ホームレスから死神へーー
前から気になっていたけど、なかなか買うきっかけがありませんでした。
水木しげるさんのタッチで描かれたヒトラーなんておどろおどろしいですし、レジで「この人こんな本の読むんだぁ」なんて思われるの嫌じゃないですか。
でも、今年もそろそろ終わるから物欲が死なないうちに買ってしまうことにしたのでした。
登場人物の顔は全体的に丸みがあって、口は「3」みたいになってる。バリバリ水木しげるさんのタッチでした。
それによって歴史の堅苦しい感じと、実際にあった残虐的な事件の雰囲気が緩和されていて読みやすかったです。
まぁ、漫画ですからね。
描かれていたヒトラーの人物像と内容を箇条書きにするとこんな感じ
- 自分は天才的な芸術家
- 天才を理解できない凡人はかわいそう
- 全てユダヤ人が悪いと考える自称愛国者
- 誇大妄想を抱く演説上手のサイコパス
- 入隊前はホームレスだった時期がある
- 兵役を嫌がって逃げていたが軍隊に身を置くと安心した
- 生き残った自分には神の加護があると信じる
- 過激派を使って武力で地位を確立していった
- 姪を性的な目で見ており、常に監視下にあった姪は自殺した
- 日本の松岡外相にはイギリス領のシンガポールを攻撃しろと助言していたが、日本はパールハーバーを攻めた
- 助言した時にドイツはソ連攻撃を企んでいたが、松岡外相はそれを知らないまま日ソ不可侵条約を結んだ
- ソ連との戦力差を信じようとせずに自滅していき、連合国とソ連に挟まれて最期は自殺
ヒトラーにも歴史にも詳しくない私にとっては「へぇ〜」と思うところが多かったです。
先日、安倍総理が真珠湾に赴いてオバマの脚本で演説をしていましたが、アメリカ公文書館で新たな文書も発見されました。
「真珠湾」通告遅れは意図的か 対米開戦に新説 九大教授が米記録発見 - 西日本新聞
現在の通説はこうだ。大使館は6日中に13部までをタイプライターで清書し、7日朝に14部を追加すれば開戦前に通告できたはず。しかし、大使館は7日朝から1~14部の清書を始めたため、間に合わなかった。6日夜に大使館内で送別会があっていたことなどから、大使館の「怠慢」が通告遅れを招いた-。 だが、三輪教授は、元外務省ニュージーランド大使の井口武夫氏が2008年の著書で触れた訂正電報の存在に注目した。当時、大使館の1等書記官だった奥村勝蔵氏が、1945年に「夜半までに13通が出そろったが、後の訂正電信を待ちあぐんでいた」と陳述していた。
三輪教授は、大使館が1~13部の「訂正電報」を待っていたため、清書ができなかったとする仮説を立てた。訂正が175字に上っていたことも外交資料で分かった。当時のタイプライターは途中で挿入や訂正ができない。大使館は「訂正電報」が届くまで清書ができなかったのではないか。
発見した二つの電報は、他の電報の詳細と突き合わせた結果、「訂正電報の可能性が極めて高く、奥村証言を裏付ける証拠」と三輪教授は読む。13部が発信された6日午前11時半から、二つの訂正電報が出されるまで13~14時間の「空白」がある。この間、大使館は清書ができない。
これが事実とすれば、では何のために、外務省は訂正電報を遅らせたのか。
西日本新聞のスクープ記事だと思います。仮に違うとしても日本は公文書を燃やしてしまったので、まともに反論できないのが残念です。
死体を量産し続けたヒトラーの最期は、周りの人間に毒薬を配って自殺するというものでした。
この本だけで全てを知った気になるつもりはないけども、根拠のない自信をもった人物を中心に独裁を行うと、ダブルチェックなどのシステムがないと致命的な結果をもたらすと感じました。
また、何かの本を読んだ時に読み返そうと思います。