モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

寝起きで戦った話

暑い日が続くしオールナイトニッポンも聴かないといけなかったのでここ数日疲れている。私が疲れていようとクロには関係ない。ベランダに出せオラ!と鳴く。雨が降っていない限りは1日1回はベランダに出るというのが彼女にとっての日課だ。彼女がベランダに出ている時は換気もかねて窓は開け放っている。その間に朝食のパンを焼くのが私の日課だ。
今朝も白目になりながら食べずとも想像できる味のパンを焼いていた。その時、クロがアーオと鳴いた。クロは寂しがり屋なのだ。そんなに焼けていないパンを持ってクロのほうへ行くと、ブォォォォォン!!というエグい羽音が聞こえた。100人聴いたら100人がとっさに身をかがめるレベルにダメなやつだ。その音は小窓のほうからしたので、私はてっきり「網戸の外を蜂が通り過ぎたのだろう。朝からお疲れ様です」と思った。では、目の前にいるスズメバチは何なんだ? やべーやべー!
味の想像できるパンをテーブルに置き、すぐに臨戦態勢に入った。普通のサイズ感なら、そのまま小窓を開けてさよーならと出て行ってくれるのを待つが、明らかにエグいうえにクロは黒いし、私も黒いシャツを着ている最悪の組み合わせ。これはやってまうしかおまへんのですどす。虚弱体質の私は殺虫剤でさえノドが痛くなるので、部屋に殺虫剤は存在しない。その代わりに大活躍しているのが電気ラケットだ。これまで数多くの蚊を葬ってきたが、このサイズに通用するのかは怪しい。しかしやるしかない。意を決してスズメバチにラケットを押し当てた。
ブォォォォォ!!
こえええ!
ブォォ!!ブォォ!!
チリチリ…
やったか?
ブォォォォ!!
効いてねぇ〜!
2〜3分は押し当てただろうか。羽と脚は麻痺して動かなくなったが、身体をウネウネさせて毒針を突き刺すそぶりを繰り返していた。パンよりも焦げる匂いがしたくらいでビニール袋に入れた。これで一安心だ。
振り返るとクロが何食わぬ顔をして「中に入りたいので早く抱っこしてくれよ」と言っていた。
クロにコレがブンブンしてたんだよと見せてあげたら、何とも言えない顔をしていた。興味がないモノを見せてくれるなと言いたげだった。

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それにしても大きい。4、5センチはある。これが女王蜂なのか…。

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スズメバチを眺めていたら、阿佐ヶ谷姉妹のアパートの話を思い出した。部屋の前に蜂が巣を作り始めて、可哀想だから箒で追い払ったら横の部屋の前に移動しただけでまた巣を作り始めたので結局は殺虫剤で殺っちまったという話。それにたいして大竹まことさんが「ミツバチが一生のうちに集めるハチミツはスプーン一杯なんだってな」と言ってたのも記憶に残っている。

鹿とかイノシシとかと同じように、ある一定の脅威を及ぼすレベルになると可哀想とか言ってる場合じゃなくなる。人間は自分よりも強大な力を持つ存在や、自らの手で管理できなくなると畏怖の対象として神と崇めたり、災厄の使者として歴史に刻む。数の暴力であるサバクトビバッタは聖書に載ってるし、日本には核兵器により生み出されたゴジラもいる。

生態系の頂点であるスズメバチを神と崇めている地域もあるかもしれない。そういう意味では電気ラケットは神殺しの剣だ。電池がないと役に立たないけど。