モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

飛ぶ教室(第10回)の感想

場所と記憶と本

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先に書いておきますが、あくまでこれは私のメモです。正確な書き起こしが読みたい方は公式サイトでお楽しみ下さい。ヒャッハー!

 

という事で第10回。冒頭の高橋さんの1人喋りは、今回のゲストが堀部安嗣さんということで、これまでに引っ越した場所をリスト化したら32箇所だったというお話。

子供の頃に夜逃げをした家なんかはもう無いけどーー

記憶は脳裏だけでなく、場所に宿っている事を知るのです。私たちの記憶は普段は眠っていて、その場所に行くことで揺り動かされるのです。大切な場所を失うことは記憶を失うことなのです。それを知るのは失ってからなのですが。
私がこの世を去った後、息子たちの記憶の中で私はどのように再生されるのか。

ーーという、深いところに着地するお話でした。私も戦争のドキュメンタリーなんかを見た時に、記憶は場所に刻まれると考えた事があるので、引き込まれるものがありました。あと、世界には臓器の移植手術でドナーの記憶があったりというエピソードもあるので、人間の細胞と記憶と再生の話は面白いものが多い気がします。

1コマ目に紹介されたのは『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』という作品。お話を聞いてても前半はイマイチよく分からなかったんですけど、後半になるにつれて、詩の素晴らしさをおじさんが主人公のぼくに継承するところで、一気に化ける感じがしました。

2コマ目 ゲスト:堀部安嗣

ここまで聞いて、建築物は内部に包容力があって、外部に公共性があるという二面性があるという指摘は興味深かったです。そしてそれは土地の面積が小さくても、デザインによって体現できるというところは言わば『匠の優しさ』だなぁと。笑

そのうえで、螺旋状の書庫の中に仏壇があるというのはまさにDNAじゃないか!と思ったわけです。そして思い出されるのが小島秀夫さんの本。

↑この引用文は小島秀夫さんの大ファンであった伊藤計劃さんが、メタルギアを小説化したもの。伊藤さんは亡くなってしまったけど、小島さんは伊藤さんに影響を与え、そして伊藤さんから再び影響を受けるという循環がある。詳しくは『創作する遺伝子』を読んで頂ければ分かります。

そして、私の中にある『創作する遺伝子』の記憶を呼び覚ましてくれた阿佐ヶ谷書庫の話の前の『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』の中にある「夏とアイスクリームの死」の中にも循環を見ました。

今回の放送は、記憶の扉を開けてくれる体験型アトラクションといった感じでした。

(おわり)