少年は急いでラジオに飛び付きました。ラジオは無事でしたが、壊れたのは少年のほうです。
少年は病院に運ばれましたが、意識を取り戻す事は二度とありませんでした。両親は毎日、眠り続ける少年の元を訪れ、少年の好きだったラジオ番組を聞かせました。それを見た医者は「いくらラジオを流しても聞こえてないと思いますよ」と言いましたが、「そんな事はありません。だってラジオを流している時、とても優しい顔をしているんです」と両親は答えました。医者は首を振って病室を後にし、時は流れて少年の両親も亡くなってしまいました。そして、その眠り続ける無精髭を生やした中年の男の病室を担当したのが、若かりし頃の祖母です。祖母にとって最初の勤務先でもあります。
祖母は患者の枕元に置いてあるラジオに気付きました。ラジオを聴く人間は少なくなっていましたが、祖母はラジオを聴く少数の人間だったのです。
「ご両親と同じようにラジオをかけて差し上げたらいけないでしょうか?」
祖母は担当を引き継ぐ際、先輩の看護師に言いました。他の病室の迷惑にならないようにとの条件で了承を得ると、小さな音がするラジオを毎日患者の耳元で聞かせました。少なくなっている放送局の中から、自分の好きな古い曲をかける放送局にチューニングを合わせました。祖母は無表情だった患者に少しずつ表情が戻ってきている気がして、医者に話しましたが「気のせいだよ」の一言で片付けられてしまいました。祖母は他にも病室を担当していましたが、毎日ラジオを流しました。しかし、とうとう最後の放送局の最後の放送が終わる日が来てしまいます。病室からは音が消え、患者から表情が消えました。見かねた祖母は自分の好きな音楽が入っているPCを持ってきて、患者に聴かせる事にしました。「今日から病院ラジオの始まりです!」と、たった一人のリスナーの為に自分が好きだった番組を真似たラジオでした。毎日続ける見返りは、祖母にしか分からない表情の変化のみ。患者は本当に眠っているだけで、自分のやっている事が無意味かもしれないと考える事もありましたが、やり続けるうちにこの返事のない深い会話は自分の為にやっているのだと思うようになりました。

時は流れて患者の担当が変わると、楽しかった放送に飽きている事に気付きました。話す事もないのに義務感でやっていた事を。そして病院ラジオは、たまにしか流れなくなり、部屋が真っ暗でも気にならなくなりました。彼女には彼女の生活があったのです。
ある日、祖母が病院に着くと看護師たちが慌ただしくしていました。祖母は尋ねました。
「どうしたんですか?」
「あなたも担当がしていた何十年も寝ている患者さん。もう危ないの」
後悔が駆け巡るなか、急いで病室に向かいました。そこには医師も看護師もいませんでした。祖母は最後の放送をしました。患者は目から大粒の涙を流しながら、祖母の目の前で逝ってしまいました。
少年は祖母の話を聞き終えると、大人の姿をした少年は本当にラジオを聴いていたんだろうかと考えました。
少年には祖母に話せるほどの知識も経験もありませんでしたが、毎日病室を訪れました。少年にとって祖母の話は他のどんなものよりも楽しかったのです。
いつものように少年は祖母の話を聞きながら、その手を握りしめてうたた寝をしていました。その時、祖母が苦しそうにしているのに気付いて飛び起きました。
少年が「おばあちゃん!」と声をかけると「大丈夫だから心配しないで」と祖母は答えました。やがて病室にロボットの医師とロボットの看護師が入ってきました。少年は人間の医師に会った事がありません。ロボットの医師は「お別れの時だ」と少年に言い、その近くにはいつの間にか両親のアバターがありました。アバターは泣いていましたが、祖母の近くにいる生きた人間は少年だけでした。
「いやだ!おばあちゃん!僕を置いていかないで!」
祖母は「置いていくものですか」と言おうとしましたが、声は出ませんでした。
祖母の目の前から光が消えて、暗闇に包まれた後、まるで若かった頃のように身体が軽くなり、飛ぶように歩けました。自分が誰なのかすっかり忘れて、目が痛くなるほどの青空のもと、森の中を歩いていきました。気がつくとおとぎ話に出てくるような小さな建物があり、分厚い扉を開けると、そこには知らない機械が沢山あり、その中に一人の少年がいました。
「お久しぶりです。ずっとずっと貴女が来るのを待っていました」
「貴方は誰?」
「ずっと貴女の放送を聴いていましたよアヤコさん」
「もしかしてタカシくん?」
彼女は自分が一人の少年の為にラジオを放送し続けた事を思い出しました。
少年の身体は老いて死んでいきましたが、心は少年のままでした。
「さぁ、はじめましょう」
「何を?」
「もちろんラジオを」
言葉も音も空の彼方に消えていきます。しかし、その言葉や音を必要とする誰かの為に、この宇宙を彷徨い、無くなる事はありません。
「今、この瞬間も僕たちの言葉や音楽を待っている人達がいます。その人達のためにラジオを始めましょう!」
「なんて素敵な事なんでしょう!」
そして彼女は思いました。これから行う自分の放送が、あの子のところまで届くといいのに。
機械の医者もアバターの両親も姿を消した病室の中で、泣き疲れた少年は祖母のベッドに顔をうずめていました。
「さよなら。おばあちゃん」
その時、ラジオが光っている事に気付きました。電気も流れず、乾電池もない、死んだはずのラジオから音が流れたのです。
それは少年が生まれて初めて耳にする音楽でした。

