モブトエキストラ

左利きのメモ魔が綴る名もなき日常

映画『ひまわり』の感想

ロシアがウクライナ侵攻を始めた時に映画『ひまわり』が話題になった。どんな映画なんだろうと思いながらも、そのままになっていたので見てみたところ、ジョバンナとアントニオというバカップルが戦争によって引き裂かれる悲恋を描いた映画だった。

海岸で青姦してたらアントニオがジョバンナのイヤリングを飲み込んでしまうというシーンが意味わからなすぎて「コイツなんなん?」って思ったんだけど、この直感は間違えではなかった。
「女性なら君以外にもいるぜ!」的な軽口を叩く女たらしのアントニオの何が良いのか分からないまま、ジョバンナは即決で結婚。その後は二人がイチャイチャするシーンが続くが、配給で食い繋いでる感じなのに突如アントニオが「俺っち、料理できるっち。爺ちゃんのオムレツの作り方知ってるもんね」的な事を言いながら大量の卵を使ってオムレツを作る。そして不味い。さらにジョバンナも食べ残しを窓からブッ放そうとするのだから、もうこれはバカップル確定。
その後、アントニオの徴兵逃れの為に二人は詐病でやりすごそうとする。入院中のアントニオの元にジョバンナが訪れると、愛し合う二人は面会室でおっぱじめようとする暴挙に出る。そこにドクターが登場。壁の穴から全て筒抜けで、アントニオはロシアの最前線へ送られる。(この病院側の対応も盗撮犯みたいでキモイぞ…)
なんだかもう、コメディ要素が強すぎて、悲しげなBGMも逆に面白くなってくる。
戦争が終わったという知らせを受け、ジョバンナはアントニオの生存確認に奔走。しかし、アントニオは雪原で絶命したと聞かされる。
それでも探し続けると、記憶を無くしたアントニオが工員として新たな人生を歩んでいる事を知り絶句。「今までのは何やってん!何やってーん!」と自宅にあるアントニオの所有物を破壊し、写真を破り捨てる。
今度はアントニオのパートに切り替わり、ジョバンナにもう一度会いたいという想いを強める。
ここで思ったのは、前半で詐病を演じているせいで記憶喪失というのが本当なのか分かりかねるという事。もう一つは戦争でボロボロになって雪原で絶命寸前のところを現在の妻に救助されたという設定なのに、アントニオは凍傷で手足を失うわけでもなくピンピンしてる事。
もうちょっとシナリオに合ったダメージを見せてくれないと、コメディ要素に勝てない。
結局はお互いに新しい家庭ができたからさようならって別れて終わるんだけど、アントニオはまた二人でやり直そうとか言ってて、どんどん被害者を出しそうな恋愛モンスターだった。
まとめると、いわゆる戦争映画というよりはどこの国でもいそうな、ごくごくありふれたカップルを主人公に人生の喪失を描いた映画。今のウクライナでは徴兵逃れであるとか、上官に逆らうと懲役刑を食らう現実があるし、ロシアが子どもを連れ去って洗脳するというジョージ・オーウェルの『動物農場』と同じ事が起きている。深刻な現実を踏まえると、前半のコメディ要素が無かったらひたすら辛いだけの映画になってるのは間違いない。

「クラフトボス 甘くないイタリアーノ」新TV-CM "水の都"べネチアを舞台に描くゴンドラこぎを愛したヒロインたちの"甘くない"恋物語!?「宇宙人ジョーンズ・ゴンドラ」篇4月10日からオンエア開始|サントリー食品インターナショナル株式会社のプレスリリース

そんな折、ジョージアのCMでひまわりをパロっていた。もし映画を見てなかったらこのCMの意味も分からなかったにちげぇねぇ。