モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

小さな戦士

今朝、窓を開けたらベランダにスズメバチが丸まって死んでいた。わざわざウチまで飛んできてここで事切れたというのは考えにくい。
おそらく、近所で絶賛子育て中のムクドリさんがエサに持ってきて「やっぱこんなもん食えんわ」と捨てたのではないかと想像した。
この時、まさかあんな事が起きるとは思っていなかった。
ちょくちょく、うちの近所のカラスについては書いているが、ここ最近、2羽でイチャイチャしてるカップルとは別の個体が目についていた。身体の線はまだ細く若い個体に見えた。全く別のエリアから来たやつなのか、あるいは2羽の子どもなのかは私には分からない。
今日も昨日に続いて蒸し暑い日だった。
夕方、ムクドリのギャー!ギャー!という警戒音を聞いた。ムクドリ達はチームで餌運びと見張りのローテーションを行い、複数の巣のヒナを育てている。その下を野良猫が通り過ぎたり、カラスが近くに居ると、こうやって鳴くのだ。
「ネコが見れるぞ!」と若干ウキウキしていた私の前に現れたのはあの若いカラスだった。
そして、カラスがムクドリを襲い始めたではないか。仲間が襲われたのを目撃し、警戒音を聞いた全てのムクドリが集合し、カラスの周りを飛び回りどうにか仲間を助けようとしていた。
ライオンに襲われたヌーを助ける為に仲間が押し寄せる動画を見た事があるが、私の目の前で同じ事が起きていた。
しかし、カラスはそれに動じずムクドリを捕食しようとしていた。ここで私の心が動いてしまった。本来ならば、自然の中で起こっている事なので人間が干渉すべきではない。それは重々承知しているが、毎日見てきたムクドリが襲われているのに何もしないという事ができず、気付いたら手を叩いてカラスを散らしていた。
その間にムクドリが飛び去ってくれればよかったが、もうその時には手遅れだった。それでも仲間たちも助けようと近くに行こうとするが、若いカラスにもペアがいるらしく、その個体もまた飛び回るムクドリを迎撃するかのように大きな翼を広げて飛び回っていた。
そうこうしてる間にも若いカラスが戻ってきて、鋭い嘴にムクドリを咥えて飛び去ってしまった。「仲間を返せ!」と言わんばかりにあのギャー!ギャー!という声が響き渡ったあと静寂が訪れた。
襲撃されたムクドリが飛び立とうとしたヒナだったのか、ヒナを守る為に立ち向かっていった個体なのかは距離があったので分からない。
それでも、小さい身体で勇敢に立ち向かうムクドリの行動には感動するものがあった。夕方のワイドショーが映し出す「迷惑な鳥」というのがいかに自分勝手な人間様の視点なのか思い知らされる。
そして、干渉すべきでないのを知りつつも「もっと早く私がカラスを遠ざけていたなら、あの個体は死ななかったのでは?」と考えてしまう。加えて、今まで平和的だった他のカラスがムクドリを餌として学習してしまったら、この連鎖が続くのではと考えてしまう。

小さな戦士たちが戦った証を拾い上げた。