モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

「第2回世界SF作家会議」の感想

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『世界SF作家会議』という怪しい番組があったので何となく録画してみたらとんでもないメンツで鼻水出た。しかも第2回だなんて…。半年前にも放送してたなんて私は知らなかった。
司会は『想像ラジオ』を爆誕させたいとうせいこうa.k.a.足軽先生さん。参謀は海外のSF作品を翻訳しまくる神の大森望さん。トークテーマを決めてみんなで思考実験をするという内容だった。第2回は「人間〇〇によって絶滅する」というテーマ。せいこうさんが「芸人がやったら大喜利になっちゃいますがーー」なんてジョークを交えた後、チーズケーキで滅んだとか、愛によって滅んだとか、逆に滅ばないんじゃないか?なんて答えもあって、個性的な答えが出て楽しかった。
質問に映像で答えたケンリュウ氏の部屋にサボテンがあって、キム・チョヨプ氏の部屋にサボテンの絵があった。こんな感じで人間を愛玩生物として可愛がる圧倒的支配者が出てくるのだろうかと考えながら見た。

後半には「空を自由にはばたこうとは」というセリフ付き漫画が放送された。

「あれ?どっかで聞いたことあるなぁ」と思ったら、マキタスポーツさんと相対性理論やくしまるえつこさん。効果音もカッコいいなと思ったらコレもやくしまるさんが手がけていた。‪番組の最後にはせいこうさんが小松左京さんの『SF魂』に遺された「SFとは希望である」という言葉を朗読してたのはカッコよかった。‬
見終わったあとに「そういえば以前にそんな本を読んだな…」と思い出して、著ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』を引っ張り出して読み返した。
この本は文明が滅びたあとの人類に向けて、専門書を素人にでも分かるように分かりやすく書いた再起動マニュアル。
私はこの本を読んだはずなんだけど、作者が前提とする大破局に関してはすっかり忘れていた。その前提がペストのような致死率が高い感染症だった。

P38
このシナリオにいたる世界の最善の終わり方は、世界的に急速に広まるパンデミックによるものだろう。
〈中略〉
人びとが密集して暮らし、大陸間を頻繁に行き来するこの状況は、感染症が急速に拡大するにはもってこいの状況を提供する。一三四〇年代にヨーロッパの人口の三分の一を(およびアジアでもおそらく同じくらいの割合を)一掃した「黒死病」〔ペスト〕のような疫病が今日襲ってきたら、技術に頼る僕らの文明にははるかに抵抗力がないだろう。

改めて読んでみると、めっちゃ『世界SF作家会議』のトークテーマと被ってる。忘れてたくせにスゲーってなる。笑

P28
持続可能な発展はおそらく次の文明には、必要に迫られてやらざるをえないものになるだろう。グリーンな復興である。

あと、斎藤幸平さんの資本論の話にも通じる部分もあるので著ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』はホットな一冊だと思う。
第3回世界SF作家会議があるなら必ずチェックしたいと思う。

(おしまい)