これが動いて生きている
【12月1日発売】ブルータスが作る“珍奇“シリーズ、植物に続いて「昆虫」を特集します。過酷な環境を生き抜くために進化し、身を守ろうと敵を欺く姿に擬態した“珍妙美麗”な造形は、どんなアートにも勝る芸術です。 #珍奇昆虫特集 https://t.co/v9HllqtYG7 pic.twitter.com/ROEGv7UFPq
— BRUTUS (@BRUTUS_mag) 2021年11月29日
この時期になると「危険な読書特集」があるので、BRUTUSさんのアカウントをチェックしていたら、12月1日に珍奇昆虫特集を発売するというではありませんか。その写真を見て「買わねば!」と決意しました。「珍奇植物特集」もだいたい買いましたけど、「珍奇昆虫特集」はキラーコンテンツすぎます。虫のデザインは人間の発想を易々と飛び越えていて、私はイカとかタコと同様に宇宙からやってきたんじゃないかと思ってます。
買えた!本屋さん行ったらあと2冊しかなかった。表紙がカッコいいし、ページ表記も標本仕様✨
— 海老原いすみ (@ebiharaism) 2021年12月1日
今まで見た事ない昆虫がどアップで紹介されているうえ、立体標本という職人芸も登場。#子ども科学電話相談 でお馴染みの丸山宗利先生や呂布カルマさんが出てたり、伊藤若冲について養老先生が解説してる。 pic.twitter.com/SU3W1wf8Tq
12月1日に本屋さんに駆け込んで何とかゲット。うちの近くの本屋さんはだいたい4冊ぐらいしか置いてないのですが、立ち読みされてヘロヘロになったのが1冊ともう1冊しかなくて、もう少し遅かったらせっかくの神特集がヘロヘロになってるところでした。(立ち読みでそこまで読み込むなら買えよ!本屋さん潰れちまうぞ!って思うよね)
表紙がもうカッコいいんだ。
エンシフェルオオニジダイコクというらしい。
コガネムシの中には強風で飛ばされてしまわないように、風の抵抗を受けないように羽を捨てて丸く、手足が長い種類がいる。それを考えるとこんなにデコレーションしまくってるデザインでも生き抜いてる事に感動する。「人間でも、環境さえ違えば自殺せずに済んだ世界線が絶対あるよねぇ」と思いながらページをめくった瞬間…。
コレよ!笑
グンジョウオオコブハムシという名前で、鳥のフンに擬態して生きてるそう。衝撃でページをめくる手が止まりました。これが生きてるんですよ?笑
数年前に曜変天目茶碗が流行ったけど、隣のページにはそれに勝るとも劣らないデザインのコウテイブローチハムシという虫が載っていて、のっけからかまされてしまいました。
21ページにはノコギリビワハゴロモという、まるで『風の谷のナウシカ』の腐海で羽ばたいてるようなデザインの黄色いハゴロモが載っていて、衝撃が続きすぎたので一旦本を閉じました。笑
スズメバチっぽいカラーリングをした枯れたアロエに羽が生えて飛んでたら「んなアホなwww」と笑うに違いありません。でも実際に標本があるのですから、理解する時間をとらないと先に進めません。
これ以上に驚いたのがライオンコガネ。名前から想像するとライオンみたいに強いコガネムシなんじゃないか?と思うはず。違うんだぁ。ライオンのたてがみみたいな毛が生えてるっていう…。笑 私は思わず「ウソでしょwww?」と口にしてしまいましたが、居るんだから仕方ない。昼間は灼熱、夜は極寒という砂漠の環境に耐えるために毛が生えてるらしいです。あと目に鮮やかだったのがマッシロコガネ&プラチナコガネ。プラチナコガネは『どうぶつの森』で乱獲してタヌキに売り捌いた経験がある方ならご存知でしょうが、写真で見るとカッコいいです。マッシロコガネはプラチナコガネのようにテカテカしておらず、和菓子の和三盆みたいな若干のざらつきを残した白いボディから、ファットブルームが起きた小枝チョコレートみたいな手足が生えてる感じ。えっ?写真が見たいって? 買って下さい。
