文学は実学である
高橋源一郎の飛ぶ教室 - NHK記事検索|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる
飛ぶ教室も3回目を迎えました。番組のアーカイブに関しては『読むらじる』で公式の書き起こしが読めるので、私のメモよりそっちが正しいです。
ただTwitterを見たら驚くべき事に『らじるらじる』のタイムフリーでは、菊地成孔さんが東京都知事をdisった箇所がバッサリとカットされていたそうです。
(「小池都知事はもう支持率を気にする必要はないだろうけど、志村さんについて最後の功績と言っていた。俺は歌舞伎町を浄化すると言ってきた東京都知事が嫌いで、だいたい都庁があんなところにあるからいけない。忍者の格好をして咳はアイーンで止めると言ってくれたら話せるかもしれない」みたいな事を菊地さんが言って、小野アナが「あくまでも菊地成孔先生の意見です」って言って、菊地さんが「悪いおじさんの意見です」でオチを付けた神回がバッサリと)
問題は<誰が>ではない。<何で>だ!何の話かって? ケツを拭く話に決まってるだろうが——連載:菊地成孔「次の東京オリンピックが来てしまう前に」35|ヒルズライフ HILLS LIFE
<菊地成孔の日記 令和二年 4月8日 午前3時40分記す>:ビュロ菊だより: ビュロー菊地チャンネル(菊地成孔) - ニコニコチャンネル:音楽
菊地さんはニコニコのメルマガだったり、ヒルズライフに寄稿されてるのでそちらでお楽しみあれ。
ここからは第3回のツイートメモ。
高橋さん)非常事態宣言から2週目。僕は鎌倉の街に住んでいますが、食事もテイクアウトで人と会わなくなりました。もしかしたら次に人に会うのは9月になるかもしれません。(続く#高橋源一郎の飛ぶ教室
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
高橋さん)ソーシャルディスタンスで言うと、僕は18歳の時に捕まって8ヶ月の間、人と話さない経験をしました。独房の中でずっと本を読んでいて、生涯で一番本を読んだ8ヶ月であり、生涯で一番手紙を書いて、手紙を貰った8ヶ月。(続
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
高橋さん)出たら一秒も無駄にしないように生きようと決めたのに、出た瞬間に元どおりの生活になってしまいました。(笑)
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
それと上からよくNHKのラジオが流れてきて、一番ラジオを聞いた時間かもしれません。という事で、いい番組をやりたいと思います。
高橋さん)小野さん慣れましたか?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
小野アナ)音声が途切れたりしてバタバタしてます(多分、音声が悪いからスカイプから電話に切り替えた)
高橋さん)番組始まったばかりで、いきなり小野さんとは離れ離れですね。(笑)
小野アナ)そうですね。それでもリスナーさんからお便り頂いてますよ
1コマ目『霧中の読書/著 荒川洋治』
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
高橋さん)荒川さんほど感想が上手い人はいないでしょう。800字ぐらいで長編小説を読んだ気になれます。彼は文学を沢山紹介する事を自らに課している。本当は小説家がやらないといけないのに、詩人の荒川さんに任せちゃって御免なさいね。
高橋さん)科学や経済学や医学は目に見えるものを生み出すけど、文学は目に見えない。それでも荒川さんは「文学は実学である」と書いています。(続く
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
高橋さん)今のような時代どうやって生きていこうか、何が大切なのか、何に頼っていけばいいのか。それは文学だけではないでしょうけど、文学は少なくとも4000年考えてきました。今必要なのはカミュの『ペスト』かもしれない。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
2コマ目 ゲスト:伊藤比呂美さん
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
高橋さん)伊藤さん見えてますかぁ?
伊藤さん)見えてるよぉ〜
小野アナ)現在はご自宅ですか?
伊藤さん)熊本の自宅です
高橋さん)荒川さんの本どうでした?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
伊藤さん)今まで読まないようにしていたんですよ。荒川さんは完膚なきまでに叩き潰してくるので、荒川さんを敵に回すとたまんないですよ。(笑)
高橋さん)読んでみてどうでした?