後半パートで少年のモチーフが、昨年海外旅行中に命を亡くされたチーフディレクターのヤマダタカシさんである事が、そして彼が亡くなった後もラジオを守り続けた祖母のモチーフが藤井アナである事が一本の線で繋がると、感情を揺さぶられずにはいられません。朗読している高橋さんの声の後ろで、藤井アナがすすり泣く声が聞こえていましたし、高橋さんの声も震えているのが分かりました。
人間の情緒を育むには、血の通った人間同士の感情のやり取りが必要不可欠であるというメッセージ性を考えると、津田大介さんが言っていた「情の時代」とも繋がりますね。
流石、作家高橋源ちゃん一郎大先生です。


リスナーの感想
「めっちゃ泣きました」
「運転できません」
「今夜も病棟夜勤に行きます」
「生まれて初めてラジオで汗をかく体験でした」

高橋さん)これ、テレビだったらやらなかった。予定したものにならなくて、書いてるうちにこうなった。まさか音楽が聞こえてくるなんて!こういう時は調子いい時!(ニヤリ)
リスナー)私はいつか本を出したいと思っています
高橋さん)書く事にはいろんな技術が必要だけど、一番簡単な事はどうしても伝えたい事があるかどうか。そういう事を忘れて、締め切りを守るために書くだけの職業になってしまう事がある。読者に伝えられるものがないなら、書いちゃいけないのかもしれない。
小4リスナー)私は物語が趣味です
高橋さん)まず10歳で初めて世界や自分の事を考えられるようになります。14歳から先は人間ほとんど変わらないから、10歳から14歳の間にどれだけ成長できるか。書く事はそれをお手伝いできると思うので、ぜひ書き続けて下さい
競馬リスナー)山田さんが亡くなった時に『 Hello, my friend』をかけていましたね。山田さん天国で聴いてるかなぁ
藤井アナ)グスングスンT^T
高橋さん)最期まで泣くなよ。天国で酒飲んでるかもしれないもんね(笑)
スポーツジャーナリストの生島淳さんからのメール)乗り込みたくないテレビ番組は沢山あるけど、『すっぴん!』は乗り込みたい船でした。
藤井アナ)暴露しちゃって大丈夫?笑
高橋さん)またどこかの航海で会うかもしれないもんね。
リスナー)2011年、多くの卒業式が中止になる中、源一郎さんがTwitterで発表した祝辞が今でも忘れられません。
高橋さん)僕が話したことの何か一つでも、種として皆さんの中で芽を出してくれたらと思います。
名物リスナーはるちゃん)『すっぴん!』大好き。
藤井アナ)残りあと3分です。どんどんお便り読みましょう!
リスナー)デートの時のBGMとして聴いてました。その彼と婚姻届を出しました。
藤井アナ)『すっぴん!』そろそろお別れの時間です。最後にお聞きします。高橋さんにとって『すっぴん!』とは?
高橋さん)僕はラジオが大好きで、聞き手だった僕が作り手にまわるとは思ってなかった。ラジオと小説は似ていて、『飛ぶ教室』でもDNAを受け継ごうと思います。
藤井アナ)本当に8年間ありがとうございました!
高橋さん)番組が終わってもまたどこかでお会いしましょう!
藤井アナ)最後ほら、「金曜すっぴん〜」って!
高橋さん)それより前にさぁ〜(いつもの終わり方)