BRUTUS最新号は「珍奇昆虫」特集。16名の昆虫ラバーが昆虫偏愛を語り尽くす「推しムシ!」企画も。エッセイストのメレ山メレ子さん @merec0 が語る、カタゾウムシとムネアカオオアリの魅力。#珍奇昆虫特集 https://t.co/v9HllqcnOz pic.twitter.com/RNYBEvGF9w
— BRUTUS (@BRUTUS_mag) 2021年12月1日
目に鮮やかな数々の写真の中で、印象的だったのがカタゾウムシのカラーバリエーション。BRUTUSさんのアカウントが少し写真をアップされてますが本当にすごい。ルリボシカミキリや女郎蜘蛛っぽいやつもいれば、草間彌生さんが好きそうなドットがあったり、オレンジと黄色と紫が混ざり合った言葉にできない色のやつもいます。今まで持っていた農作物に穴を開ける地味なゾウムシのイメージを崩壊させてくれました。ちなみにゾウムシ大好きな養老孟司さんは特集の後半で、伊藤若冲が描いた虫たちの解説をするページで登場してます。これも面白いんだ。
今回の特集は登場する虫だけでなく、執筆者たちも良い意味でおかしいです。ついていけません。笑
『子ども科学電話相談』でお馴染みの丸山宗利先生の昆虫探索紀行は読み応えがあって、採集できないほどの甲虫に囲まれた経験が語られていました。その中には『バッタを倒しにアフリカへ』で出てきた毒バッタの写真もあります。
ちなみにその著者である前野先生は昨年注目されたサバクトビバッタの集団にオスグループとメスグループがある事をつきとめて、オスグループの対処をすれば農作物の被害を減らせるのではないかという研究結果を発表したそうです。スゲー。
話を戻しますが、特集の中にはペットゴキブリやカマキリに魅了された方々が登場。「手のひらの上で交尾させたり」という一文がパワーワードすぎました。だって手のひらの上で交尾させませんもん。笑 あと『情熱大陸』に出て、ストローでアリを吸って捕獲していた島田拓さんも登場します。アリに関してはメレ山メレ子さんもムネアカオオアリを9年育てていると語られていました。
簡易的なやり方ですが、針刺し標本と台紙貼り標本の展足手法を解説させていただきました。
— Keiki FUKUI / 福井敬貴 (@fukuinsect) 2021年12月2日
展足の型は特に決まりがあるものではありませんが、針打ちの位置や数などは参考になるかもしれません。
「全体のシルエットが長方形に収まるように」など、実は結構重要だったりします。 https://t.co/XwyVDyNcjj
なるべく長方形にするのは箱に収めた際に無駄なスペースをあまり作らないようにするため。丸い虫とか触角がやたら長い虫とかもいるのでなかなか難儀しますが、意識しておくと後から移動するとき楽です。
— Keiki FUKUI / 福井敬貴 (@fukuinsect) 2021年12月2日
それ以外だと標本の作り方が記載されてるのは親切設計だと思いました。そのうえで『立体標本』 これはヤバい。まるで生きているようにチョウがブロックの上に飾られている写真は驚きです。リアル版自在置物みたいな感じ。これを発明したのがグラフィックデザイナーの山崎理さんだそう。これはまた情熱大陸の撮影クルーが動くかもしれない。そのレベルですごい。
ずっと読んでいると脳がバグってきて、読み飛ばしてる部分に気付きます。ドイツのフランクフルトでは11月に標本のマーケットが開かれるそうなんですが、明らかに大きさがおかしな個体がいます。恐らく丸山さんの探索紀行にも出てきたタイタンオオウスバカミキリかと思います。好きな人からすれば堪らないとしても、もしこれが部屋の中に迷い込んできたら警察呼ぶでしょ。笑
おわりに
感想としては読み応え見応え満足度1000%
ラッパーの呂布カルマさんとか、夕方のワイドショーに出てきそうなスズメバチハンターと昆虫食とか、日本最古の昆虫標本とか国内の昆虫ショップとか盛りだくさん。欲しい方は800円を握りしめて本屋さんに走りましょう。