伊藤さん)良かったです
高橋さん)他にどんな本を読みましたか?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
伊藤さん)早稲田大の講義が無くなったから大人買いしてあった伊藤整の本を読んだ。あと『アウステルリッツ』 これはアメリカに居る時に読んでおけと言われて、その人が死んで旧版そのままだったけど、本屋に行ったら新版があって買って読んだら面白かった
伊藤さん)あと、池田香代子さんが翻訳した『夜と霧』の新版はとても良かった。歳を取ったのもあるかもしれないけど、本当に文学って役に立つと思った
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
小野アナ)あの…そろそろ例の企画をお願いします
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
高橋さん)源一郎と!
小野アナ)伊藤さん「比呂美の!」って言って下さい
伊藤さん)比呂美の!
二人)じんせーそうだんしつぅ(グダグダ)
高橋さん)スカイプだから難しいよ笑
リスナー)就活生にアドバイスを下さい
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
伊藤さん)今みたいな社会のトラウマには、否が応でも巻き込まれてしまう。でも人間は生きてきた。淡々と生きるのではなくて、自分と向き合うには良い時間だと思う。
リスナー)腹黒さについて
高橋さん)直さなくていい
リスナー)人妻ばかり好きになってしまう
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
伊藤さん)メールに「相手の家庭を壊さない」って書いてあるし、嫉妬してるのは恋だから。良い50代になれると思う
リスナー)夫と愛し合っていたのは3年ほどで私はウザがられてしまう
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
伊藤さん)30代だったら別れてしまえばいいと思うけど、40代なら50になれば性欲も無くなる。65歳ぐらいでまた火がつくかもしれない
小野アナ)そろそろお時間です。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
高橋さん)早いね
伊藤さん)文学は本当に役に立つ。読むのも書くのもフィクションの力。私達の無意識を出してくれる。
〈下校の時刻〉
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年4月17日
高橋さん)いやぁ、短いね。この番組と合わせたように引きこもる時間ができて、文学について考えるには良いと思います。
✳︎5月の特別授業は8時から放送
課題図書は夏目漱石の『心』と太宰治の『人間失格』 4月30日まで感想文受付中
メモここまで。
感動したポイントが2つあって、1つは高橋さんが独房の中でラジオを聴いていたというお話。私は映画に詳しくないんですけど、好きな映画のひとつが『ショーシャンクの空に』なんですよ。まさにそれだったので、独房の中にいた高橋さんがNHKをラジオをやって、そしてまた家の中に居なければならない人々を繋ぎ合わせるというのがとても感慨深かったです。
2つ目が伊藤比呂美さんが「文学は役に立つ」と力説していた事。私たちが置かれている状況って、物理的に離れた者同士が、情報化できるものは何であれ、情報化して、送信して、手元で再生or復元するという力が必要になるわけじゃないですか。その基本的な部分が読解力。つまり、文字は平時でもタイムカプセルのように時空を超えて未来の人々に情報を与えてきた。その証拠に、すでにカミュは死んでいるのに勇気を与えてくれます。
政府は病床数を削減しようと提言してきて、今回の医療崩壊のカウントダウンが訪れたわけですが、同じように大学の文系を廃止するよう提言している事を思い出しました。
Listening:<論点>岐路に立つ、国立大文系 - 毎日新聞
「募ってはいるが募集はしてない」とか、補償してくれという国民の声に対して不衛生なマスクを配布したり、星野源さんなんて踊りもしない、歌いもしない、懐いてるように見えないワンちゃんと指示厨人間の動画の犠牲になったり。
現段階で政治家によって言葉は壊されて通じない。何から何まで壊されてしまうなんてたまったものではありません。現代人の私たちは、未来人に希望を与えるタイムカプセルを残さないといけないと強く思いました。
紛れもなく文学は実学ですね。
(おわり)