(終了)


おわりに

ここまで書いておいてなんですが、私はヘビーリスナーと言えるほど『すっぴん!』を聴けてはいない人間です。確か最初に聴いたのはプロゲーマーのウメハラさんが出演した時、あとは同じくプロゲーマーのももち夫妻が出た時。継続的に聴くようになったのは高橋源一郎さんの面白さを知った後、そして菊地成孔さんがゲストに呼ばれてからは必ず金曜日は聴くようになりました。(ちなみにプロゲーマーのウメハラさんはその後、YouTubeでラジオやるようになりました。面白いのでオススメです)
最終回を迎えて、改めて面白い番組だったなぁと思いました。
私が思うつまらないラジオの特徴はーー
1.パーソナリティの声が聴きづらい
2.番組をやらされているように感じる
3.リアクションがあざとく胡散臭い
4.情報が回転寿司のように扱われ、音楽に対する愛もない
5.政治について語らない
6.面白くない空間でスタッフのゲラが響いてる

こんなもん誰が聴くんだ!
地獄じゃないか!笑

この地獄を反面教師にすると面白いラジオの輪郭が見えてきます。
1.パーソナリティの声が聴きやすい
2.能動的に企画を持ち寄る
3.嘘をつかないorつけない
4.情報を丁寧に伝え、音楽に対するこだわりがある
5.常に社会を見ている
6.我慢できずにスタッフの笑い声が放送に乗ってしまう

『すっぴん!』はこのパラメーターをフルで満たす番組だったと思います。短時間の番組であればそつなくこなす事で成り立つかもしれませんが、長時間の番組はどうしても「面白さ=人間性」になりますよね。完璧な人間は存在しませんが、番組の人格はチームワークで補う事もできるし、相乗効果で面白くする事もできますよね。(木曜ラストのタブレット純&阿佐ヶ谷姉妹の破壊力もスタッフさんのキャスティングセンスがあってこその爆笑です)
そもそもラジオは音声メディアなので、送り手と受け手それぞれに視覚情報を言葉で補う知性が必要で、受け手が分からない話題については、話し手の知識が受け手の補助輪として機能しなければなりません。(反対に理解を待たずに思考を奪うのが詐欺師ね)その知識量が多いほど轍が残り、形跡を追う人も増える。それが表面的なやりとりであれば、轍は風に消えてしまい番組の存在を知られる可能性は低いでしょう。コンテンツが大量にある中で、大衆性と専門性のバランスがこんなに取れた番組はほとんどないんじゃないでしょうか?
ヘビーリスナーさんの中には録音してる方が当然いると思いますが、AMラジオが終了してFMラジオに統一された後の時代に、専門学校とかの教科書に使われてそうですよね。
生徒)あしたのジョーというアニメのコスプレしてる理由が分かりません
先生)この藤井彩子というアナウンサーはシラフなのに転んで靭帯をやっちゃったんだ。ここは真似しないように。
一同)HAHAHAHA
その時ラジオが光り出し、教室はビームで焼き払われた!(チュドーン!)
それが『飛ぶ教室』の始まりである。(嘘)
3月20日の金曜夜10時から始まる高橋源一郎さんのラジオが楽しみです。

素晴らしい番組をありがとうございました。