青空文庫にあった大杉栄の『鎖工場』がとても良かった。ショートショートの長さとして私が好きなサイズ感だし、夢落ちなのに現実を見る眼差しは作者の特徴を表してる。最近だと新書大賞に輝いた斎藤幸平さんが「SDGsは大衆の阿片」だと言っていたけど、それよりも昔に機械化する社会に果たして平和はあるのかと疑問を抱いてる。マルクスやガンディーと似た視線を持ってるのが分かる。
ふつう「夢オチ」って、伏線回収もしない投げっぱなしのズルい顛末として捉えられがちだけど、この夢は「フィクション」と「理想」の二重の意味があるので味わい深さがある。(作者は殺されてるので余計に)
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悪い事が起きると歴史に習って「人間って変わらないなぁ」なんて思うけど、それなら同じように、滅茶苦茶になった世の中でも腐敗に抗おうとする人がいるはずで、それは希望として捉えたいところ。