高橋源一郎さんのラジオにブレイディみかこさん出るの聴くの巻。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
先週の放送はお休み。今週のゲストがブレイディみかこさんという事で、かなり楽しみにしてました。しかも、1コマ目と2コマ目、全編にわたってブレイディさんの特集だったのでボリュームたっぷりの内容でした。
で、いつもの事ながらここからは私のメモになります。正確な書き起こしが読みたい方は番組の公式サイトで読んで下さい。
誰もが心のうちにペストを持っている。
高橋さん)少しずつですが日常が戻りつつあります。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。前回の放送の直後、SNSでの誹謗中傷で若者が亡くなりました。僕は半世紀以上カミュのファンですが「誰もが心のうちにペストを持っているーー」という言葉に全てが詰まっていると思います#高橋源一郎の飛ぶ教室
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
冒頭のトークは『テラスハウス』という番組に出演されていた木村花さんの死に関連して、カミュの『ペスト』の登場人物のセリフを紹介するものでした。誰もが心のうちにペストを持っているからこそ、カミュは恐怖しながらも言葉を選んでいたと。
少し話は変わりますが、私は木曜日の夜9時からTBSラジオで放送されてる、ライムスターの宇多丸さんがやってるゲームの番組が好きでよく聞いています。その番組が終わった後、元女子プロレスラーで声優の相羽あいなさんの番組が放送されてるんですけど、番組の冒頭で木村花さんについて短く触れたんです。「ずっと好きです」だったかな? 悲しみを噛み殺しながらも、元気に言っていて、本当に短い言葉でありながら鎮魂と愛が詰まっていました。
話を『飛ぶ教室』に戻しますが、誰かを傷つける恐怖に躊躇いがない人間が増えて、言うべき事なのに他人の顔色を伺って言わないという言論環境は不健康だし、ストレスの塊のようだなぁと考えさせられました。そして、この話が後半に繋がってくるというワイルドな放送なのです。
ワイルドサイドの尻とビールっ腹
高橋さん)お久しぶりです。会うのは4月の第1週ぶりですね
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
小野アナ)お久しぶりです。今夜は楽しみにされてる方が多いと思います。2コマ目の先生であるブレイディさんの顔がスタジオにドーンと映ってます
高橋さん)手振っちゃお!
↑ファン丸出し
高橋さん)人を傷つけない言葉というのは肯定です。ブレイディさんの本の中には大きな肯定がある
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
小野アナ)モニターの中でみかこさんが大きく頷いています。この流れでご登場して頂きましょう
ブレイディさん)どうも、ブレイディみかこです。先ほどから聞かせて頂いてました
小野アナ)『ワイルドサイドをほっつき歩け〜ハマータウンのおっさんたち〜』について、周りの反応はどうですか?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)去年、息子の事を書いた『僕はイエローでホワイトでちょっとブルー』と違ってハッチャケた文体なので同じ作者か?と思ったかもしれません。笑いが必要かと思って
高橋さん)曲でTHE CRASHのI Fought The Lawを選んだ理由なんだけど、内容はハードなのに曲が綺麗なんだよね。ブレイディさんに捧げます
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)今、息子が横で踊ってました。笑
一同)笑笑
✳︎ズームで友達とバンドの話ばかりしてて、もしかしたら9月まで中学はこんな感じらしい
小野さん)印象なんですが、本に出てくるおっさん達はマスクをしなそうですね
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)彼らはキーワーカーという職種で、介護士、看護師、スーパーの店員、郵便配達、ゴミ収集という普段は目立たず、報われない人達です。
ブレイディさん)さっきの言葉で言うと『民草』ですね。(高橋さんの前半の書評の中で「その人達がずっといるから国がある」と説明してた)
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
イギリスでは決まった時間にみんなで拍手をするので、(おっさん達は)やる気になっているようです。
高橋さん)脚光を浴びてる事についてはどう思いますか?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)そうですねぇ、中には褒めておだてて利用するのはグロテスクだと思って拍手をしない人もいますけど、子供達はストリートで太鼓を叩いてお祭りみたいです。
ブレイディさん)数年後、学校に行かなかった期間に、あれは誰の為に手を叩いていたのかと考えて、新しい人達が出てくるかもしれない。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)イギリスはNHSに対する愛がスゴくて、労働者にとっては夢の医療制度なんです。細切れに民営化されながらも今もあって、「なんかNHSって宗教みたいだよね」って言いながらも心の支えになってます。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)昔の労働者は製造業のイメージがあったけど、今はケアワーカーがいて、だからフランスのイエローベスト運動の最前線にも居ましたよね。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
高橋さん)製造業と違って、ケアというのは直接的に人を治すとか育てるという意味がありますよね。
高橋さん)そちらは今どうなってますか?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)ブライトンは海辺の街で、週末になると人が凄いので市長が「ブライトンに来ないでくれ」って言ってます。それとアメリカのBlackLivesMatterもこんな街にも飛び火して、早くもポストコロナの様相を呈してる感じです。
高橋さん)なんでこんなに盛り上がってるのだと思いますか?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)うちの子もチェックしていて、サイバー空間の広がりとか、なんというか、溜まってたものがあると思います。イギリスでも亡くなってる人もいるし、何とかしないといけないと思ってる人が多いのかもしれない。
高橋さん)以前にも紹介したのですが、『シンパシー』と『エンパシー』の違いについて
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)『シンパシー』は同情とか共感とか、いいね!ボタンみたいなもので、『エンパシー』は必ずしも意見が同じではない相手の立場になって考える知的能力です。
小野アナ)みかこさんはコロナ禍で、やたら人に腹を立てやすくなりませんか?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)ネットの言葉がキツくなってるのは万国共通で、自粛警察なんてすごい言葉もありますけど、ワガママで不寛容になるとハッピーになれないし、自分の為にもならないですよね。
ブレイディさん)「人と自分は繋がっている」って、感染症だから学んだわけじゃないですか? 他者が幸せである事を自分の幸せだと思えたらいいですよね。
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
高橋さん)小説ってエンパシーなんですよね。何かを書くというのは肯定する事だから。ブレイディさんの本を読んで小説家だなぁ〜。いいなぁ〜と思いました。また来てね!ブレイディさん!
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
ブレイディさん)はーい!
小野アナ)いかがでしたか?
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2020年6月5日
高橋さん)久しぶりだからマスクするの忘れちゃった
小野アナ)大丈夫です。私してますから
高橋さん)ずっとリモートで不安だったけど、もしかしたら家でラジオやるなんてもう無いんじゃないかと思いながら来ました
リスナー)やっぱスタジオのほうがいいね
(おわり)
✳︎メモここまで
隣で息子さんが踊ってるサプライズは面白かったです。ブレイディさんも悲観や怒りではなく、希望や愛のある眼差しで現実を見ているのが印象的で、異国の地でコミュニティに順応しつつパンデミックの世界を生きてるのは本当にスゴイなぁと感心だらけのお話でした。
あと、最後の高橋さんの「小説を書くことは肯定すること」というのは深い言葉で、重力的な沼というよりかは逆に宇宙でした。菊地成孔さんのBGMが映えるったらありゃしないのです。
(おわり)